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Author:mikazuki0602
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⑧初出社、初会議

 卒業式から4月の入社までは、あっという間だった。 入社式が終わると、新人研修がある正社員の人達とは別に、スタイリストの並木梨音(なみきりおん)さんとあたしは小会議室みたいな部屋に連れて行かれた。 その部屋の入口には、申し訳程度に《企画開発事業部》のプレートが掲げられていた。「企画開発事業部って…ダサ」 自己紹介が互いに終わったばかりの並木さんが、そう言って同意を求めるような視線を投げてよこした。「... <span style="font-size:large;"> 卒業式から4月の入社までは、あっという間だった。<br /> 入社式が終わると、新人研修がある正社員の人達とは別に、スタイリストの並木梨音(なみきりおん)さんとあたしは小会議室みたいな部屋に連れて行かれた。<br /> その部屋の入口には、申し訳程度に《企画開発事業部》のプレートが掲げられていた。<br />「企画開発事業部って…ダサ」<br /> 自己紹介が互いに終わったばかりの並木さんが、そう言って同意を求めるような視線を投げてよこした。<br />「そ、そうですね」<br /> 同期入社とはいえ、彼女はキャリア3年の先輩だ。2年制の専門学校を卒業して現場経験が3年だから、年齢的に言っても1つ年上になる。<br />「あのさ、歳1コしか違わないんだから、タメでいかない?」<br />「え…い、いいの?」<br />「うん。その方が、気が楽」<br /> そう言うことなら。 <br />並木さんは小柄でクリクリのボブヘア、大きな眼もくりくりしていて表情がとても豊かだ。スタイリストと言うことでファッションもセンスが良くOLOLした感じではなく、正社員も含む新入社員の中で当然一番目立っていた。<br />「にしても、この部屋、チョー殺風景。アパレルの会社とは思えないんだけど」<br /> 並木さんが、屈託なくそう言ったとき、部屋のドアが開いて三代目と浅野さんが入って来た。<br />「殺風景で申し訳ないですね。いろいろ準備が間に合わなくて。これからこの部屋は、ふたりで協力して好きに変えてください」<br />「え、いいんですか!?」<br /> 並木さんがそう言って、嬉しそうな顔であたしを見た。<br />「よ、女子大生…じゃないな、もう。う~ん、じゃあOL一年生、か?」<br /> いやいや、いい加減、名前で呼んでくださいよ、浅野さん。<br /> 並木さんが、三代目と一緒に入ってきた銀髪&先っちょブルーでつんつん頭の浅野さんを、興味津々といった表情で見る。<br />「並木さんは、初めてでしたね。外注カメラマンの浅野一真さんです」<br />「よっ!」<br /> 片手を上げて気さくに挨拶した浅野さんに、並木さんも「よっ!」とばかりに片手を上げて答えた。<br />「ははは、ノリいいね。え~と、スタイリストだっけ?」<br />「はい、スタイリストの並木梨音ですっ。よろしくですっ」<br />「おう、リオン。よろしくな」<br /> て、なんで、いきなり初対面から名前を呼ぶ? あたしなんて知り合って数年経つのに、いまだに名前じゃないのはなんでですかっ!<br />「自己紹介もすんだことですし、早速、第1回目のミーティングをします」<br /> 三代目がそう言って、中央のテーブルにある椅子に腰かけた。<br /> 新入社員研修も、会社や部署の説明も紹介も全くナシ。あたしたちは、本当に即戦力を求められているみたいだ。並木さんはともかく、あたしはインターンシップで社会の一端を覗いたに過ぎない。でもそんなことは言っていられないのだと、あたしは身が引き締まる思いをした。<br /><br />✵ ✵ ✵<br /><br />「てことは、ブランド・コンセプトすらまだ決まっていないってことですか?」<br /> 並木さんが、ちょっと呆れ顔で三代目にそう訊いた。<br />「はい。すべて白紙の状態から、私たちチームで創り上げていくことになります」<br />「白紙って…言うほど簡単じゃないですよね?」<br /> 並木さんは遠慮がない。さすが現場経験あり、社会人1年生のあたしとは大違いだ。<br />「もちろん、簡単ではありません。むしろ、イバラの道です」<br /> 三代目がさらりと答える。<br /> 並木さんはふ~ん、と少し考えるようにしていたが、やがてきっぱりと言った。<br />「そこまで何も決まってないとは、思いませんでした」<br /> それから、ニヤッと笑うと、こう言い放った。<br />「面白~い! これは、面白いことになりそうだね、沢口さん!」<br /> は? まじ、ですか?<br /> 一方、三代目は並木さんの超ポジティブな言葉を訊いて、ふ、と笑った。<br />「そう言ってくれると思ってました。頼もしいですね、並木さん」<br />「だけど、専務が立ち上げたいブランドのイメージくらいは、あるんですよね?」<br /> 並木さんの言葉に、三代目が大きく頷いた。<br /><br /> レイカ・インターナショナルの主力ブランドは、海外のデザイナーと独占契約しているブランドと、オリジナルの2つのブランド。そのいずれもがテイストは違っても、セレブ向けか自立したキャリア向けだ。<br /> しかし三代目は、もっと普通の人達、つまりあたしたちのようなOLを含む20代~40代位までの層に受け入れられるブランドを創りたいのだと言う。<br /> 価格はもちろん手頃と言うことになるが、最初にあたしが言われたように決してファスト・ファッションではない。<br />「ファスト・ファッションは、いま確かに人気と勢いがあります。毎年、流行の服を安い値段で手に入れ、気軽におしゃれを楽しむことができる。それは、とくに若い層には魅力でしょう。しかしその反面、大量の廃棄物やそれに伴う環境汚染などの問題が軽視できなくなっています」<br /> 三代目がそう言って、短いサイクルで買っては捨てられる衣料廃棄物の増加と、ファスト・ファッションに関わる繊維や衣料工場がある主にアジアの国々の汚染状況を示した資料を配布する。<br /> それに眼を通しながら、浅野さんが言った。<br />「日本て国はさ、消費大国だけど、流行に踊らされやすい、熱しやすくて冷めやすい。おまけに他国のことは考えない、身勝手な国だよな」<br />「ファスト・ファッションを扱っているのは、日本だけではありません。アメリカやスウェーデンなどのファスト・ファッションブランドも、日本ではもうおなじみです」<br /> 浅野さんの批判を、三代目が冷静に否定した。<br /> 相変わらず口を挟む余地すら見いだせずにいるあたしと違って、並木さんはどんどん質問や意見を口にする。<br />「それじゃあ、隙間を狙うってことですか?いわゆるニッチ・ファッション?いや、でも、うまく行くかな?」<br />「隙間、と言えば隙間ですが。しかし最も大事なことは、価格ではありません。生地、縫製、デザイン、アイテムの組合せなど、価格に見合った品質を提供し、満足感を持ってもらえる新しいブランド提案です」<br />「難しいな…」<br /> 並木さんが、ちょっと眉間にしわを寄せて考え込む。<br />「その通りです、難しいです。しかしコストパフォーマンスとエコロジー、お洒落の楽しさを満足させるブランドを、どうしてもレイカ・インターナショナルの次世代ブランドにしたいんです」<br /> こんなに熱く、饒舌に語る三代目を初めて見た。<br />「…て、いったいどっから、とりかかったらいいんですか?」<br /> 並木さんが、ちょっと困り顔で言った。<br />「どこからでも」<br /> 自信たっぷりにそう言った三代目とは対照的に、不安そうな表情になった並木さんが、助けを求めるかのように浅野さんを見た。<br />「あ、俺、外注だから。それに難しいこと、わかんないから」<br /> 浅野さんは、そう言って並木さんを交わした。 <br />おいおい、頼りになんないなぁ、お兄ちゃん。それよりもっと頼りにならないのは自分だな、と自覚しながら、あたしのこの会議で初めて意見を言った。<br />「…あのう」<br /> 三代目、浅野さん、並木さんの3人が一斉にあたしの方を見る。う、ちょっとビビる。<br />「なんですか?」<br /> あたしがいることを思い出したように、三代目が訊いた。<br />「あ、あのですね。まず手はじめに、この部屋の前に掲げてある《企画開発事業部》って名称、なんとかしませんか?だって次世代をつくるブランドを発信する部署の名前にしては、あまりにもダサ…いや、硬すぎると思うんですけど」<br /> 3人は一瞬、ぽかんとした顔であたしを見た。<br /></span><br /><br /><span style="color:#009999">次の更新は、水曜日の予定です。</span><br /><br /><a href="http://www.alphapolis.co.jp/cont_access2.php?citi_cont_id=357034555" target="_blank"><img src="http://www.alphapolis.co.jp/cont_access.php?citi_cont_id=357034555&size=88" width="88" height="31" /></a><br /><br />
  • Date : 2017-03-05 (Sun)
  • Category : アイス
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