プロフィール

Author:mikazuki0602
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
オリジナル小説の
実験室へようこそ♪
本業の傍らゆるゆる
のんびり更新してます。
ざっくり気ままな試作でつが、
著作権は放棄していないでつ。
初めての方は「New!更新情報」
or「contents」からどうぞ。
(*´ω`*) Since 2013.6.2

【R18限定記事について】
男のひと目線の描写じゃなく、女子目線でホントのところを描きたいでつ お読みいただくには、パスワードを入力いただくか下記URLからどうぞ 「小説家になろう」グループ内 R18女性向小説サイト「ムーンライトノベルズ」 灯凪田テイルのXマイページへ移動します。 http://xmypage.syosetu.com/x1507h/
メール

名前:
メール:
件名:
本文:

カレンダー
04 | 2016/05 | 06
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
カウンター
フリーエリア

スポンサーサイト

<!-- passive:etc --><div style="text-align:center;margin-bottom:10px;"><iframe src='//assys01.fc2.com/1375' style='width:300px;height:250px;border:none;' scrolling='no'></iframe><!-- FC2管理用 --><img src="//media.fc2.com/counter_img.php?id=1368" width="1" height="1"><!-- FC2管理用 --></div><div style="font-size:8px;">上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。<br />新しい記事を書く事で広告が消せます。</div>
593

➁有さんの決意と…

  突然、知らない人が「あなたの母です」と言ったら、人はそれを受け入れられるものだろうか。 訥々(とつとつ)と語る有さんの言葉が、耳をすり抜ける。 だけど有さんが次に言った言葉に、あたしの脳がやっと反応した。「…だから、母と暮らす」 お母さんと…暮らす? なら、あたしは…。「待ってる」 とても無邪気な気持ちで、あたしは言った。それが、当然の正解みたいに。「そして卒業したら、あたしもお母さんのお世話を... <span style="font-size: medium;"><span style="font-family: 'ヒラギノ角ゴ Pro W3';"> <br /> 突然、知らない人が「あなたの母です」と言ったら、人はそれを受け入れられるものだろうか。<br /> 訥々(とつとつ)と語る有さんの言葉が、耳をすり抜ける。<br /> だけど有さんが次に言った言葉に、あたしの脳がやっと反応した。<br />「…だから、母と暮らす」<br /> お母さんと…暮らす? なら、あたしは…。<br />「待ってる」<br /> とても無邪気な気持ちで、あたしは言った。それが、当然の正解みたいに。<br />「そして卒業したら、あたしもお母さんのお世話を一緒に…」<br /> 有さんの長い人差し指が、あたしの唇に当てられた。<br />「?」<br />「それ以上言うな、言わないでくれ」<br /> 有さんが苦しそうだ。<br /> どうして? <br /> 違う、逆だよ。あたしは有さんを苦しめたいんじゃなくて。そう、わけ合いたいの、有さんと。苦しみも、幸せも、未来も、何もかも。だから…<br />「菜乃果にそんなこと、させられると思うか?」<br /> どうして?<br />できるよ、あたし。だから、させてよ、有さん。うん、あたし、ちゃんとできるから。きっと、絶対。だって…<br />「待たないでくれ」<br />「え」<br />「いつになるかわからない、その日は来ないかもしれない」<br /> その日…<br /> その日って、何?<br />「お母さんは、よくなるよ。だって、有さんが、有さんが傍にいるんだよ?もう、独りじゃないんだよ?」<br /> そして、その日が来たら、有さんとお母さんとあたしは、笑い合って生きるんだ。一緒に、そう一緒に。<br />「菜乃果…」<br /><br /> 有さんとあたしの話し合いは、どこまでも平行線だった。<br /> 有さんとお母さんと、そしてあたしの未来の先になにがあるかは神様にしかわからない。<br /> だけど、だけど、どうして?<br /> 何か方法があるかもしれない。有さんがお母さんを大切にして、そしてあたしたちの関係も続けられる。どうしてそれを、一緒に探してくれないの?<br /><br /> ねえ、有さん。<br /> 籠の鳥は、籠から出されたら死んでしまうんだよ?<br /> お願い、あたしを籠から出さないで。<br /> それとももう、あたしの存在すら、有さんにはどうでもいいということ?<br /> そんなの耐えられない。<br /><br />「母との時間を取り戻したいんだ。過去から生き直したいんだ。母のためだけでなく、自分のためにも」<br /> 悲しいことに、あたしにはその意味がわかった。<br /> 有さんは、有さんがなにものであるか、自分の存在意義を確かめたいんでしょ?<br /> お母さんとお父さんの間に起こったこと、それをいつかお母さんの口から訊きたいんでしょ?<br /> 少なくともお父さんとお母さんは、有さんの誕生を望んでいた、喜んでくれた。有さんの心の奥にいつも居座っていた孤独感。それはお母さんと暮らすことで、氷が解けるように自然に溶けるかもしれない。<br /> お母さんの存在は、いつか有さんの雪解け、春になるかもしれないのだ。<br /> そして、それはあたしができなかったことだ。<br /> 有さんにスポイルされてただけの幼すぎる恋人で、有さんの魂を救ってあげられなかったんだ。<br /> ごめんなさい、だめな恋人で。<br /> 有さん、でも、でもね。あたしは、有さんを待つと思う。だって、できない、有さんと別々に生きていくことなんか。そうさせたのは、有さんなのに。<br /><br />「わかった」<br /> あたしは、そう答えた。答えてしまった。<br /> いったいなにをわかったのか、全然わからないままに。<br /><br />✵ ✵ ✵<br /><br /> 惺は、あたしの話を黙って訊いてくれた。<br /> 「なぜ?」とも「それでいいのか?」とも問わなかった。<br /> 話を訊き終ると、惺はあたしの頭を撫でてくれた。撫で続けてくれた。無言の優しさが胸に沁みてきて、あたしはやっと泣くことができた。号泣した。<br /> 涙も声も涸れて、両眼が腫れるまで泣くことができたとき、あたしはやっと現実を受け入れることができた。<br /> これは、現実、なんだ。 ゲ・ン・ジ・ツ。<br /><br /> 有さんは、それから間もなくして、別荘へ引っ越した。<br /> 有さんがそれまで住んでいた、あたしたちふたりの思い出が濃密に残っていたマンションは解約された。<br /><br /> そしてあたしは、ゆっくりと、抜け殻になっていった。<br /><br /><br />✵ ✵ ✵<br /><br />「就活、どう?」<br /> 知花ちゃんに訊かれて、あたしは気のない返事をした。<br />「…どう、かな?」<br />「どうかなじゃないよ、菜乃果!」<br /> ちょっと厳しくそう言ってから、知花ちゃんは思い直したように言った。<br />「ねえ、気持ちはわかるけど」<br /> どう、わかるというのだろう?<br />「いま、大事な時期なのわかってるよね?」<br /> 大事な時期? 何にとって? 誰にとって?<br />「苦しくっても、先に進まなきゃ」<br /> 進めない。 開け放たれた鳥籠の中から出ることができない。だって、その先の世界は『死』だ。<br />「沢口さん、ちゃんと納得してないからじゃないの?」<br /> 早乙女君が、遠慮がちに言った。<br /> 有さんとあたしに起こったことは、惺から早乙女君へ、そして知花ちゃんへと伝わった。<br /> 抜け殻のあたしは、最初腫れ物みたいに扱われて、2か月が過ぎてもまだ少しそんな感じだ。<br />「納得?」<br /> 早乙女君と知花ちゃんが真顔で頷く。<br /> やだ、ふたり揃って何回もこくこく頷くなんて、可愛い。あたしはそれがおかしくて、ふにゃりと笑った。<br /> 今度は目の前のふたりが、顔を合わせて困った様子をしている。<br />「大丈夫、だから」<br /> そう言ったあたしに、知花ちゃんがさらに困った顔になる。<br />「菜乃果の大丈夫は、大丈夫じゃないんだよ。いつだって」<br /><br /> そんな風に、そんな風に、流れていく日常に慣れてしまった。<br /> ううん、慣れたつもりで、心はすべてを遮断していたのかもしれない。<br /><br /> 1週間に1度くらいの割合で、惺があたしのワンルームマンションにやって来た。大抵はお母さんの手づくり夕食を持って。<br />「生存確認」<br /> 惺はそう言った。<br />「大丈夫」<br /> 抜け殻だけど、心はもしかしたらもう死んでいるのかもしれないけど。<br /> お母さんの手づくり夕食は、優しくて温かい。これを有さんも食べて育ったのだ。<br />「お母さんは大丈夫?お父さんも」<br /> つい、そう訊いてしまった。<br />「…ばか、そんなこと。菜っ葉…」<br /> そっか、可笑しいか。あたしがそんなこと心配するなんて。<br /> こんな抜け殻の、ぼろぼろなのに。<br />「この和え物、兄貴が好きだったんだ」<br /> 惺はわざとそう言って、あたしを泣かせた。<br /> 涙はときに、凍った心を溶かす。<br /> あたしは惺の前では、何度でも泣くことができた。惺がいなければ、とっくに壊れていたと思う。<br /><br /> 泣いて、泣いて、泣いて、泣いて…<br /> だけど、あたしの心の氷はどれだけ溶けたのだろう?<br /><br /><br />✵ ✵ ✵<br /><br />「氷川君」<br />「なんだよ、乙女」<br />「…」<br />「だから、なに?」<br />「…あの、苦しく…ないの?」<br />「なにが?」<br />「なにがって…」<br />「ふん。まあ、考えてみろよ。俺は、いま菜っ葉の泣き顔を独占してるわけだ」<br />「そ、そうだけど。その涙は、氷川先生を想って…」<br />「菜っ葉さ、泣き疲れると真っ赤に腫れ切った眼で、それでもふにゃりと笑うんだ。たぶん、照れくさいんだろうな。その顔、俺の好きな菜っ葉の顔の第3位だ」<br />「第1位は?」<br />「ば~か!教える訳ないだろ」<br />「え、笑顔?」<br />「ブー!はずれ」<br />「じゃ、2位は?ひ、ヒントにするから」<br />「ヒントになんかなんないと思うよ。でも、いいや。2位はふくれっ面だ」<br />「や、やっぱヒントになんない。もうっ、氷川君、変わってるよ」<br />「そうか?」<br />「…でも」<br />「ん?」<br />「氷川君がいいなら、いい。それに、もしかしたら…」<br />「もしかしたらは、ないんだ」<br />「そんなのわかんないじゃない」<br />「……そうだな」<br />「そうだよ」<br />「ふ…でも、やっぱないわ」<br />「奪っちゃえば?」<br />「おま…大胆なこと言うね。乙女のクセに」<br />「大胆じゃないよ、それくらい。も、もし、氷川君が沢口さんを奪わないなら、ぼ、僕が奪うっ!」<br />「はぁ?」<br />「ひ、氷川君っ!」<br />「え¨ お、俺かよ。ま、待て、乙女っ! 早まるなっ!!」<br /></span></span><br /><br /><a href="http://www.alphapolis.co.jp/cont_access2.php?citi_cont_id=357034555" target="_blank"><img src="http://www.alphapolis.co.jp/cont_access.php?citi_cont_id=357034555&size=88" width="88" height="31" alt="" /></a><br /><br /><br />
  • Date : 2016-05-29 (Sun)
  • Category : アイス
592

〈5〉 算術と反省

「いーやーだー!」 シンラがぷい、とそっぽを向いた。「なんでよ?」「そ、そんな。恥さらしなことができるかっ!」「なんで、恥さらしなの?あ、もしかして、怖いとか?なぁ~んだ、図体でかいくせしてシンラったら、弱虫、意気地なしなんだ!」「な、なんだとっ!」「や~い、シンラの弱虫意気地なしっ。シンラの弱虫意気地なしぃ~!」 アクアが拍子をつけて歌うようにからかうから、シンラはたてがみを逆立てて眼のふちを真... <span style="font-size: medium;"><span style="font-family: 'ヒラギノ角ゴ Pro W3';"><br />「いーやーだー!」<br /> シンラがぷい、とそっぽを向いた。<br />「なんでよ?」<br />「そ、そんな。恥さらしなことができるかっ!」<br />「なんで、恥さらしなの?あ、もしかして、怖いとか?なぁ~んだ、図体でかいくせしてシンラったら、弱虫、意気地なしなんだ!」<br />「な、なんだとっ!」<br />「や~い、シンラの弱虫意気地なしっ。シンラの弱虫意気地なしぃ~!」<br /> アクアが拍子をつけて歌うようにからかうから、シンラはたてがみを逆立てて眼のふちを真っ赤にさせた。<br />「お、俺は意気地なしなんかじゃないっ!心外だ!!」<br />「じゃあ、やってみる?」<br /> アクアがシンラの顔を覗き込む。<br />「…う」<br /> 確信犯のようなアクアのオッドアイに、シンラはしてやられたと思った。<br /><br /><br />✵ ✵ ✵<br /><br /> 夕暮れどきの広場には、買い物に行く人や散歩する人、学校帰りの少年少女、遊びに興じるもっと小さな子供たちの姿があった。<br /> その広場の中央にアクアは立つと、目の前に拾った小さな空き缶を置いた。それから布袋から紙を5枚出し、鉛筆で紙一杯に数字を書いた。<br /> 3、5、7、9、12と書かれた紙を地面に置き、飛ばないように小石を乗せる。<br /> それからアクアはすぅと胸いっぱいに大気を吸うと、ふうぅ~と思い切り吐いた。そして意を決したように、大声で言った。<br />「さぁさぁ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。世にも珍しい、芸をするコーダだよ!」<br /> ぴんと張った明るい呼び声に、広場にいた人々は何事かと注目する。<br />「世にも珍しい、計算ができるコーダだよ!こんな珍しい芸は、見なきゃ損、見なきゃ大損だよっ!!」<br /><br /> 広場にいた老若男女がざわざわと集まって来た。<br />「芸をするコーダだって、ホントかな?」<br />「計算ができるの?凄いね」<br />「ラルは、まだできないのにねぇ」<br />「なんだとぉ、そのかわり逆上がりは誰よりも早くできたぞっ」<br />「見慣れない子だね、どっから来たんだろ?」<br />「コーダだって? そんな獣にそもそも数字が読めるのか? なんか、仕掛けがあるんじゃないか?」<br /> そんな声が聞える中、ちょっと緊張した面持ちでアクアはシンラを見た。<br /> 見世物になることを初めは嫌がっていたシンラだったが、アクアに腸詰を食べさせたい一心で渋々承知したのだ。承知したからには上手く芸をして、1ガロでも多くのお金を空き缶に入れて欲しかった。<br /> 決心した表情で、シンラは見つめるアクアに頷いて見せた。<br /><br /> 大丈夫だ、きっと上手くいく。あのいい匂いがする、じゅぅじゅぅ焼ける腸詰を食べるんだろ?もしかしたら、雲あめだって買えるかもしれないぞ。<br /><br /> そんなシンラに勇気づけられるように、アクアも頷いてにっこり笑って見せた。<br />「では、はじめます!」<br /> 集まった観客を一度見渡してから、アクアは宣言しするようにそう言って右手を高く上げた。<br />「まず、簡単な足し算から。2+3は?」<br /> 一瞬シーンとなった観客が見守る中、シンラは長く太いシッポをゆらりと一度振ると、すたすたすたと「5」が書かれた数字の前に歩いて行った。そして前足でその紙にふれると、観衆の中から「おお」と言う声や「まぐれだろ」と言う囁きが起こる。<br /> アクアはその反応を気にかける様子もなく、次の問題を出した。<br />「次は、そうだな。5+2は?」<br /> アクアの方を一度振り返ったシンラが、今度は「7」の数字を書いた紙に前足を乗せた。<br />「本当か?」<br />「いったいどんな仕掛けだ?」<br /> ざわざわざわ。観衆に驚きと困惑が広がる。<br />「では、次はどなたか問題を出してみてください」<br /> そう言ったアクアに、また観客たちが一瞬静まり返る。<br />「よし、じゃあ、俺が出してやるよ!」<br /> そう言った声の主の方を見ると、今朝、アクアに「女のクセに汚ねぇな」と言ったあの少年だった。<br /><br /> 確か、サブとか言ったっけ…。<br /><br /> 坊主頭のその少年は利かん気が強そうな眼をキラキラさせて、挑戦するようにアクアを睨みつけていた。<br />「はい、どうぞ」<br /> アクアがにこりとしてそう言うと、今度は少年の顔が真っ赤になる。どうしたのだろう、と怪訝に思っていると、少年は眉根を寄せてブツブツと言いだした。<br />「ええと、そうだな。こ、答えがその紙に書いてある数字になればいいんだろ?ええと、ええと…」<br />「なんだ坊主、足し算苦手なのか?あはは、それじゃコーダに負けてるぞ」<br /> 20代くらいの若い男の人が、遠慮のない口調で少年をからかう。<br />「ち、違っ!い、いま、考えてるだろっ!」<br /> さらに焦った風の少年に、アクアは言った。<br />「引き算でもいいですよ?」<br />「ひ、引き算っ!?」<br /> 少年がさらに焦る。そして、意を決したように言った。<br />「5-2!」<br /> シンラがあっという間に「3」の紙の前に行く。<br />「簡単にしてくれたんですね?もっと難しくてもいいですよ?」<br /> アクアが面白がりながら言うから、観衆はやんややんやと囃し立て、少年はさらに真っ赤になった。<br />「おい、姉ちゃん。俺が出してもいいか?」<br /> 少年をからかった男の人が言った。<br />「はい、構わないです」<br />「ふーん」<br /> その若い男の人はにやりと笑うと、大きな声で言った。<br />「難しくてもいいんだよな?じゃあ、5+7-9は?」<br /> ごくり、と観衆が息を飲む気配がした。少年はと言えば、両手の指を曲げたり伸ばしたりしている。本当に算術が苦手らしい。<br />「5+7-9ですね?」<br /> 繰り返すように言ったアクアも少し心配になって、シンラを窺う。そんなアクアをちら、と見返すと、シンラは置かれた紙の前を悠々と何度か行き来した。<br /> そして「3」の前で止まると、その紙に前足を置き「うぉんうぉんうぉん」と3回吼えて見せた。<br />「おおおぉ~~~!」<br /> 今度は観衆から賞賛と驚きの声が上がった。<br />「どうだ、坊主。いまの答えは合ってるか?」<br /> 男の人に意地悪にそう訊かれた少年は、顔を真っ赤にしてぷいとそっぽを向いた。<br /><br />「では、最後の問題です!」<br /> アクアがそう叫ぶと、観衆はまたしんとなった。<br />「今度は掛け算に挑戦です!もしうまく行ったら、そこの空き缶にお気持ちを入れてください!」<br /> アクアの言葉に、観客がざわつく。<br />「おい、姉ちゃん。ホントかよ、掛け算までできるのか?」<br />「無理しない方がいいぜ、この坊主だって足し算引き算で四苦八苦だぜ?」<br /> アクアは、もう一度念を押すように言った。<br />「掛け算は、あたしたちにとっても挑戦です!だから、もし成功したらいくらでもいいので、お金を入れてください」<br /> 観客が息を飲んで見守る中、アクアは最期の問題を叫んだ。<br />「シンラ、頑張って!3×4は?」<br /> シンラが再び、並べられた紙の前をうろうろし出す。やがて「9」の前で止まると、そこに前足を乗せた。<br />「あぁぁ~~」<br />「やっぱ無理だったかぁ」<br />「そりゃそうだよなぁ。気にすんな、シンラ!」<br /> 観客から落胆の声や励ましの声がかけられるのを確認して、アクアは言った。<br />「シンラ、ダメじゃない。はい、こっち来て!」<br /> その言葉に、耳とシッポを垂らしたシンラがとぼとぼと従う。シンラがうなだれた様子で隣に来たのを見て、アクアは言った。<br />「はい、反省!」<br /> するとシンラは太いその前足を、アクアの肩に乗せてさらに情けなさそうにうなだれたのだ。<br /> 一瞬、呆気に取られた観衆は、やがてその演出の意図に気づいた。<br />「あはは、見ろよ。コーダが反省してるぜ」<br />「見て見て、可愛い。尻尾と耳をペタンとさせて、失敗したのがわかるのよ!」<br /> 予想以上の反応だった。そこですかさず、アクアは言った。<br />「はい、シンラ。じゃあ、もう一回。今度は皆さんの期待の応えてよ!」<br /> アクアがそう言うと、観客からも声がかかった。<br />「おう、もう一回だ!頑張れ!」<br />「がんばって、シンラちゃん!」<br />「次はできる!もっかい挑戦だ!」<br /> シンラが再び頭と尻尾をもたげ、耳をピンと立てた。<br />「じゃあ、シンラ。もう一度、3×4は?」<br /> 再び観衆が見守る中、シンラは今度は迷わず「12」の前に行き、その紙に前足を乗せた。<br />「やったぁ~!」<br />「正解だよ、シンラちゃん!」<br />「おお、スゲェ、スゲェぞ、シンラっ!」<br /> 大成功だった。<br />大人の観客は、次々に空き缶にコインを投げ入れてくれた。子供たちはお金を持っていないことを申し訳なさそうに謝ると、背伸びをして自分より大きなシンラの頭を撫でてくれた。</span></span><br /><br /><br /><a href="http://www.alphapolis.co.jp/cont_access2.php?citi_cont_id=731039844" target="_blank"><img src="http://www.alphapolis.co.jp/cont_access.php?citi_cont_id=731039844&size=88" width="88" height="31" alt="" /></a><br /><br /><br />
591

〈4〉 形見とコーダの役割

「のケモノ、」4カ月ぶりの更新です。スミマセン(*^^*)  広場の反対側を散策したシンラとアクアは、賑やかな界隈の外れにある小さな公園に辿りついた。 小さなベンチと滑り台がある公園は、この時間は人っ子一人いない。「わぁ、滑り台があるよ」 アクアは嬉しそうにそう言うと、早速、後側のはしごを登りはじめる。「落ちるなよ」「大丈夫。あたし、こう見えても運動神経はいいんだよ」 その言葉通り、あっという間に滑り台... <span style="color:#009966">「のケモノ、」4カ月ぶりの更新です。<br />スミマセン(*^^*) </span><br /><br /><br /> <span style="font-size: medium;"><span style="font-family: 'ヒラギノ角ゴ Pro W3';">広場の反対側を散策したシンラとアクアは、賑やかな界隈の外れにある小さな公園に辿りついた。<br /> 小さなベンチと滑り台がある公園は、この時間は人っ子一人いない。<br />「わぁ、滑り台があるよ」<br /> アクアは嬉しそうにそう言うと、早速、後側のはしごを登りはじめる。<br />「落ちるなよ」<br />「大丈夫。あたし、こう見えても運動神経はいいんだよ」<br /> その言葉通り、あっという間に滑り台のてっぺんから顔を出したアクアが、今度は両手を万歳させてすべり降りる。<br />「あはは、楽しい!シンラもやろうよ」<br /> アクアはそう言って、また滑り台に登るとてっぺんからシンラを呼んだ。<br />「ねぇ、シンラもおいでよ」<br />「子供じゃあるまいし」<br /> 実は滑り台でなど遊んだことがないシンラは、そう言ってぷぃと横を向いた。<br />「怖いの?」<br />「なんだと?」<br /> 滑り台未体験を見透かされた気がして、シンラはちょっとムキになった顔でアクアを睨む。<br />「大丈夫だよ、ゆっくり登れば怖くないから」<br />「俺を、舐めるなよ」<br /> そう言うなり、シンラは大きな身体からは信じられないほど身軽にはしごを駆け上がるとアクアの隣に立った。<br />「うゎっ、速っ!」<br />「当たり前だ。俺を誰だと思っている」<br />「うふふ。じゃあ、一緒に滑ろうか?」<br />「一緒に?」<br />「うん」<br /> アクアはそう言うなり、大きなシンラの背中によいしょっと跨ろうとする。<br />「こら、それは危ない。お前はこっちだ」<br /> シンラはアクアの背中側から自分のお腹に抱えると、さらにしっぽをアクアの前に当ててそれに掴まるように促した。<br />「しっかり掴まっていろよ」<br />「うん!」<br /> アクアが嬉しそうに、両手だけでなく両足までクロスさせてしっぽにしっかりしがみついた。<br /> それを確認すると、シンラはアクアをお腹に乗せたまま、器用に背中と後ろ足を使って滑り台を滑り降りた。<br />「うわぁ~い、楽しい。凄いよ、シンラ!」<br /> しっぽに抱きついたアクアが歓声を上げた。<br />「もう一回、もう一回!」<br /> アクアに強請(ねだ)られて、シンラは6回もアクアをお腹に抱いて滑り台を滑り降りた。いい加減、そろそろ背中がヒリヒリする。<br />「ああ、楽しかった。ふふ、いっぱい遊んだら、またお腹が空いちゃった」<br />「昼飯は、何にするか?」<br />「紫長芋にしよう!」<br /> アクアは、薄汚れた布袋から小さな紫長芋を2本出すと、くっと眼に力を込めた。小さな紫長芋が、元の大きさに戻る。<br />「相変わらず、凄いな」<br />「うふぅ、そぉ?」<br /> 褒められたアクアは嬉しそうにシンラを見ると、紫長芋を地面に置いた。それから公園に生えている草を引っこ抜くと、それで紫長芋を覆う。<br />「落ち葉の方がよく燃えるけど、生憎ないからね。これでもなんとか、いけると思うよ」<br /> アクアのオッドアイが、真剣になった。<br /> ぼっ。草は難なく火がついて燃えはじめる。<br /> 燃える炎を眺めながら、シンラは言った。<br />「なかなか、使い込んだ袋だな」<br />「これ?じいじが畑仕事に持っていってたものだからね。汚れてるし古いけど、じいじの形見みたいなものだから」<br />「そうか」<br />「うん」<br /> 炎を見つめるアクアの横顔は静かで、心の中まではシンラには覗けなかった。<br /><br /> じいじの形見の袋に入れてきた僅かなものが、アクアの全財産だ。<br /> 使い込んだ包丁は、料理を教えてくれたばあばの形見だと思っている。着替えの洋服と下着は、2組。どれも何回も洗ってくたびれたものだけど、清潔で動きやすければそれでいい。<br /> 鍋、皿、スプーン、箸、水筒、何かに使えるだろうと入れてきたぼろ布、紐、紙、鉛筆。<br /> そして、じいじに渡された大事な上質のおくるみ。自分のルーツを証明する唯一つの頼り。<br /> これらを、眼力で小さくして袋に収めた。<br /> 所持金はわずか12ガロ。じいじとばあばのお墓に白パンをお供えして、旅用に丈夫な編上げ靴を買ったら、それしか残らなかったのだ。<br /> <br />「ねぇ?」<br /> アクアが燃える火から視線を離さずに、シンラに話しかけた。<br />「なんだ?」<br />「コーダはみんなシンラみたいに、樹とか花とか、毒とか薬とかの知識があるの?」<br />「そうだな…」<br /> ちょっと考えてから、シンラは言った。<br />「食べられる果物や花の蜜や、食べてはいけないものの基本的な知識は、家族や仲間から生活の中で自然に教わる。しかしコーダには、生まれついた役割というものがあるのだ」<br />「生まれたときから、役割が決まっているの?」<br />「ああ。コーダの子供が5歳になったときに、その子供の持って生まれた特性が明らかになってくる。それを長老が見極めて、もっとも適した役割を与えるんだ」<br />「どんな役割があるの?」<br /> そうだな、とシンラは両耳をピンと立て、少し懐かしそうな眼をして言った。<br />「たとえば群れや仲間を守って率先して戦う戦闘コーダ、テレパシーを飛ばす距離が一番長い伝心コーダ、子沢山や不幸にして親をなくした子供、病気の仲間の面倒を見る献身コーダ、美しい声で歌を歌ったり見事な舞で皆を癒す芸練コーダ、それから薬草や治癒方法や自然界からの様々な叡智を識る医能コーダ、などかな」<br />「じゃあ、シンラは医能コーダなの?」<br /> 俺は…シンラは戸惑った。<br />「俺の祖父は、確かに医能コーダだった。父はコーダの中でもひと際逞しい戦闘コーダ、母は美しくて優しくて、歌と踊りが上手な芸錬コーダだった。ふたりの兄は父と同じ戦闘コーダ、記憶力が良くて勘のいい妹は医能コーダ、末っ子の弟は類まれなパワーを持った伝心コーダだ」<br /> シンラはそこで、ふつりと言葉を途切れさせると、自嘲気味に頭を振った。<br />「だが俺は、俺は…人間の言葉を話す異端児。つまり唯の〈のけもの〉として、この世に生を受けたんだ」<br /> そう言って耳を垂れさせたシンラにそっと寄り添うと、アクアはその逞しい首に両腕を回した。ふさふさのたてがみに鼻を突っ込んで、少しくぐもった声でアクアが問う。<br />「人間の言葉を話すコーダは、〈のけもの〉なの?」<br />「数百年に1頭生まれるか生まれないかの、異質な存在であることは間違いない」<br />「そう…」<br /> アクアのつぶやきがシンラの左耳をくすぐる。不思議に癒される、温かな声音だった。<br />「一緒だね」<br />「ん?」<br />「あたしとシンラは一緒。同じ〈のけもの〉で、ふたりぼっち」<br />「そうだな」<br /> 心に温かな何かが注がれる気がして、シンラはそっと目を瞑った。<br /> いつまでも、こうしていてほしかった。<br /><br /> しかし。<br />「ん?いい匂い…」<br /> アクアがぱっとシンラから身を離し、焚き火を振り返った。<br />「やったぁ!焼けたみたいだよ、シンラっ!」<br /><br /> もう少し、抱きついていて欲しかったな。お前、余韻というものを知らないのか…。<br /><br /> ちょっと不満気に鼻にしわを寄せながらも、シンラも焚き火に近づいて、アクアが木の枝を焼けた紫長芋に突き刺すのを見た。<br />「少し冷まさないと、火傷しちゃうね」<br /> アクアはそう言って、木の枝に差したままの紫長芋をふぅふぅしている。早く食べたいけれど火傷も怖い、だから一生懸命に冷ましているアクアの姿が微笑ましくて可愛い。<br /> やがて頃合いになったのか、アクアはシンラの前に紫長芋をずぃと差し出した。<br />「食べよ、シンラ」<br /> これからの長旅の大事な食糧だ。シンラとアクアはゆっくり味わって、それぞれ1本ずつ紫長芋を食べた。<br />「うん、おいしかった!」<br /> まだ食べ足りないだろうに、アクアはそう言って元気に立ち上がった。<br /> そんなアクアに、シンラは訊ねた。<br />「どうする、次の街を目指すか?」<br /> う~ん、とアクアが考え込む。<br />「ねぇ、シンラ。次の街にも、あのおいしそうな腸詰はあると思う?」<br /> どうやらアクアは、どうしてもあの腸詰が気になるらしい。<br />「さあ、あるとは限らないな」<br />「だよね」<br /> アクアがきょろ、と四方を見渡す。<br />「この街、明るくていいよね。あのお祖父さん、優しかったし。腸詰や雲あめもあるし」<br />「腸詰や雲あめ、があるし、だろ」<br /> アクアのわかりやすい態度を可笑しく思いながらも、シンラは憮然とツッコんだ。<br /> アクアが、ぺろと舌を出すところを見ると、図星だったらしい。<br />「なんとかして、この街を出る前に、あの腸詰だけでも食べられないかなぁ」<br />「そんなに食べたいのか?」<br /> こく、と頷くと、アクアはしばし思案顔になる。やがて「そうだ!」と言って、ポンと手を叩いた。<br />「ねぇ、シンラ。いいことを思いついたよ!」<br /> アクアはそう言うと、シンラのピンと立った耳元で何かを囁いた。</span></span><br /><br /><a href="http://www.alphapolis.co.jp/cont_access2.php?citi_cont_id=731039844" target="_blank"><img src="http://www.alphapolis.co.jp/cont_access.php?citi_cont_id=731039844&size=88" width="88" height="31" alt="" /></a><br /><br /><br />
590

猫の手かりました

紫外線がキツい季節になりましたね。日傘が手放せないのに、なぜか毎年必ず置き忘れてなくす、灯凪田テイルです。でも大丈夫、あたしの日傘はしまむらです。(^^)/しまむらとはいえ、何本もなくすと痛いデス(>_... 紫外線がキツい季節になりましたね。<br /><br />日傘が手放せないのに、<br />なぜか毎年必ず置き忘れてなくす、灯凪田テイルです。<br /><br />でも大丈夫、あたしの日傘は<span style="font-size:large;">しまむら</span>です。(^^)/<br /><span style="font-size:x-small;">しまむらとはいえ、何本もなくすと痛いデス(>_<)</span><br /><br /><img src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" alt="" border="0" style="border:0;" class="emoji">「早い話が、ウッカリものなのょ!」<br /><br />確かに。<br /><br /><img src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" alt="" border="0" style="border:0;" class="emoji">「もう、いっそのこと日傘に頼らず、<br />目指し帽をかぶって全身黒づくめのコートで外出すりゃいいぢゃないっ!」<br /><br />そんな<s>一度遭遇したことがある露出狂みたいな</s><br />怪しい格好イヤです。<br />しかも、めっちゃ暑そう"(-""-)"<br /><br />かわいくないこと言うにゃんこに、<br />代わりに巻いてやりました。<br /><br /><a href="http://otonaasabi.blog.fc2.com/img/2016051416025203c.jpg/" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-96.fc2.com/o/t/o/otonaasabi/2016051416025203c.jpg" alt="IMG_0396 (400x331)" border="0" width="400" height="331" /></a><br /><br /><br />う~~ん、イマイチ!<br />ものすごくイマイチ!!<br /><br />もっとこう、あのブログのにゃんこさんみたいに<br />男子なのに女優顔のショットがとれないかなぁ。。。。<br /><br /><img src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" alt="" border="0" style="border:0;" class="emoji">「やる気なし、協力する気皆無、だりぃ~、はやく取れっ!!<img src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2008-11-30/329788.gif" alt="" border="0" style="border:0;" class="emoji">」<br /><br />maoちゃんたら、目がうつろです。"(-""-)"<br />何枚も撮りましたが、すべて失敗、諦めました。<br /><br /><img src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" alt="" border="0" style="border:0;" class="emoji">「んな無駄なことしてる暇があったら、小説更新しなさいょっ!」<br /><br /><span style="font-size:x-large;">えっ!</span><br /><br />え~~、人生には無駄が大事です。<br />無駄と思えることも、いつか無駄でなくなる、<span style="font-size:x-small;">きっと、たぶん。</span><br /><br /><span style="font-size:x-small;">第5章 Second Love めちゃ難しいデス。<br />停滞してマス、スミマセンm(__)m<br /></span><br /><br /><br /><img src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" alt="" border="0" style="border:0;" class="emoji">「つまりは、お手上げ状態ってことでしょっ。<br />↓こんな感じ?」<br /><br /><a href="http://otonaasabi.blog.fc2.com/img/20160514161918b9e.jpg/" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-96.fc2.com/o/t/o/otonaasabi/20160514161918b9e.jpg" alt="お手上げ" border="0" width="204" height="251" /></a><br /><br /><br />ご、ご協力感謝します。(*´ω`*)<br /><br /><img src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" alt="" border="0" style="border:0;" class="emoji">「ほんっとにダメな飼い主で、ごめんなさいね。<br />あとでキツく叱っときます!(´-ω-`)」<br /><br /><br /><br />
589

更新してみるもんだ。。。

昨日は、約1か月ぶりの「アイス」更新でしたが。ちょっと、嬉しいことが。ピンボケですが、見えるでしょうか?アルファポリス様「現代文学」で、アイス1位になりました。はじめてかも。。。(*´ω`*)あ。なんか私の書くものってラノベじゃないよなぁ~って思ってたので、(活動中の「なろう」様はラノベ比率とっても高め)アルファポリス様は「現代文学」に入れてました。小説全体では201位なんですけどね。(*ノωノ)(その後、地味~に... 昨日は、約1か月ぶりの「アイス」更新でしたが。<br /><br />ちょっと、嬉しいことが。<br /><span style="font-size:x-small;"><span style="font-size:large;"><br /><a href="http://otonaasabi.blog.fc2.com/img/201605081457039e6.jpg/" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-96.fc2.com/o/t/o/otonaasabi/201605081457039e6.jpg" alt="アルファ/アイス(385x800)" border="0" width="385" height="800" /></a></span></span><br /><br />ピンボケですが、見えるでしょうか?<br /><br />アルファポリス様「現代文学」で、アイス1位になりました。<br />はじめてかも。。。(*´ω`*)<br /><br />あ。<br />なんか私の書くものってラノベじゃないよなぁ~って思ってたので、<br />(活動中の「なろう」様はラノベ比率とっても高め)<br />アルファポリス様は「現代文学」に入れてました。<br /><br />小説全体では201位なんですけどね。(*ノωノ)<br />(その後、地味~に上がりはじめて日付変わった頃<br />175位までいってました。。。ふぅむ(´-ω-`) )<br /><br />でも、モチベーションにはなるなぁ。小説書くって、孤独な作業ですからね。<br />よぉし、がんばるぞぃっ。 ←単細胞<br /><br /><br /><br /><br />
588

➀有さんの両親

あっという間に1か月以上経ってしまい、広告が出てしまいました。(;^ω^)第5章 Second Love はじめます。でも不定期…(●´ω`●) もしも佐伯仁という高名な画家が、莫大な遺産を残さなければ、有さんは本当の父親の存在を永遠に知らないままだったかもしれない。 事実と言うのは、ときとしてとても残酷だ。虚構の世界に慣れている現代のあたしたちにとって、残酷な現実はむしろ別世界のように感じることすらある。 だけど。 有さ... <span style="color:#009999">あっという間に1か月以上経ってしまい、<br />広告が出てしまいました。(;^ω^)<br /><br />第5章 Second Love はじめます。<br /><br /><span style="font-size:x-small;">でも不定期…(●´ω`●)</span><br /></span><br /><br /><span style="font-size: medium;"><span style="font-family: 'ヒラギノ角ゴ Pro W3';"><br /> もしも佐伯仁という高名な画家が、莫大な遺産を残さなければ、有さんは本当の父親の存在を永遠に知らないままだったかもしれない。<br /> 事実と言うのは、ときとしてとても残酷だ。虚構の世界に慣れている現代のあたしたちにとって、残酷な現実はむしろ別世界のように感じることすらある。<br /><br /> だけど。<br /> 有さんは、それを現実として受け入れた。<br /> 淡々と語るその無表情に近い顔に、いつも以上に低く冷静な声に、あたしは有さんの心が血まみれなのを感じた。血まみれなら、まだいい。怖いのは、心が死んでしまうことだ。血を流すことすら忘れて。<br /> そして、もうひとつ、感じた。<br /> 有さんの決心は、本物だ。揺るがない。<br /> それは、あたしたちの別れを意味していた。<br /><br /><br />✵ ✵ ✵<br /><br /> 大学生になったばかりの18歳の白須透子は、抜けるような白い肌と黒曜石のように輝く神秘的な瞳、清純無垢を体現しているかのような美貌で、誰もが振り向かずにはいられないほどの美少女だった。<br /> 名家として知られる白須家の末娘で、甘やかされつつも厳しい礼儀作法を叩き込まれた正統派のお嬢様でもあった。小学校から女子だけの学び舎に通い、彼女の周りの男性と言えば父親とその友人知人、叔父たち、雇人や運転手など大人ばかりだった。<br /> 12歳上の兄がいたが、透子が物ごころつく頃には成人していて、小さな妹の事より自分の世界に熱中していたのはしかたのないことだろう。<br /> だから透子の遊び相手は、外国製の高価なお人形と選ばれた女の子の友達、ときどき7つ離れた姉、そして画用紙だった。<br /> 幼い頃から透子は、絵が好きだった。鑑賞はもちろん、描くことが好きだった。名家のお嬢様の趣味として、絵画は好ましいものであったので、両親は絵の家庭教師を雇った。けれども透子の絵の才能は、早い時期から先が見えていた。<br /> やがて透子はピアノにも興味を持ちはじめた。こちらもすぐに優秀な家庭教師がつけられ、音楽の才能の方はなんとか音大を目指すくらいに開花した。絵画は趣味の一つとなり、時折気晴らしに筆を持つことはあっても、もっぱら鑑賞が主となっていった。<br /><br /> 透子が音大に無事合格し、大学に通いはじめると、その清らかな美貌がいつしか噂となり注目されるようになった。大学1年生の秋、透子はある情報誌の表紙を飾ることとなる。それから様々な話が透子の元へ舞い込んだ。<br /> モデルにならないか、女優にならないか、シンガーソングライターとしてデビューする話まで打診された。音大に通っていると言うだけで、声楽専攻でもないのに。<br /> そんな浮ついた誘いのことごとくは、厳格な父によってはねつけられた。しかし絵のモデルに、という申し出は透子の強い希望もあって許された。<br /> こうして透子は当時、新進気鋭の日本人画家としてまず海外で注目された佐伯仁と出会うことになる。<br /><br /> 30歳になったばかりの佐伯仁には妻がいたが、病気のために子供が望めない体となっていた。<br /> 妻帯者で12歳も違う男、しかも日本画家として世間に名が知れはじめた画家と、娘がそんなことになるとは白須家の当主は考えもしなかったに違いない。<br /> しかし、ふたりは出逢ってしまった。<br /> 透子は自分の中に、激しい感情があることを、てこでも動かない我があることを、佐伯と出逢って初めて知った。<br /> やがて、佐伯の子を宿すことになる。佐伯は妻に打ち明け、認知すると言った。<br /> 大人しく、影のようだった佐伯の妻が、逆上した。<br /> それはそうだろう、子ができないことを申し訳なく思ってひっそりと暮らしてきたのに、いきなり残酷な宣告をされたのだ。<br /> 透子の父も当然激怒し、ふたりが会うことを禁じて、透子に監視をつけた。<br /> やがて子供が生まれ、『暁仁(あきひと)』と名づけられた。<br /> 認知に激怒した佐伯の妻は、子どもが生まれた途端に養子にほしいと言いはじめた。もちろん透子は拒否した、佐伯も。<br /> それでも諦めきれない佐伯の妻は、一度でいいからその子を見せてほしいと言った。それも拒否されると、佐伯の妻はある計画を密かに思い練るようになった。<br /> その計画は、暁仁が1歳6カ月になった頃、偶然が重なってやすやすと実行に移されてしまった。<br /> 佐伯の妻は暁仁を攫(さら)って、遠くの修道院に捨てたのである。そしてその帰り道、交通事故にあって意識不明になった。<br />「あの子を攫ってやった、森に捨ててやった」<br /> 時折、うわ言のように呟き続け、数週間後に亡くなってしまった。<br /> <br /> 佐伯も透子も、そして白須家も、必死で暁仁の行方を捜した。が、とうとう見つからないままに歳月が流れ、傷心の透子は少しずつ精神を病んでいった。<br /> 捨て子を拾ったシスターや修道院の人々は、産着に施された『AKIHITO』の刺繍を見て、その子を「アキヒト」あるいは「アキちゃん」と呼ぶようになった。孤児院が併設された修道院には、捨て子はめずらしいことではなかった。親は決して名乗り出ない。<br /> けれどもシスターはその産着の上質さから、もしやと思い、小さな新聞広告を出してみた。けれども地方紙に小さく載ったその三行広告は、不幸なことに透子たちの目に留まることはなかった。<br /> それから十数年が過ぎ、佐伯は2度目の結婚をして、子供を2人授かった。<br /> 高名な日本画画家になった佐伯仁は、74歳で莫大な遺産を残して亡くなった。相続人は妻と2人の実子、それと認知された子供である。佐伯も透子も、「失踪宣告」の手続きをしていなかった。ふたりの間にできた子を、死んだものと諦めることができなかったのである。<br /> 行方のわからなくなった相続人探しがはじまった。<br /> <br /> 物理学者の氷川侑久と妻の星華は、自分たちが養子にした有が、孤児院では「アキヒト」と呼ばれていたことを思い出した。孤児院に当時の状況を問い合わせてみると、暁仁を保護したシスターはすでに亡くなっていたが、産着はいまも大事に保管されていると言う。<br /> そしてDNA鑑定まで行われ、透子と有が母子であること、佐伯仁の認知された子供であることが判明したのだった。<br /><br />✵ ✵ ✵<br /><br />「母の面倒を見たい」<br /> 有さんはそう言った。<br /> もう透子さん、有さんのお母さんのご両親は他界していた。兄姉にはそれぞれの家族と生活がある。<br />「病院から、引き取りたい」<br /> そう言った有さんに、氷川家のお母さんは困惑した。<br />「いったいどこで、面倒を見ると言うの?」<br />「別荘を貸してもらえませんか?」<br />「それはいいけど…でも」<br /> 氷川家のお父さんも言ったそうだ。<br />「仕事はどうするんだ?」<br />「会社は辞めます」<br /> 黙って訊いていた惺が、初めて口を開いた。<br />「そんなことっ、そんなことより、一番大事なことがあるだろっ!」<br /> 有さんは、静かに惺を見て言ったそうだ。<br />「菜乃果には、俺がちゃんと話す」</span></span><br /><br /><br /><br /><a href="http://www.alphapolis.co.jp/cont_access2.php?citi_cont_id=357034555" target="_blank"><img src="http://www.alphapolis.co.jp/cont_access.php?citi_cont_id=357034555&size=88" width="88" height="31" alt="" /></a><br /><br /><br />
  • Date : 2016-05-08 (Sun)
  • Category : アイス
    Return to Pagetop
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。