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587

㉓宿 命

 3年の秋学期は企業説明会や就活生ガイダンス、それにもちろんここで少しでもいい成績を取っておかないといけない授業と試験、実質的に最後の学園祭ステージとなるダンスサークルの活動などで慌ただしく過ぎていった。 そんな地に足がつかないようなふわふわとした不安と忙しさと焦りの中で、あたしは有さんといくつかのマンションのモデルルームを見学に行った。 モデルルームはどれも贅沢に造られていて、実際を眼にしている... <br /> <span style="font-size: medium;"><span style="font-family: 'ヒラギノ角ゴ Pro W3';">3年の秋学期は企業説明会や就活生ガイダンス、それにもちろんここで少しでもいい成績を取っておかないといけない授業と試験、実質的に最後の学園祭ステージとなるダンスサークルの活動などで慌ただしく過ぎていった。<br /> そんな地に足がつかないようなふわふわとした不安と忙しさと焦りの中で、あたしは有さんといくつかのマンションのモデルルームを見学に行った。<br /> モデルルームはどれも贅沢に造られていて、実際を眼にしているのに、どうしても夢現のような気分になってしまう。<br /> そんなあたしとは対照的に、有さんのモデルルームの見方や判断基準はいつでも理論的で大人だった。<br /> 背伸びしても届かない距離、それは外見より中身なのかもしれない。そう思いながら背の高い彼を見上げるあたしを、有さんはクールな眼の奥に妖しい優しさを秘めて見つめ返した。<br /><br />「あの一流企業にお勤めで、大学の非常勤講師もしていらっしゃるのですか」<br /> 事前のアンケートに記入した頭金の額を抜かりなく確認しながら、モデルルームの担当者は満面の笑みをつくって言った。<br />「で、こちらは奥様ですか?」<br /> 奥様なんて呼び名が全く似合わない、ちょろいあたしにも担当営業の男性は完璧なつくり笑顔を向ける。<br />「婚約者です」<br /> おっと。さらりと答えたよ、有さん。<br /> その堂々とした背中に隠れるようにして、あたしは曖昧に微笑んで見せるつもりが、見事に顔が引き攣った。ああぁ…全然、修業が足らない。<br /> そんなあたしにまるで気づかない素振りで、担当営業さんは広いリビングへと案内する。<br />「こちらのタイプですと、リビングは23畳です」<br /> モデルルームのリビングの窓の先には、ご丁寧に眺望の良さを伝えるパノラマ写真が置いてある。<br />「土地柄、あまり高層なマンションは建てられないのですが、マンションの敷地内には緑豊かな共有スペースが十分に確保されていますから、リビングからの眺めも落ち着いた美しいものになります」<br />「まあ、ここなら低層の方が贅沢ですよね」<br />「そうです、そうです。さすが、お目が高い」<br /> 担当者は我が意を得たりとばかりに、有さんに大仰なほどに同意して見せる。<br /> あたしは独り、広いなぁ、贅沢だなぁと思いながら、モデルルームにしつらえられたお洒落なソファセットの間を歩き回った。<br />「菜乃果」<br /> そんなどこか他人事みたいなあたしを、有さんが呼んだ。<br />「来てごらん。キッチンも割に広いぞ」<br /> 贅沢なモデルルームに立っていても全く違和感のない有さんに少し見惚れながら、あたしはキッチンの方へ近づく。<br />「あ、カウンターキッチン」<br /> それは、いままで見てきたパンフレットやモデルルームの中でも、あたしの心を捉えた仕様だった。<br /> キッチンでお料理をしながら、カウンター越しにリビングで寛ぐ有さんを見る。それが今現在のあたしの、唯一と言っていいほどの現実感を伴った幻想だった。<br />「アイランドタイプのキッチンもございますが」<br /> 担当者が、パンフレットを見ながらそう言う。<br />「いや、彼女はカウンターキッチンが憧れでね」<br /> そう言う有さんに、担当者はまた大仰に何度も頷く。<br />「そうですか、そうですか」<br /><br /> あたしは、カウンターキッチンの中に入ってみる。<br /> 冷蔵庫や食器棚を置けるスペースは充分にあって、さらにパントリー(食品庫)まであるのには感動した。<br />「うわぁ、凄い」<br /> まだ何も置かれていないパントリーの中は充分に広い。<br /> 週末は有さんとお買い物をして、ここに買い置きの食品を並べる。そして、一緒にキッチンに立ってお料理をするのだ。そんな想像が突然カラーで浮かんできて、あたしはやっと現実感を持ってこの状況を受け入れる。<br />「何が、凄いんだ? 菜乃果」<br /> 有さんもやってきて、パントリーを覗く。<br />「なるほど、これは便利だ」<br />「収納は、これ以外にも十分に確保してあります。ですから生活スペースはすっきりとさせて、インテリアなどにこだわることができますよ」<br /><br /> キッチンに有さんと並んで立ってみる。<br />「ここで、こんな風に並んでお料理ができたらいいね」<br /> 思ったままに、そう呟いてみる。<br />「菜乃…」<br /> ふたりのときしか呼ばないその呼び方ひとつで、有さんが満足しているのがわかる。<br />「それができたら…幸せだな」<br />「できるさ」<br /> 有さんが1㎜の不安も感じさせない口調で、力強く答えた。<br />「マンションが完成し、ご入居できる時期は来年7月頃になっております」<br /> 担当者が、背中を押すようにそう言った。<br /> 7月…。<br /> その頃には、あたしは就職のメドがたっているだろうか。<br />「丁度、菜乃果は夏休みの頃だな」<br /> 有さんがそう言って、あたしの髪に触れる。その髪は就活のために黒く染めたままだ。<br />「楽しみだな」<br />「う、うん」<br /> そう答えたとき、あたしたちの未来は1点の曇りもなく輝いているはずだった。<br /><br /><br />✵ ✵ ✵<br /><br /> 3月のインターンシップが何とか終了して、4月になった頃。<br /> 4年生になったばかりの快晴の空の下、正門を出ると惺の姿があった。<br />「惺!」<br /> 相変わらず金髪パンクな弟の姿を見かけて、あたしは弾んだ気持ちで小走りに近づいた。<br />「どうしたの、今日は? 早乙女君と、約束?」<br /> 無邪気に訊いたあたしに、めずらしく惺が躊躇している。<br />「?」<br /> 惺は、一度何か言おうとし、また口をつぐんだ。<br />「どした?」<br /> いつものように、開口一番ふざけたことを言わない惺の顔を覗き込む。惺の眼の色が、いつになく真面目でドキッとする。<br />「菜っ葉…」<br />「うん」<br />「俺は、いつだって菜っ葉の味方だ」<br /> な、何? 突然。わかってるよ、惺はいつだって…。<br />「だから…だから、俺は菜っ葉を…」<br /> どうしたの? いつも明解で、ふざけてて、楽しい惺が。今日は…。<br />「惺、大丈夫だよ」<br /> だから、言って。何を言いたいの?<br /> 頷きながら見上げる惺は、有さんと同じでとても背が高い。でも覗き込んだ眼は、有さんとは全然違う。温かくてひょうきんな惺の眼の色…でも今日は違っていて、それが少しあたしを不安にさせる。<br /> 惺は、あたしの顔に浮かんだ微かな不安の色をちゃんと確かめてから、さらりと言った。<br />「菜っ葉、あのな。兄貴の、兄貴の本当の父親が見つかった」<br />「ふぁ?」<br /> 突然のことに、間抜けな反応をしてしまった。<br />「亡くなっていたけど」<br /> どきん、とする。喉の奥がひゅ、と詰まる感じがした。<br />「ど、どんな人?」<br />「高名な、日本画家」<br /> え…。それって、まさか。そうだよ、まさかね。<br />「で」<br /> そう続けた惺の顔が、少し苦しそうに歪む。話しはまだ終わりではなかったらしい。<br />「母親も…見つかったんだ」<br /> 有さんのお母さん…。あたしの脳裏に、氷川家の廊下で見た後ろ姿の女性の絵が浮かんだ。有さんが描いた、エプロン姿の女性。それはどちらのお母さんだったんだろう。そんな疑問が再び湧いてくる。<br />「病院で。ちょっと精神的に、まいってるみたいだ」<br /> え…。<br /> 喉の奥がさらにひゅ、となって。今度は、言葉が出てこなかった。<br /><br /> 再び見上げた惺の顔が長いつき合いの中でも初めて見る複雑な表情で。<br /> 同時にあたしの視界に映る景色が、色を失った。</span></span><br /><br /><br /><span style="color:#00CC99">※ここで 第4章 氷点 は終了です。<br />ここまでお読みいただき、ありがとうございました。<br />第5章 Second Love へと続きます。</span><br /><br /><br /><a href="http://www.alphapolis.co.jp/cont_access2.php?citi_cont_id=357034555" target="_blank"><img src="http://www.alphapolis.co.jp/cont_access.php?citi_cont_id=357034555&size=88" width="88" height="31" alt="" /></a><br /><br /><br /><br />
  • Date : 2016-03-26 (Sat)
  • Category : アイス
585

㉒あたしたちのこれからって?

  どれも表紙に素敵な雰囲気のイメージ写真が載ったマンションのパンフレットが、リビングのテーブルの上にいくつか置かれている。その一つを手に取って、有さんが言った。「ここなんか、いいと思うんだけど…」 それは閑静な住宅地に立つ低層マンションで、駅から徒歩8分。23区内だから有さんの職場へもアクセスがいい、けど、当然高い。「うわっ、高っ!」 販売価格を見て思わずそう言ったあたしに、有さんが余裕の笑みを返す...  <br /> <span style="font-size: medium;"><span style="font-family: 'ヒラギノ角ゴ Pro W3';">どれも表紙に素敵な雰囲気のイメージ写真が載ったマンションのパンフレットが、リビングのテーブルの上にいくつか置かれている。その一つを手に取って、有さんが言った。<br />「ここなんか、いいと思うんだけど…」<br /> それは閑静な住宅地に立つ低層マンションで、駅から徒歩8分。23区内だから有さんの職場へもアクセスがいい、けど、当然高い。<br />「うわっ、高っ!」<br /> 販売価格を見て思わずそう言ったあたしに、有さんが余裕の笑みを返す。<br />「そりゃあ、この立地でこの広さならしょうがないだろう」<br />「あたし、払えるかなぁ」<br /> そう呟いたあたしに、有さんが今度はきょとんとした表情になる。有さんのきょとん顔、可愛い…でへへ、じゃなくて。<br />「? 何言ってるんだ、菜乃果」<br /> 何って、どういう意味ですか?マジにわからないので、もぞもぞとあたしは説明する。<br />「え、だって。あたし就活生の身だし、どんな会社に就職できるかもわからないし…」<br /> すると有さんは今度はあたしの頭を撫でて、当然のように言い放った。<br />「別に菜乃果に払ってもらおうなんて思っていない」<br /> は? 今度はあたしがきょとん顔する番だった。<br />「え、だって…」<br /> ふたりで暮らす、ふたりのマンションだって言ったよね?<br />「新入社員の給料を当てにするほど、困ってはいないさ」<br /> 有さんなら、そうだろうけど。でも…。<br />「でも、少しでも出せたら…。だって、ふたりで住むマンションなんでしょ?」<br /> おずおずとそう訊くと、有さんが嬉しそうな顔で、あたしを抱き寄せた。<br />「ああ、そうだ。ふたりで住む、俺と菜乃果のマンションだ。じっくり、いい物件を選ぼう。菜乃果とふたりだと、こうして探すのも楽しいものだな」<br /> 確かに、豪華につくられたパンフレットを見ているだけでドキドキわくわくする。それと同時に、分不相応な気持ちもして落ち着かなくなる。つくづく、あたしって庶民だ。<br />「楽しいけど」<br />「けど?」<br />「なんだか、不思議な気がする」<br />「ん? どういう意味だ」<br /> なんだか、現実感がない。こんな夢みたいなマンションに住める気がしない、どうしても。だけど、この気持ちを有さんに正直に話すのは躊躇われた。<br />「なんだか…夢みたい、だから…かな?」<br /> 有さんはふ、と笑うとあたしを後ろから抱きしめた。<br />「俺の、菜乃果。…これが夢だって言うのなら、どんな夢でも見せてやりたい。そうだ、もっとたくさん夢を見ろ。それを俺が叶えてやる。だからもっと俺に甘えろ。もっと我儘を言え」<br /> 背中に大きな愛おしい温もりを感じながら、なんだか涙が出そうになった。幸せすぎると、人は不安になるのだ。この幸せが壊れることなんて、想像すらしたくないのに。でも…。<br /><br /> きっと。<br /> 『気品と重厚さを備え、最上級の快適とくつろぎを叶える邸宅レジデンス』。<br />マンションのパンフレットに記されたセレブなイメージのフレーズが、自分と別世界のような気がするせいだ。でも、有さんにはとてもよく似合う。<br /> だから、大丈夫。きっと、大丈夫。<br /> あたしはこれが現実なのだと確かめるように、後ろを振り向いて抱きしめてくれていた人にいっそう強く抱きついた。<br />「ホントに?ホントに住める?こんな贅沢なところに、ふたりで?」<br /> ああ、と有さんが大きく頷いた。安心させるように、あたしをまた強く抱きしめる。<br /> なのに、なのに、なぜだろう? 小さな風穴から隙間風が吹き込むように、あたしの心はひんやりした得体のしれない不安に木の葉のように揺れていた。<br /><br /><br />✵ ✵ ✵<br /> <br />「え~、いいなぁ。マジぃ~?」<br /> 学食のいつもの場所で、あたしは知花ちゃんにインターンシップの件を報告した。<br />「レイカ・インターナショナルって、あの大手のアパレルでしょ?」<br /> 女性もののファッションを扱う会社なのに、早乙女君が知っているのには驚いた。<br />「だって、有名だもの。親会社は浅野物産、エネルギーから生活産業、次世代分野まで幅広く事業展開する総合商社だよ」<br />「えぇ~、そうなの?」<br /> 今度はあたしが驚いた。<br />「…え、沢口さん、知らなかったの?」<br />「う、うん」<br /> 情けないな、あたし。これからインターンシップする会社なのに。<br />「でも、総合商社ってアパレルも扱うもんなの?」<br /> そう訊ねた知花ちゃんに、早乙女君がちょっと自信なげに答えた。<br />「さぁ、詳しくは知らないけど。でも、浅野グループの一員のはずだよ」<br />「ふ~ん。でも、くっそー!菜乃果に先越されたぁ」<br /> 知花ちゃんが、天を仰ぎながら悔しがる。<br />「氷川先生の知り合いの紹介?さすが、一流広告マンは人脈が違うね」<br /> そう感心する早乙女君に、インターンシップを受け入れてもらった事の顛末を正直にはとても言えない。かなりイレギュラーな方向の人脈と、偶然に偶然が重なった結果で、あたしって運がいいのか悪いのか判断がつかない、いまのところ。<br /><br /> 有さんに話したら、思いっきり不機嫌な顔で「浅野のヤツ」と吐き捨てるように言ったから慌ててしまった。<br />「菜乃果を妊娠した自分の女の身代わりにしただって。あの野郎、殺してやる」<br /> 有さんがあまりにも本気モードな感じでそう言ったので、正直に話したことを酷く後悔したくらいだ。<br />「い、いや、でも。そのお蔭でインターンシップさせてもらえることになったし」<br />「冗談じゃない、ヤツとの縁もこれきりだ。菜乃果、そんなツテは断れ!」<br />「え゛」<br /> それから約2時間かけて、あたしは有さんを説得したのだ。最後まで、納得した感じはなかったけど。もう、明らかに渋々と言った感じで。<br /> だから、あたしは三代目をアルバイト先ですでに知っていたとは、どうしても言えなかった。言わないのは、嘘をついたことにはならない…よね?<br /><br />「いいなぁ、菜乃果。もう、いっそのこと、就職も氷川先生ルートでお願いしちゃえば?」<br /> い、いや、それはできない。それくらいは、自分の力で。でないと、ダメダメな社会人になりそうな気がする。もうすでにダメダメな就活生なのは、置いといて。<br />「ち、知花ちゃんの方はどうなの?」<br /> あたしは話題を変えようと、知花ちゃんの状況を訊いた。<br /> はぁ、と知花ちゃんはらしくないため息をつくと言った。<br />「OB・OG訪問してみたんだけど、なんか手応えがないんだよなぁ。やっぱ一般企業だと女子ってなんだかんだ言っても結局、事務員じゃん」<br />「嫌なの?内勤」<br />「そう言う訳じゃないけど。なんかこう、もっと自分にしかできないことを任されたいっていうか…」<br /> うん、なんかわかる。わかるけど、それが何なのか、いまの知花ちゃんとあたしはわかっていないのだ。<br />「会社で選ぼうとするからじゃない?職種で選んでみたら?」<br /> さすが、会計士を目指している早乙女君は眼のつけ所が違う。でも、職種で選ぶのは尚更難しい。大概は入社してから、各部署に振り分けられるみたいだから。<br /> 知花ちゃんも、同じ考えだったらしい。<br />「何言ってんのよ、乙女。あたしたち、あんたと違って専門性のある勉強してないし。英語生かせる仕事って言ったって、案外少ないんだよ。企業じゃ外資系くらい?一流商社や貿易会社、公官庁関係も、あたしの英語力じゃ無理無理」<br />「そんなことないよ。知花ちゃん語学研修のとき、Aクラスだったじゃない」<br />「全っ然ダメ、あの程度じゃ。まあ、理史くらいの実力があれば違うんだろうけど」<br /> おっと、知花ちゃん何気に惚気ですか?<br /> しかも、噂をすれば…。<br />「知花」<br /> 近藤君が、後ろからそう呼びかけた。<br />「あ、理史」<br /> 振り向いた知花ちゃんの顔が、嬉しそうに輝く。<br />「ごめん、菜乃果。あたしこれから、理史とちょっと…」<br />「うん、わかった」<br /> 近藤君が留学から帰って来てから、ふたりは一層ラブラブになった。1年も離れていたんだものね、ずっと待ってたんだものね。<br /> 近藤君の腕に両手を回すようにして、嬉しそうな足取りで去って行く知花ちゃんの後ろ姿を、あたしと早乙女君は微笑ましく見送った。<br /></span></span><br /><br /><a href="http://www.alphapolis.co.jp/cont_access2.php?citi_cont_id=357034555" target="_blank"><img src="http://www.alphapolis.co.jp/cont_access.php?citi_cont_id=357034555&size=88" width="88" height="31" alt="" /></a><br /><br /><br />
  • Date : 2016-03-19 (Sat)
  • Category : アイス
584

㉑棚からぼた餅

「なぁ、直樹。この女子大生に、この会社でインターンシップとやらをやらせてくんない?」 は? 浅野さん、藪から棒に何言ってるんですか?「インターンシップ?」 ドアに向かっていた三代目が浅野さんを振り返り、それからあたしに視線を戻した。「い、いや、浅野さん。いきなり何言ってるんですか」「だってインターンシップ先、探してるんだろ? 女子大生」 そうだけど。でもいきなり、しかもこんな話し合いの後に切り出す話... <span style="font-size: medium;"><span style="font-family: 'ヒラギノ角ゴ Pro W3';"><br />「なぁ、直樹。この女子大生に、この会社でインターンシップとやらをやらせてくんない?」<br /> は? 浅野さん、藪から棒に何言ってるんですか?<br />「インターンシップ?」<br /> ドアに向かっていた三代目が浅野さんを振り返り、それからあたしに視線を戻した。<br />「い、いや、浅野さん。いきなり何言ってるんですか」<br />「だってインターンシップ先、探してるんだろ? 女子大生」<br /> そうだけど。でもいきなり、しかもこんな話し合いの後に切り出す話題ではないのでは?<br />「当社では、インターンシップは受け入れていないわ」<br /> 社長がきっぱりと言った。<br /> そうですよね。それにもし受け入れていたとしても、こんなエントリーの仕方は前代未聞だ。<br />「来年度の新規採用は一般入社試験と、それから関連取引先からの…」<br /> 三代目が、少し言葉を濁しながら言った。<br />「ふ~ん。つまり男はいい大学か、打たれ強いスポーツ経験者系、女はいいとこのお嬢様をコネでってことか」<br />「そんなことは一言も言っていません」<br /> 浅野さんの身も蓋もない言い方を、さすがに三代目は即座に否定した。<br />「いいじゃんか、タテマエなんか」<br /> い、いいんですか、浅野さん。そんな挑戦的な態度で。あなたはこれから100万円という大金を借りる身なんですよ、しかも無利子で。<br />「タテマエではありません。いまの兄さんの言動は、彼女を含む多くの就活生を侮辱するものです」<br /> 三代目は。再び冷静になって言った。<br /><br />「じゃあさ、この娘(こ)の髪見て、どう思うよ。直樹?」<br />「髪?」<br /> 三代目が訝しげな顔をして、あたしの方を見る。<br />「…就活生らしくて、いいと思いますが」<br /> さすがの三代目も、唐突に振られた話題に、その意図が掴めないようだった。<br />「この娘、染めてんだよ。就職活動のためにさ。もともとはこの眼の色と同じくらい、茶色なんだ」<br /> いや、浅野さん。いまここでそんなこと言わなくても。<br />「そうですか」<br /> 表情を変えずにそう言った三代目に、浅野さんが詰め寄った。<br />「この会社、まさか求める新入社員像に『個性ある人材』なんて書いてないよな?」<br /> ここで三代目は、ようやく浅野さんの意図が掴めたらしい。<br />「書いていますよ」<br />「もともとの髪色を、持って生まれた個性を真っ黒に塗りつぶさせておいて、何が『個性ある人材』だよ。没個性で、言いなりになる人材の間違いじゃないのか?」<br /> あ、浅野さん、そこまで言わなくても…。ケンカ売ってるんですか?借金できなくなりますよ。<br />「髪を黒く染めたのは、彼女の意思でしょう?私たちが求めたわけではありません」<br />「あ"?」<br /> あくまでも冷静で表情を変えない三代目に、浅野さんの眉と声のトーンが上がった。<br /><br />「兄さん、少なくとも彼女の方が兄さんより大人の様です」<br />「どういう意味だよ?」<br />「企業へのエントリーシートに、自分の髪の色を書く欄はありません。それに面接の度に毎回、自分の髪の色はもともと茶色で染めてはいないことを、釈明するわけですか?面接官がそれを信じる信じない以前に、その煩わしさを考えたら黒く染める方が余程賢い選択です」<br /> 三代目の言い分は、最もだった。あたしもそれを考えたから、黒く染めることを選択したのだ。<br /> だけど、浅野さんはやっぱり浅野さんだった。<br />「俺はさ、その賢い選択ってやつが大嫌いなんだよ。どんなに煩わしくたって、自分を曲げない方を、自分の個性を塗り潰さない方を俺なら選択するね。一度、自分らしさより世間の眼ってものを優先したら、ずっとそうして生きていくしかなくなるんだよ。それは個性の自殺だって、俺は思うね」<br /> ぐさり、と胸に刺さる言葉だった。<br />「兄さんのように、生きていける人ばかりではありません」<br /> 三代目の声が、初めて感情を持った気がした。少し悲しい、少し諦めたような。<br /> そうなのだ、そんな風に自分を通して生きていける人は強い。だけど人は、そんなに強くない。だから逆風に向かって生きる道より、風当たりのない道を選ぶのだ。<br /> 有さん、有さんはどう思うの? 有さんがいまここに居たなら、なんて言うんだろう?<br /><br />「一真。あなた、偉そうにそんなこと言って、借金はいいの?」<br /> それまで一言も言わなかった社長が、堪りかねたようにそう言った。<br />「あ、やべえ。お願いします、お願いします。いやぁ、これが俺の賢い選択?」<br /> 呆れたようにじろりと睨む社長と、大事なものを守るためなら平気で頭を下げるちょっとカッコいい浅野さんを残して、三代目とあたしは部屋から出た。<br /><br /><br /> しばらく無言で歩いていた三代目が、エレベーターの前で立ち止まると言った。<br />「今日は、本当に申し訳ありませんでした。インターンシップの件は了承しましたから、就職課など必要な報告を済ませてエントリーしてください」<br />「本当にいいんですか?予定していなかったのに、ご迷惑では…」<br />「あなたの方が、よほど迷惑をかけられていますよ」<br /> 三代目が苦虫を潰したような表情でそう言って、頭を振った。<br /> それから徐にポケットから名刺入れを取り出すと、名刺を一枚差し出した。<br />「ここに私のメールアドレスがあります。当社のホームページにインターンシップの申込みは設けてありませんので、個人的にこのアドレスにご連絡ください」<br /> あたしは、その名刺を有難く受け取った。アパレルを目指していたわけではないけれど、会社と実際の仕事を経験する貴重なチャンスだ。しかもこんな棚ぼた的な幸運、滅多にあるわけじゃない。<br />「ありがとうございます」<br />「いいえ。では」<br /> そう言って三代目は、エレベーターのボタンを押した。<br /><br /> やがてやってきたエレベーターに乗ったあたしに、三代目がふと思いついたように言った。<br />「そうでしたか、あの髪が自然の色でしたか。よく似合っていました。髪の毛の色、当社はどちらでもいいですよ」<br /> え…。<br /> 気づいていたんだ、あたしがあのベーカリーでアルバイトしていたこと。<br /> 咄嗟のことに、ぽかんとしたままのあたしに三代目はさらに言った。<br />「あの書類は、実は大事なものだったんです。こんな形ですが、お礼ができて良かった。ずっと気になっていたんです」<br /> そして、三代目は初めて笑顔を見せた。それは早春、解けはじめた薄氷のようなうっすらとしたものだったけれど。<br /> あ、この人も笑うんだ…。<br /> 当たり前と言えば当たり前のことに気づいたあたしの眼の前で、エレベーターの扉が閉まった。</span></span><br /><br /><br /><a href="http://www.alphapolis.co.jp/cont_access2.php?citi_cont_id=357034555" target="_blank"><img src="http://www.alphapolis.co.jp/cont_access.php?citi_cont_id=357034555&size=88" width="88" height="31" alt="" /></a><br /><br /><br />
  • Date : 2016-03-12 (Sat)
  • Category : アイス
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⑳ちょ、ちょっと待って

  三代目が、突然あたしの方を射抜くように真っ直ぐ見ると言った。「それで、慰謝料の希望額は100万円でしたか?」 は? 慰謝料? 何の? ぽかんとするあたしの代わりに、浅野さんが言った。「ああ。俺がそんな額払えないって言ったら、じゃあ親に代わりに払ってもらうって言って訊かなくってさ。どっかから、この会社と俺の関係…みたいなこと?訊いたみたいでさ」 いや、言ってないし。訊いてないし。「もうっ、いい年して10...  <br /> <span style="font-size: medium;"><span style="font-family: 'ヒラギノ角ゴ Pro W3';">三代目が、突然あたしの方を射抜くように真っ直ぐ見ると言った。<br />「それで、慰謝料の希望額は100万円でしたか?」<br /> は? 慰謝料? 何の?<br /> ぽかんとするあたしの代わりに、浅野さんが言った。<br />「ああ。俺がそんな額払えないって言ったら、じゃあ親に代わりに払ってもらうって言って訊かなくってさ。どっかから、この会社と俺の関係…みたいなこと?訊いたみたいでさ」<br /> いや、言ってないし。訊いてないし。<br />「もうっ、いい年して100万円くらい都合できないなんてっ」<br /> 浅野さんのお母さん&社長が、情けなさそうにそう言って顔を背ける。<br />「しょうがないだろ、100万円は俺にとっては大金だ。アンタらと違って」<br />「私たちにとっても、100万円は大金だということに変わりはありません」<br /> 三代目が冷静にそう言って、またあたしをじっと見る。その瞳には何の感情も読み取れなくて、きっとあたしがあのベーカリーで早朝に働いていたことも気づいていないんだろうなと思った。それが、なんだかちょっと寂しく感じるのは、何故だろう。<br />「それに、妊娠の話が本当かどうかの確証もありません」<br /> そう言う三代目に、社長も大きく頷く。<br />「そうよ。だからそれが本当だと言うのなら、ふたり揃って会社へ来なさいと言ったのよ」<br /> なるほど。ここでようやく、あたしにも展開が見えてきた。つまりあたしはその人、妊娠したとかいう浅野さんの彼女?の代役なわけだ。<br /> て、ええええ~~~! 今更ながら、エラい迷惑なんですけどぉ~。<br /><br />「だからさ、こうして来たじゃん」<br /> 浅野さんがこの期に及んで、そう嘘ぶく。もう、なんとなくバレている気がするのはあたしだけ?<br />「で、あなたは、ここでも妊娠していると言うのですね?」<br /> やばい、他人事じゃないんだ。訊かれているのはあたしだ。でも浅野さんとその彼女の状況を知らないだけに、ヘタなことは言えない。<br /> だから、あたしは浅野さんをちら、と見る。<br />「だからさ、こうして言われた通りに来てるじゃん。もういいだろ? 取り合えず、貸してくれよ。 俺が後で責任もって返すから」<br /> 浅野さんが、最後の方はちょっとイライラした感じで言い放った。<br /> でも三代目は冷静さを少しも崩さずに、淡々と質問を続ける。兄弟と言うのに、それが対照的だ。<br />「どう見ても就活生にしか見えないあなたが、しかもまだ二十歳(ハタチ)そこそこにしか見えないあなたが、すでに2人の子持ちで、いままた兄の子供を身ごもっているという訳ですね?」<br />「えぇっ!ふ、2人の子持ちっ!?」<br /> やばい、思わず反応してしまった。いや、だっていきなり2人の子持ちって…。もうっ浅野さん、そんな代役、最初からあたしに務まるわけないじゃないですかっ!<br /><br />「あ~あ、やっぱりバレたか」<br /> 浅野さんが諦めたような、逆にすっきりした感じでそう言って、両手で頭を掻いた。<br /> 当たり前じゃっ! 浅野さんのあまりのテキトーさ、無計画さに、あたしは腹が立つと言うよりツッコミたい気分になった。ホント、しょうがない人だなぁ。<br />「一真っ!」<br /> 今度は社長がキッと顔を上げ、眼を剥いて、そう一喝した。<br />「わりぃ、わりぃ。だってさ、アイツ土壇場で急に怖気づいちゃってさ。やっぱり行かないってゴネだして」<br />「それじゃあ、なんの関係もない、おそらく状況も読めていないこのお嬢さんに、無理やり代役を頼んだってわけですか?」<br />「いやさ、だって。会社の前でどうしようかなって思ってたら、バッタリ知り合いの知り合いに会っちゃって。こりゃ、渡りに船だな、と」<br /> 社長が絶句して、それから頭を抱えている。<br />まあ、そうだろう。あたしだって、こんなに呆れていなければ、浅野さんに詰め寄っていたかもだ。でもあっさりと真相がわかってしまえば、なんだか可笑しい。浅野さんが憎めない。<br /><br />「でもさ、アイツが困っていることは本当なんだ。ちょっと頭悪いけど、心根はいいやつなんだ。俺、助けてやりたいんだよ。頼む、金貸してくれ」<br /> 浅野さんが急に真面目な表情になって、目の前の二人に頭を下げた。<br /> なんだか、ますます浅野さんという人がわからない。いい加減に見えて、なんかいい人っていうか…。<br />「あの電話の女の人は、あなたとどういう関係なのっ?」<br /> 社長が冷静さを保とうとしながらも、声を上擦らせながら訊いた。<br />「ん?腐れ縁?」<br />「どういう腐れ縁ですか?」<br /> 間髪入れずにそう訊き返した三代目は、曖昧にごまかされる気はないらしい。<br />「だから、腐れ縁って言ったら腐れ縁なんだよ。なんだよ、人情の機微がわかんない奴だなぁ」<br />「兄さんこそ、人情の機微ではなく、社会の常識と言うものを理解してください」<br /> 三代目のもっともな理屈に、ち、とまた浅野さんが顔を背ける。<br />「騙されているのじゃないの? その2人の子持ちだと言う女の人にっ」<br /> 社長はその女の人に、かなり不信感を抱いているようだ。<br />「そんなこたないよ」<br /> ホントかなぁ~、とあたしも半信半疑になって浅野さんをチラチラ見る。<br />「じゃあ、土壇場になって怖気づいたりしないで、堂々と来ればいいじゃないの。それができないということは…」<br /><br />「あのさぁ」<br /> ちょっと険しい顔になってそう決めつけた社長の言葉を、浅野さんが不快そうに遮った。<br />「どうして、アンタらはいつもそうなんだ?」<br />「あ、アンタって…。母親に向かって…」<br /> 軽くショックを受けた様子の社長に、構わず浅野さんは続ける。<br />「そりゃあさ。世間様から見たら、アンタらの言ってることの方が正論で、俺らは常識の欠片もないよ。だけど、だからって人間のクズじゃあないんだ。底辺で生きている人間にだって、俺らなりの正義はあるんだ。アイツの正義は、どんなことしたって2人の子供を育てることだ、守ることなんだ。そのために、身体を張って稼いでる。アイツはそれを恥ずかしいことだなんて、これっぽっちも思っちゃいないさ。俺もだ」<br /> 浅野さんが、マジになってる…。<br />「身体を張って堂々と稼いでいるのに、何故100万もの大金がいるんです。しかも人に借りてまで」<br /> 相変わらず冷静な三代目が、そう訊ねた。<br />「それは…」<br />「ほら、騙されてるんじゃないのっ!」<br /> 社長が、叫ぶように言う。<br />「ったく。すべてを白日の下に晒すのが、アンタらの正義ってわけだ。言えないことの一つや二つ、誰にだってあるだろ?」<br />「それは時と場合によります。いまのように大金の借用を求めているような場合は」<br />「言ったら、金貸してくれるのか?」<br /> 浅野さんが、三代目の方に詰め寄るようにして言った。<br />「それが本当かどうかはわかりませんが。しかし兄さんがそこまで覚悟を決めて、その人のために金を借りようと言うのだから、考えないこともありません」<br /><br /> 意外な展開だ。<br /> 社長はというと、何か言いたそうに三代目を見たが、彼は軽く頷いてそれを制した。<br />「借用書を書いてもらいますよ」<br />「わかった」<br />「返済方法と、利子はどうしますか?」<br />「毎月10万ずつ。利子はそっちで決めてくれ」<br />「わかりました」<br /> 三代目は頷いて、社長の方を見る。<br />「本当に、それで一真はいいの?」<br /> 震える声に、抑えようとしても抑えきれない母親の情愛が滲んでいる気がした。その眼を見ようともせず、いや見られなかったのかもしれないが、浅野さんはしっかりと頷いた。<br />「利子は…無利子でどうでしょう? 社長」<br />「そうね…だけど一真、一つだけ訊かせて。何故、何故あなたが、その人のためにそこまでするの?」<br /> 浅野さんはしばらく無言で目の前のテーブルを見ていたけど、やがてぼそりと言った。<br />「俺の命の恩人の、カミさんなんだ。旦那は、1年前に刺されて死んだ」<br /> 全員が絶句した、社長も、三代目も、あたしも。<br /> なんだか危ない世界の匂いがした、踏み込んでは決していけない。<br />「か、一真は…」<br /> それでも社長は、やっとの思いでといった感じで、口を開いた。<br />「あなたに、危険なことはないの?」<br />「ああ、それはない」<br />「そう…」<br /> ほっとしたように、自分を落ち着かせるかのように、社長は長く息を吐いた。その様子に、やはり母親なのだな、とあたしは思った。<br />「じゃあ、借用書を用意…」<br /> そう言ってから、徐に三代目はあたしを再び見た。<br /><br />「兄さん、彼女はもう…」<br />「あ、いけね。そうだった、関係ないのにこれ以上つき合わせるわけにはいかないもんな。悪かったな、女子大生」<br />「あ、いえ。じゃ、じゃあ、あたし、これで…」<br /> 間が抜けた答えをして、あたしはソファから立ち上がった。<br /> 三代目も立ち上がって、礼儀正しい態度であたしにこう言った。<br />「兄が、大変ご迷惑をおかけしました。このお詫びは後から、兄と相談して…」<br />「い、いえ、お詫びなんて。そんな、大丈夫ですから」<br /> 三代目が近い、顔も近い。あたしはあわあわしながら、やっとそう言った。<br />「あ、そうだ! いいこと思いついた!」<br /> 浅野さんが、突然そう言う。浅野さんの言ういいことなんて、悪い予感しかしないのは気のせいか?</span></span><br /><br /><br /><a href="http://www.alphapolis.co.jp/cont_access2.php?citi_cont_id=357034555" target="_blank"><img src="http://www.alphapolis.co.jp/cont_access.php?citi_cont_id=357034555&size=88" width="88" height="31" alt="" /></a><br /><br /><br />
  • Date : 2016-03-05 (Sat)
  • Category : アイス
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