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⑫浅野vs並木

「浅野さん、何でいるんですか?」
 椅子にふんぞり返ってコーヒーを飲んでいる浅野さんに、並木さんが冷たく言い放った。
「っ、おい、リオン。ひでぇな。スタッフとして自覚を持てって、うるさく言ってたのはお前だろ」
 不服そうに文句を言う浅野さんに、並木さんは平然と言う。
「それは会議とかがあるときの話です。今日は浅野さんの仕事はありませんよ。暇つぶししに来たんなら帰ってください。むしろ、邪魔です」
「おまっ、はっきり言うねぇ」
 身も蓋もない言い方をされたのに、浅野さんはむしろ嬉しそうににやにやしている。並木さんはそんな浅野さんを軽く無視して、コンペ用の企画書づくりに真剣だ。
「菜乃介、ひでぇと思わないか?コイツの態度」
 並木さんに無視された浅野さんは、今度はあたしにちょっかいを出す。
「え~、まぁ。浅野さんがいま邪魔なのは事実だから、しょうがないんじゃないですか?」
 あたしも並木さんに負けずにそう言うと、浅野さんはがくっと頭を落とす。
「ったく、お前らは。年長者を尊敬するっていう、日本の美徳はどこへ行った」
「そんなの。年寄りだからって、無条件に尊敬なんかできませんよ」
「おいっ、リオン。年寄りとは何だよ、年寄りとはっ。俺だって、まだ30代だっ」
 相変わらず並木さんvs浅野さんの掛け合いは、面白い。お互い遠慮がないだけに、吹き出してしまうこともしばしばだ。

「ちぇ」
 と少し不貞腐れた浅野さんが、ふたり分の新しいコーヒーを淹れて、並木さんとあたしの机に置く。
「なぁ、今日終わったら、飲みに行かね?」
「ヤです」
 並木さんがパソコンから眼も離さず、浅野さんの提案を一刀両断した。
「おいおい、即答すんな。今日もまた残業か?どうせ残業代なんて出ないんだろ?」
「残業でなくとも、浅野さんとは飲みに行きません」
「なんでだよ、リオン」
「時間を無駄にしたくないから?」
 取りつくシマもないくらいの並木さんに、さすがの浅野さんも傷ついたらしい。いい年して、拗ねた。
「ちぇ、わかったよ、リオン。もう、お前は誘わねぇよ。なぁ、菜乃介、飲みに行こうよぉ」
 今度は矛先をあたしに向けて、浅野さんは甘えた声を出した。悪いけど逆効果、若干気持ち悪いです、浅野さん。
「え~、浅野さんとふたりでですかぁ?」
「なんだよ、ふたりじゃ嫌かよ?」
 あたしもまた並木さんと同じように、コンピュータの画面を見つめたまま、う~んと考え込んだ。
「な、なんだよ。菜乃介、お前までツレねぇなぁ。あ、そうだ。面白い話してやる、直樹の秘密!訊きたくねぇか?」
 浅野さんが眼の前にぶら下げたエサに、なんと並木さんが食いついた。
「専務の秘密!?どんな?」
「なんだよ、リオン。お前は関係ねぇだろ」
 今度は浅野さんが、並木さんに対して上から目線になる。
 並木さんは、そんな浅野さんからフンッと顔を逸らすと言った。
「ど、どーせ。たいした秘密じゃないんでしょ?」
「さぁ、どーだかなぁ?な、菜乃介。だから飲みに行こうよ!」
 浅野さんがこれ見よがしにあたしを誘うと、並木さんにドヤ顔を向ける。
 ったく、子供みたい。しょうがないなぁ。
「ほんとに凄い秘密、なんですか?」
「お、おぅっ!」
「でも、やっぱり並木さんが行かないなら…」
 あたしがそう言って並木さんを見ると、浅野さんはニヤ、と笑って言った。
「だとよ、リオン。しょうがねぇから、お前も連れてってやる」
 また、上から目線。もう、それで並木さんが「うん」という訳がない。
「ふん、あとで菜乃果に訊くから、いいです」
 ほら、見ろ。
「え~、並木さん。浅野さんとふたりじゃ、ヤだぁ。並木さんも行こうよぉ」
 意地っ張りなふたりに、しょうがないからあたしが折れた。
 でも、並木さんはさすが並木さんである。
「菜乃果がそう言うなら…。そうだ、奢ってくれるならつき合ってあげてもいいですよ?」
 あくまで、しょうがないからつきあってやる的なスタンスを崩さない並木さん。見るからにお金持ちじゃなさそうな浅野さんに、そう言い放った。
 まあ、見た目だけじゃなくて、実際、浅野さんには借金があるしなぁと思っていたあたしの耳に、思いがけない台詞が聞えた。
「お、いいぜ」
「え、マジですか?」
「おう、俺、最近バイト代が入るように…あっ!」

 バイト代? 軽くスルーしようとして、なぜか気になった。
 浅野さんはフリーとはいえ、本職のカメラマンである。だから撮影の仕事なら、バイトではなく新規の仕事とか発注になるはずだ。それがバイト代って、どういうこと?
「浅野さん、なんか悪いことしてませんよね?」
「ば、ばか。してねぇよ」
 浅野さんが、慌てたように眼を逸らす。怪しい、絶対怪しい。
「ふうん」
 なんとなく釈然としないあたしは、さらにこう訊いてみた。
「借金は、順調に返してるんですか?」
 借金と訊いて、並木さんが呆れた顔で浅野さんを見やる。
「借金?ああ、ばばぁにした、アレか?完済したぜ」
 浅野さんが胸を張る。
 なんだって?それは、ますますおかしい。
 2月に契約社員の件で三代目と浅野さんと会ったときには、確か毎月10万の返済が滞りに滞っているという話だったのに…?
 それが約半年ほどで、完済できるなんてどう考えてもおかしい。
「どうやって?」
 と訊いたあたしに、浅野さんが再び薄っすら慌てる。今度は慎重にボーカーフェイスを決め込もうとして、ボロが出た感じだ。
「お、俺に先行投資してくれるっていう、先見の明がある人のお蔭で…」
「そんな酔狂な人いるんですか?」
 並木さんがもっともなツッコミを入れるから、あたしもこくこくと大きく頷く。
「す、酔狂だろうが何だろうが、俺の才能をだな…」
「才能…ねぇ」
 並木さんがわざとため息交じりに言って、からかう。
「まぁ、捨てる神あれば拾う神ありってことですかね。じゃ、並木さんも行く?」
 そう言ったあたしに、並木さんは元気に「うん」と答え、浅野さんはまだ不満そうにごにょごにょ言っていたけど。
 その日の終業後、あたしたちは3人で初の飲み会となった。


✵ ✵ ✵

「ここでいいか?」
 とーっても大衆的な居酒屋の前で、浅野さんが言った。
「えー、高級フレンチじゃないのぉ?せめて、あたしイタリアンが良かったなぁ」
 全く遠慮なく並木さんがそう言って、口を尖らす。
「おまっ、リオン。ここ、つまみが旨いんだぞ。おまけに安いし、最高だろ」
「はいはい、並木さん。この、浅野さんに奢ってもらうんだから、文句言わない」
 あたしはそう言って、並木さんの背中を押す。
「そうだよ。奢ってもらう身で贅沢言うな」
「うそうそ、あたしこういう気を張らない居酒屋、だ~いっ好き!」
 並木さんがそう言って、茶目っ気たっぷりにぺろ、と舌を出す。
「なんだ、わかってんじゃねぇか、リオン。」
 今度は本当に嬉しそうな顔になった浅野さんと3人で、店の中へ入った。
 
 メニューを見て、浅野さんと並木さんが適当におつまみを頼み、あたしたちは生ビールで乾杯した。
「くー、うめぇ」
 ぐびびっと1/3ほど一気に飲み干した浅野さんが、そう呻(うめ)いた。
「ホント、はぁ~生き返るっ!」
 口についた泡を拭った並木さんも、そう言って笑った。
「おい、リオン。お前、強そうだな」
「まあまあイケる口ですけど。そう言う浅野さんは、どうなんですか?」
「俺?底なし」
 うわぁ、なんだか始末に負えない予感がするのは気のせいか?
「菜乃介、お前はどうなんだ?」
「あたしは、あんまし…。どっちかというと弱いです。たぶん、これ一杯で充分」
「ええぇ~、マジで?」
 並木さんがものすごく驚いた表情をするけど、その反応にかえって驚くんですけど。
「なんだ、つまんないヤツだな」
「誘っといて、酷いですよ。でも、お酒のつまみは好きですよ?」
 あたしはそう言って、早速お通しの酢の物に箸をつけた。
「専務は、どうなの?」
「どうって、酒に強いかって意味か?リオン。アイツも強いな、顔色一つ変えないクチだ」
「へぇ」
 ちょっと感心したように、並木さんが言う。
「一度、飲んでみたいなぁ。ねぇ、菜乃果?」
「そ、そうだね」
 とは言ったものの、緊張しそうだし、かちこちになって悪酔いしそうだ。
「で。早速だけど、専務の秘密って?」
 並木さんが興味津々な様子で眼を輝かせると、浅野さんの顔を覗き込んだ。
「まぁ、待てよ」
 ちょうど生ハムサラダとお刺身の盛り合わせが運ばれてきたのを見ながら、浅野さんがもったいつける。
「つまんない秘密だったら、ホント、明日から口ききませんよ」
 そう並木さんが宣言するのを横目で見ながら、あたしは生ハムサラダをそれぞれに取り分けた。
 そのサラダに、ぶすっとフォークを突き立てながら、浅野さんがにやぁ~と笑った。
「この俺様が、がっかりさせるわけないだろ」
 そのほかの事ではいろいろガッカリさせ続けている『俺様』が、そう言った。




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  • Date : 2017-03-15 (Wed)
  • Category : アイス
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