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Author:mikazuki0602
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(*´ω`*) Since 2013.6.2

【R18限定記事について】
男のひと目線の描写じゃなく、女子目線でホントのところを描きたいでつ お読みいただくには、パスワードを入力いただくか下記URLからどうぞ 「小説家になろう」グループ内 R18女性向小説サイト「ムーンライトノベルズ」 灯凪田テイルのXマイページへ移動します。 http://xmypage.syosetu.com/x1507h/
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302

た ま

 「ちょ。いきなり何なのよ。そのタイトルゎ。 アタシはmaoで、たまぢゃないのょ。 それになんなの、その人間で言えば、 太郎か花子みたいな典型的な名前は。くゎぁつ」   本日も絶賛ブサイクな、ちみはおいといて、と。 違いまつ。 にゃんこの名前ぢゃありません。 アーティストの「たま」でつ。  「その たま がどーしたのょ」 う、うん。あんね(*´ω`*) 『ピース』の読者さんで、キャスティングやテーマソング 考えて... <br /><img class="emoji" border="0" alt="" style="border-top: 0px; border-right: 0px; border-bottom: 0px; border-left: 0px" src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" /> 「ちょ。いきなり何なのよ。そのタイトルゎ。 <br /><br />アタシはmaoで、たまぢゃないのょ。 <br /><br />それになんなの、その人間で言えば、 <br /><br />太郎か花子みたいな典型的な名前は。くゎぁつ」 <br /><br /><br /><a target="_blank" href="http://otonaasabi.blog.fc2.com/img/20131118135733296.jpg/"><img border="0" alt="こわっ" width="237" height="99" src="http://blog-imgs-61.fc2.com/o/t/o/otonaasabi/20131118135733296.jpg" /></a>&#160; <br /><br /><br />本日も絶賛ブサイクな、ちみはおいといて、と。 <br /><br />違いまつ。 <br /><br />にゃんこの名前ぢゃありません。 <br /><br />アーティストの「たま」でつ。 <br /><br /><img class="emoji" border="0" alt="" style="border-top: 0px; border-right: 0px; border-bottom: 0px; border-left: 0px" src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" /> 「その たま がどーしたのょ」 <br /><br />う、うん。あんね(*´ω`*) <br /><br />『ピース』の読者さんで、キャスティングやテーマソング <br /><br />考えてくれた方がいて、なんかそんな楽しみ方もあるんだなーて <br /><br />めちゃ嬉しかったん(〃ω〃)。 <br /><br /><br />考えてみれば、『鍵と雨』は <br /><br />ガゼボの<span style="font-family: ヒラギノ角ゴ Pro W3"><span style="font-size: small">〈<span lang="EN-US" style="mso-fareast-font-family: AR丸ゴシック体M; mso-bidi-font-family: &quot;Times New Roman&quot;; mso-font-kerning: 1.0pt; mso-ansi-language: EN-US; mso-fareast-language: JA; mso-bidi-language: AR-SA">I LIKE CHOPIN〉が <br /><br /></span></span></span>テーマソングみたいなもので、書いてる間、 <br /><br />しょっちゅう聞いてたのょねん。 <br /><br />で。 <br /><br />私が隠れファンをしている大~好きな方がいるんだけど <br /><br />たまの〈レインコート〉て素敵な曲を紹介してたのん。 <br /><br /><br />テーマソングではないけど、かなりインスピレーション受けた曲でつ。 <br /><br />もし、よかったら聴いてみてください。 <br /><br />リンクは貼りませんがYouTubeで簡単に検索できます。<br /><br />かなり、染みます。クセになりまつ (*´ω`*) <br /><br /><br /><br /><a href="http://novel.blogmura.com/"><img src="http://www.blogmura.com/img/originalimg/0000435756.jpg" width="88" height="31" border="0" alt="ブログランキング・にほんブログ村へ" /></a><br /><a href="http://novel.blogmura.com/">にほんブログ村</a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" title="人気ブログランキングへ"><img src="http://image.with2.net/img/banner/m11/br_banner_onsen.gif" width="107" height="51" border="0" /></a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" style="font-size:12px;">人気ブログランキングへ</a><br />
301

イメージ

なかなか、次回作のイメージに合う 写真が見つからないでつ。 でも、ま。 候補として選んだ3枚をご紹介したら、 次回作の想像がつくでしょーか?(*´ω`*) てことで、載せてみまつね。   あ。 間違えた(〃ω〃)  「その馬鹿の一つ覚えみたいなお約束展開、 もう読者さんに読まれてるゎよ」 で、ですよねん。反省しまつ(〃ω〃) 今度は、ホントでつ。        「これで次回作のイメージが湧いた人がいたら、 すご... <span style="font-size: small"><span style="font-family: ヒラギノ角ゴ Pro W3">なかなか、次回作のイメージに合う <br /><br />写真が見つからないでつ。 <br /><br />でも、ま。 <br /><br />候補として選んだ3枚をご紹介したら、 <br /><br />次回作の想像がつくでしょーか?(*´ω`*) <br /><br />てことで、載せてみまつね。 <br /><br /><a target="_blank" href="http://otonaasabi.blog.fc2.com/img/20131231143453f76.jpg/"><img border="0" alt="影絵" width="152" height="159" src="http://blog-imgs-61.fc2.com/o/t/o/otonaasabi/20131231143453f76.jpg" /></a>&#160; <br /><br />あ。 <br /><br />間違えた(〃ω〃) <br /><br /><img class="emoji" border="0" alt="" style="border-top: 0px; border-right: 0px; border-bottom: 0px; border-left: 0px" src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" /> 「その馬鹿の一つ覚えみたいなお約束展開、 <br /><br />もう読者さんに読まれてるゎよ」 <br /><br />で、ですよねん。反省しまつ(〃ω〃) <br /><br /><br />今度は、ホントでつ。 <br /><br /><a target="_blank" href="http://otonaasabi.blog.fc2.com/img/20140327061831313.jpg/"><img border="0" alt="窓辺" style="height: 197px; width: 169px" src="http://blog-imgs-67.fc2.com/o/t/o/otonaasabi/20140327061831313.jpg" /></a>&#160; <br /><br /><a target="_blank" href="http://otonaasabi.blog.fc2.com/img/20140327061819557.jpg/"><img border="0" alt="光たち" style="height: 194px; width: 165px" src="http://blog-imgs-67.fc2.com/o/t/o/otonaasabi/20140327061819557.jpg" /></a>&#160; <br /><br /><a target="_blank" href="http://otonaasabi.blog.fc2.com/img/201403270618053d3.jpg/"><img border="0" alt="ぽつん" style="height: 155px; width: 218px" src="http://blog-imgs-67.fc2.com/o/t/o/otonaasabi/201403270618053d3.jpg" /></a>&#160; <br /><br /><img class="emoji" border="0" alt="" style="border-top: 0px; border-right: 0px; border-bottom: 0px; border-left: 0px" src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" /> 「これで次回作のイメージが湧いた人がいたら、 <br /><br />すごいわね。さぁ~ぱりピンと来ない」 <br /><br /><br />(^_^;) だょねん。 <br /><br />自分でも、近いけどもう一歩だと思ってまつ。 <br /><br />ただ、美しい写真より、主張を感じる写真 <br /><br />というのだけ伝わればいいかなぁ…と。 <br /><br /><br />4方向の中で、どれにするかは <br /><br />決めました。 <br /><br />このイメージフォト(仮)を見て、推理してみてくださいねんヽ(´▽`)/ <br /><br /><br /></span></span><br /><a href="http://novel.blogmura.com/"><img src="http://www.blogmura.com/img/originalimg/0000435756.jpg" width="88" height="31" border="0" alt="ブログランキング・にほんブログ村へ" /></a><br /><a href="http://novel.blogmura.com/">にほんブログ村</a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" title="人気ブログランキングへ"><img src="http://image.with2.net/img/banner/m11/br_banner_onsen.gif" width="107" height="51" border="0" /></a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" style="font-size:12px;">人気ブログランキングへ</a><br />
300

クイズにゃん

さて。クイズでつ。 ↓ これは何でしょー(*´ω`*)  「う、うぎゃ~(・□・;) そんなもの出してくるとゎ、そーとー行き詰まってるゎね(>_<)」あ、間違えた(*^^*)あらためてクイズでつ。題して「次回作4方向のタイトル当てクイズ~♪」パチパチパチ\(^^)/① 『大人の○○』『ピース』が結婚からはじまる恋物語だったので、次は離婚からはじまる男女の関係はどーだろうと思ってまつ。○○に入るのは、おもちゃぢゃないで... さて。<br /><br />クイズでつ。 ↓ これは何でしょー(*´ω`*)<br /><br /><a target="_blank" href="http://otonaasabi.blog.fc2.com/img/ana.jpg/"><img border="0" alt="ana.jpg" width="179" height="278" src="http://blog-imgs-61.fc2.com/o/t/o/otonaasabi/ana.jpg" /></a>&#160;<br /><br /><img class="emoji" border="0" alt="" style="border-top: 0px; border-right: 0px; border-bottom: 0px; border-left: 0px" src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" /> 「う、うぎゃ~(・□・;) そんなもの出してくるとゎ、<br />そーとー行き詰まってるゎね(&gt;_&lt;)」<br /><br /><br />あ、間違えた(*^^*)<br /><br /><br />あらためてクイズでつ。<br />題して「次回作4方向のタイトル当てクイズ~♪」<br />パチパチパチ\(^^)/<br /><br /><br />① 『大人の○○』<br /><br />『ピース』が結婚からはじまる恋物語だったので、<br />次は離婚からはじまる男女の関係はどーだろうと思ってまつ。<br />○○に入るのは、おもちゃぢゃないでつょ。字数的にも(〃ω〃)←ごらっ<br /><br /><br />② 『○の集会~○○のための5つの寓話』<br /><br />1話完結の5つの物語を、短編集ではなく仕立てようと<br />考えてまつ。<br />イメージは、野菜とか肉が串に刺さったバーベキュー。<br />完結しているようで、続いていく長編になる予定でつ。<br />でも。<br />ハッピーエンドでないお話がほとんどになると思うので、<br />ムーンさん読者には確実にウケないなぁ~と悩みちぅ。。。<br /><br /><br />③ 『○○ 南 圭輔の誤算』<br /><br />誰だよ、南 圭輔って?<br />36歳のおっさんでつ。ラブコメになる予定~♪<br />ラブコメなんて初めてだな、書けるかな?<br /><br /><img class="emoji" border="0" alt="" style="border-top: 0px; border-right: 0px; border-bottom: 0px; border-left: 0px" src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" /> 「アンタの日常をまんま暴露すれば、<br />ラブはともかくコメディーにはなるんぢゃないの?」<br /><br />嫌でつ、そんなみっともないこと!<br /><br /><br />④ 『激しく抱いて○○○○』<br /><br />由璃亜ちゃんと真逆?なヒロインになりそうでつ。<br />でもホントは…な感じかなん(*´ω`*)<br />前半かなり暗めで、疲れるかも。作者も読者も。。。<br />幼なじみが、じれじれしまつ。<br /><br /><br />さてぇ~。<br />みなさんは、どれがいいでしょー?<br /><br /><img class="emoji" border="0" alt="" style="border-top: 0px; border-right: 0px; border-bottom: 0px; border-left: 0px" src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" /> 「タイトル虫食い状態ぢゃ、判断つかないゎ。<br />てか、どーでもいいし」<br /><br />想像してみてくださいねん。<br />答えはそれぞれがスタートするまで明らかにできないという、<br />はなはだ失礼な放置ぷれいクイズでつ。<br /><br />どーもすみませんm(__)m<br /><br /><br /><a href="http://novel.blogmura.com/"><img src="http://www.blogmura.com/img/originalimg/0000435756.jpg" width="88" height="31" border="0" alt="ブログランキング・にほんブログ村へ" /></a><br /><a href="http://novel.blogmura.com/">にほんブログ村</a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" title="人気ブログランキングへ"><img src="http://image.with2.net/img/banner/m11/br_banner_onsen.gif" width="107" height="51" border="0" /></a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" style="font-size:12px;">人気ブログランキングへ</a><br /><br />
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写真が好きです

お気づきでしょうか?毎回、長編にはイメージフォトを選んでつけています。『鍵と雨』『-KANNO-感脳』のときは比較的暗めの写真、『ピース』はいままだトップに残してあるやさしいトンボの写真です。写真が好きです。実は一眼レフも、持ち運びに便利な小型デジカメも持っているのですが、にゃんこの写真はケータイという(^_^;)  「アタシの写真もちゃんとしたカメラで美しく撮んなさいよ。ケータイなんて失礼ょっ!」だっ... お気づきでしょうか?<br /><br />毎回、長編にはイメージフォトを選んでつけています。<br /><br />『鍵と雨』『-KANNO-感脳』のときは比較的暗めの写真、<br /><br />『ピース』はいままだトップに残してある<br /><br />やさしいトンボの写真です。<br /><br /><br />写真が好きです。<br /><br />実は一眼レフも、持ち運びに便利な小型デジカメも<br /><br />持っているのですが、にゃんこの写真はケータイという(^_^;)<br /><br /><a target="_blank" href="http://otonaasabi.blog.fc2.com/img/20140324060200c6f.jpg/"><img border="0" alt="アップ" width="259" height="180" src="http://blog-imgs-67.fc2.com/o/t/o/otonaasabi/20140324060200c6f.jpg" /></a>&#160;<br /><br /><img class="emoji" border="0" alt="" style="border-top: 0px; border-right: 0px; border-bottom: 0px; border-left: 0px" src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" /> 「アタシの写真もちゃんとしたカメラで<br /><br />美しく撮んなさいよ。ケータイなんて失礼ょっ!」<br /><br />だってmaoちゃん、カメラ向けただけで逃げるぢゃん。<br /><br />ささっとこっそり撮るにはケータイが一番なんだもの。<br /><br /><br />次回作を決め兼ねているので、<br /><br />無料写真サイトで写真をいろいろ見ています。<br /><br />なんか、気になる写真に出会えないかなぁ~って。<br /><br /><br />個人的には、美しい写真より主張を感じる写真が好きです。<br /><br />友人のデザイナーに、ものすごく写真を撮るのが上手い人がいて。<br /><br />ロケハンで撮った写真など、カメラマン顔負けの何とも言えない<br /><br />絶妙なキリトリ方をします。<br /><br />きっと感性がいいのでしょうね。デザインも心に響きます。<br /><br />こればかりは、持って生まれたもの、それが徐々に磨かれたもの<br /><br />だと思って感心しています。<br /><br /><br />さて、そろそろ本腰入れて次回作決めなきゃなぁ~。<br /><br />なんか、いろんな書き手さんのいろんな作品を<br /><br />どっぷりはまって楽しんでいる今日この頃。<br /><br />それはそれで、とても楽しい時間なのです(*´ω`*)<br /><br /><br /><a href="http://novel.blogmura.com/"><img src="http://www.blogmura.com/img/originalimg/0000435756.jpg" width="88" height="31" border="0" alt="ブログランキング・にほんブログ村へ" /></a><br /><a href="http://novel.blogmura.com/">にほんブログ村</a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" title="人気ブログランキングへ"><img src="http://image.with2.net/img/banner/m11/br_banner_onsen.gif" width="107" height="51" border="0" /></a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" style="font-size:12px;">人気ブログランキングへ</a><br /><br /><br />
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春眠暁を覚えず

春の三連休、皆様いかがお過ごしですかん(*´ω`*)    「ま。あたしは食っちゃ寝、食っちゃ寝、 間にう○ちして、サラダ替りに猫草食べて、 アホな飼い主にじゃれて遊んだげて平和な3連休ょ(´O`)ふぁ~ぁ」 いや、それいつものことだし。 人が小説読んでる隣で辞書に頭のせて寝てみたところで 頭良くなるわけでもない残念なにゃんこだし。 しっかし、なんで猫って紙や本や乗って欲しくないとこに わざわざ乗ったり、どーみて... <br /><br />春の三連休、皆様いかがお過ごしですかん(*´ω`*) <br /><br /><br /><a target="_blank" href="http://otonaasabi.blog.fc2.com/img/20140323104648ff5.jpg/"><img border="0" alt="辞書" width="191" height="174" src="http://blog-imgs-67.fc2.com/o/t/o/otonaasabi/20140323104648ff5.jpg" /></a>&#160; <br /><br /><img class="emoji" border="0" alt="" style="border-top: 0px; border-right: 0px; border-bottom: 0px; border-left: 0px" src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" /> 「ま。あたしは食っちゃ寝、食っちゃ寝、 <br /><br />間にう○ちして、サラダ替りに猫草食べて、 <br /><br />アホな飼い主にじゃれて遊んだげて平和な3連休ょ(´O`)ふぁ~ぁ」 <br /><br />いや、それいつものことだし。 <br /><br />人が小説読んでる隣で辞書に頭のせて寝てみたところで <br /><br />頭良くなるわけでもない残念なにゃんこだし。 <br /><br /><br />しっかし、なんで猫って紙や本や乗って欲しくないとこに <br /><br />わざわざ乗ったり、どーみても寝にくいだろってとこ <br /><br />(上記の写真も、辞書の角っこを枕にしてまつ、痛くないんかい!) <br /><br />で寝るんでしょーね? <br /><br /><img class="emoji" border="0" alt="" style="border-top: 0px; border-right: 0px; border-bottom: 0px; border-left: 0px" src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" /> 「ふん。 <br /><br />あたしの深~い思慮は、単細胞なアンタにはわかんないのょっ<img class="emoji" border="0" alt="" style="border-top: 0px; border-right: 0px; border-bottom: 0px; border-left: 0px" src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2008-11-30/329788.gif" />」 <br /><br /><br />にゃんこの思慮などわかりたくもありませんが、 <br /><br />ど~しても知りたいのは、このところ読んでる小説&書き手さん、 <br /><br />『なんでそんなに文章うまいのっΣ(゚д゚;)? <br /><br />なんでそんなに面白いのっ(?_?)  <br /><br />そのアイデアはどっからくるのっ(*´д`) はぁ…』ってことなんでつ。 <br /><br /><br />あ~自分が不甲斐ないっ(;_;)  ダメだぁ~。 <br /><br />もう書けないわ。 あたしなんか一生筆折ったままで <br /><br />読み手として生きていくしかないんだわぁ~(´;ω;`) <br /><br />て、なってまつ(*´ω`*) <br /><br /><img class="emoji" border="0" alt="" style="border-top: 0px; border-right: 0px; border-bottom: 0px; border-left: 0px" src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" /> 「おいっ! <br /><br />アンタがド下手なことは周知の事実、 <br /><br />いまさら変えようもないことぢゃないのっヽ(`Д´)ノ <br /><br />どーせ、次回作のプロット段階で行き詰まって、 <br /><br />予告してたお知らせができないだけっしょ?」 <br /><br /><br />げ。 <br /><br />なんで、バレた…( ̄◇ ̄;) <br /><br />いやいやいやいや、だいじょぶでつ。 <br /><br />明日あたり、きっと何らかのご報告ができるんでは? <br /><br />明後日あたりには、4方向の矢印のむき加減くらいは、 <br /><br />見えてくるんでは? <br /><br />は、はなはだ自信ない。 だいじょーぶかなぁ、自分(*´`) <br /><br /><br /><img class="emoji" border="0" alt="" style="border-top: 0px; border-right: 0px; border-bottom: 0px; border-left: 0px" src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" /> 「これは… <br /><br />次回作スタートは、季節は春を越えるゎね。 <br /><br />春眠暁を覚えずというけれど、<br /><br />ヘタしたらそのまま冬眠するんぢゃないの、このアホエロ。<br /><br />ま。だぁれも期待してないからいいけど」 <br /><br />そ、それはそれで、寂しいなん(*´ω`*) <br /><br />どーなるんだか、まだ暗中模索でつ。まっこと(´Д`;)ヾ ドウモスミマセン。 <br /><br /><br /><a href="http://novel.blogmura.com/"><img src="http://www.blogmura.com/img/originalimg/0000435756.jpg" width="88" height="31" border="0" alt="ブログランキング・にほんブログ村へ" /></a><br /><a href="http://novel.blogmura.com/">にほんブログ村</a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" title="人気ブログランキングへ"><img src="http://image.with2.net/img/banner/m11/br_banner_onsen.gif" width="107" height="51" border="0" /></a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" style="font-size:12px;">人気ブログランキングへ</a><br /><br />
297

愛という言葉が苦手です

いつの頃からか、よくわからないのですが… 気がついたら、苦手になってました。 〈愛〉という言葉。 なにか、こう。 「愛している」と言った瞬間に いままで積み上げたものが、〈チャンチャン♪〉で はい、めでたしめでたし!になる感じが嫌なのかもしれません。 だから、私の書くものの中で とくに主人公&その相手役が「愛してる」という 場面はほとんどないと思います。 『鍵と雨』にいたっては、秋山圭さんに逆説的な意味で 言... <span style="font-size: small"><span style="font-family: ヒラギノ角ゴ Pro W3">いつの頃からか、よくわからないのですが… <br /><br />気がついたら、苦手になってました。 <br /><br />〈愛〉という言葉。 <br /><br /><br /></span></span><font size="2">なにか、こう。 <br /><br />「愛している」と言った瞬間に <br /><br />いままで積み上げたものが、〈チャンチャン♪〉で <br /><br />はい、めでたしめでたし!になる感じが嫌なのかもしれません。 <br /><br /><br />だから、私の書くものの中で <br /><br />とくに主人公&その相手役が「愛してる」という <br /><br />場面はほとんどないと思います。 <br /><br />『鍵と雨』にいたっては、秋山圭さんに逆説的な意味で <br /><br />言わせた上に、「愛という言葉は陳腐だけれど」 <br /><br />と否定までさせています。 <br /><br /><br />この感情や状況を表すには、いまのところ共通言語として <br /><br />〈愛〉という表現しかないから、またはあまりに使わないもの <br /><br />恋愛小説としてどーなんだろう?的な程度には使っています。 <br /><br /><br /><a target="_blank" href="http://otonaasabi.blog.fc2.com/img/20140318155833479.jpg/"><img border="0" alt="乙女" width="240" height="320" src="http://blog-imgs-67.fc2.com/o/t/o/otonaasabi/20140318155833479.jpg" /></a>&#160; <br /><br /><br /><img class="emoji" border="0" alt="" style="border-top: 0px; border-right: 0px; border-bottom: 0px; border-left: 0px" src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" /> 「てか。そんだけあーだこーだ言うのは <br /><br />かえって〈愛〉って言葉にこだわりすぎてんじゃないの? <br /><br />あ。因みにこれ、春の新作のーさつポーズよ。 <br /><br />どう?」 <br /><br />↑再び友情出演maoちゃんでつ。 <br /><br />これで、イケにゃん落とすらしいでつ。 <br /><br />2ヶ月連続でペットホテルにお泊りして、 <br /><br />出会いの季節に萌えたらしいでつ。 <br /><br /><img class="emoji" border="0" alt="" style="border-top: 0px; border-right: 0px; border-bottom: 0px; border-left: 0px" src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" /> 「ふん。 <br /><br />ワンコなんか大嫌い! 目指せ、国際にゃんこ結婚!」 <br /><br /><span style="color: #999999"><strike>避妊済みのこと、お忘れですか? <br /><br />まぁ、いいけど。がんばれや。</strike></span> <br /><br /><br />で。なんでしたっけ? <br /><br />あ。そうそう。 <br /><br />これからも、基本かわらないと思うんでつ。 <br /><br />なんていうか、 <br /><br />〈愛〉というものの本質的なものを表現するために、 <br /><br />(それだけではない感情も含め) <br /><br />何万字もの長い道程を経て、不器用に迷路に入り込みながら <br /><br />表現し続けていきたいと思いまつ。 <br /><br /><br />さて、そろそろ次回作の構想とか <br /><br />お知らせしないとなぁ~(*´ω`*) <br /><br /><br /></font><br /><a href="http://novel.blogmura.com/"><img src="http://www.blogmura.com/img/originalimg/0000435756.jpg" width="88" height="31" border="0" alt="ブログランキング・にほんブログ村へ" /></a><br /><a href="http://novel.blogmura.com/">にほんブログ村</a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" title="人気ブログランキングへ"><img src="http://image.with2.net/img/banner/m11/br_banner_onsen.gif" width="107" height="51" border="0" /></a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" style="font-size:12px;">人気ブログランキングへ</a><br />
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メンテの時期にゃん(*´ω`*)

誰も気づいてらっしゃらないかも…(*´ω`*) ですが、右側にあったアンケート 「連載小説 1話の文字量について」を下げました。 お答えくださった皆様、ありがとうございました。 因みに恥ずかしながら結果を公表すると、 1.文字量は気にならない   4票 2.500~1000字                1票 3.1000~2000     ... 誰も気づいてらっしゃらないかも…(*´ω`*) <br /><br />ですが、右側にあったアンケート <br /><br />「連載小説 1話の文字量について」を下げました。 <br /><br />お答えくださった皆様、ありがとうございました。 <br /><br />因みに恥ずかしながら結果を公表すると、 <br /><br />1.文字量は気にならない&#160;&#160; 4票 <br />2.500~1000字&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160; 1票 <br />3.1000~2000&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160; 2票 <br />4.2000~3000&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160; 0票 <br />5.3000以上&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160; 2票 <br />6.10分くらいは読みたい&#160;&#160;&#160;&#160; 0票 <br />7.20分くらいは読みたい&#160;&#160;&#160;&#160; 0票 <br />8.長ければ長いほどいい&#160;&#160;&#160; 0票 <br /><br />でした(〃ω〃) <br /><br /><a target="_blank" href="http://otonaasabi.blog.fc2.com/img/20140318155905428.jpg/"><img border="0" alt="131016_1250~010001" width="154" height="180" src="http://blog-imgs-67.fc2.com/o/t/o/otonaasabi/20140318155905428.jpg" /></a>&#160; <br /><br /><img class="emoji" border="0" alt="" style="border-top: 0px; border-right: 0px; border-bottom: 0px; border-left: 0px" src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" /> 「回答数、すっくなっ(&gt;_&lt;)」 <br /><br /><span style="color: #999999">↑友情出演 maoちゃんでつ。頼んでないのに、お久!だそうでつ(^_^;)</span> <br /><br /><br />あ、あひょ(〃ω〃) は、はぢかしいでつ。 <br /><br />でもでも。嬉しいコメ、いただきました。 <br /><br /><br />『鍵と雨』から大好きだって… <br /><br /><br />文章がうまいとか、構成が巧みだとか言われるより、 <br /><br />好きと言われる方が100倍嬉しいんです、私。 <br /><br /><img class="emoji" border="0" alt="" style="border-top: 0px; border-right: 0px; border-bottom: 0px; border-left: 0px" src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" /> 「ばかね。それはさ、文章も構成もドヘタだから <br /><br />ほかに言い様がないだけぢゃないの<img class="emoji" border="0" alt="" style="border-top: 0px; border-right: 0px; border-bottom: 0px; border-left: 0px" src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2008-11-30/329788.gif" />」 <br /><br />う、うぎゃぁ~ヽ(;▽;)ノ そ、そうだったのぉ~? <br /><br />と、ともかくだす。 <br /><br />アンケートにご協力下さった方、ありがとうございましたm(_ _)m<br /><br /><br />文字量に関しては、やはり『鍵と雨』から読んでくださってる <br /><br />ニャン友さんから、『ピース』は1話の量が多くてがんばったね的な <br /><br />メッセをいただき、嬉しかったです。 <br /><br />ほんと、よく見てるなぁ、わかってるなぁって。 <br /><br /><br />長編は、夜中に自分の羽抜いて <br /><br />機を織ってる錯覚になることもしばしばなんです。 <br /><br />文章を書く事は大好きですが、同時に苦しくもある… <br /><br />でもやめられないみたいな…(*´ω`*) <br /><br />ま、はっきり言うと、書いてる姿はぼろぼろで <br /><br />とてもお見せできないでつ。100年の恋も覚めます、はい。 <br /><br /><br /><img class="emoji" border="0" alt="" style="border-top: 0px; border-right: 0px; border-bottom: 0px; border-left: 0px" src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" /> 「いまだって、ぼろっぼろぢゃないの。 <br /><br />100年どころか、○年の恋人も最近ご無沙汰ぢゃないの?」 <br /><br />よ、余計なことは言わないよーに。 <br /><br />だいぢょぶ、ラブラブだからっヽ(;▽;)ノ <br /><br /><img class="emoji" border="0" alt="" style="border-top: 0px; border-right: 0px; border-bottom: 0px; border-left: 0px" src="http://blog-imgs-1.fc2.com/emoji/2009-03-17/369100.gif" /> 「(;一_一) じー」 <br /><br />え、え~、こほん。 <br /><br />今週は、少し遊びにも言って英気を養ってきます。 <br /><br />エステならぬマッサージにも行ってきます。 <br /><br />それから、いろエロ吸収して、女子力高めるぞぉ~ヽ(´▽`)/ <br /><br />なので、もうしばらく新作ご報告お待ちくださいねぇ~♡ <br /><br /><a href="http://novel.blogmura.com/"><img src="http://www.blogmura.com/img/originalimg/0000435756.jpg" width="88" height="31" border="0" alt="ブログランキング・にほんブログ村へ" /></a><br /><a href="http://novel.blogmura.com/">にほんブログ村</a><br /><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" title="人気ブログランキングへ"><img src="http://image.with2.net/img/banner/m11/br_banner_onsen.gif" width="107" height="51" border="0" /></a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" style="font-size:12px;">人気ブログランキングへ</a><br /><br />
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『ピース』番外編も完結です(*´ω`*)

『ピース』を最後までお読みくださった皆様、 本当にありがとうございました。 メッセージ、コメント、拍手、パスワード問合せ&メッセ くださった方々にも改めて、感謝いたします。 同時投稿のムーンライトノベルズでは、 本日6時時点でお気に入り登録数が350件。 これまで100件超は経験していましたが、300超は初めてです。 また1日のアクセス数が2万件を超えたのも、今回初…。 大変嬉しく、感謝しています。 ランキングに関して... <br /><br />『ピース』を最後までお読みくださった皆様、 <br /><br />本当にありがとうございました。 <br /><br />メッセージ、コメント、拍手、パスワード問合せ&メッセ <br /><br />くださった方々にも改めて、感謝いたします。 <br /><br /><br /><br />同時投稿のムーンライトノベルズでは、 <br /><br />本日6時時点でお気に入り登録数が350件。 <br /><br />これまで100件超は経験していましたが、300超は初めてです。 <br /><br />また1日のアクセス数が2万件を超えたのも、今回初…。 <br /><br />大変嬉しく、感謝しています。 <br /><br />ランキングに関しては、最高が確か26位くらいだったと記憶していて、 <br /><br />短編『25時のすうぷ』『姫ゴト-北欧の夜は長いから-』 <br /><br />の方が手応えがありました(*´ω`*) <br /><br />やはり読者層や傾向は、そちら系なのだなぁ~と実感しました。 <br /><br /><br />なぜ、そんなことを気にするかというと、ランキングが上がると <br /><br />アクセス数がぐっと増え、読んでくださる方の数が増えるからなんです。 <br /><br />書き手としては、やはり多くの方に読んでいただきたいという <br /><br />欲を捨てきれません。 <br /><br />でも同時に、「ファンです」「ハマってます」と言ってくださる方の <br /><br />ありがたさ。涙出るほど嬉しいです。まぢで(´;ω;`) <br /><br /><br />次回作のお問合せもいただきましたが、 <br /><br />すぐにというのは難しいことご了承ください。 <br /><br />調べたいこと、準備したいことがいろいろあり、 <br /><br />読みたい作品もたまっています。 <br /><br />いま、4方向くらいアイデアがあり、それに関しては <br /><br />このブログでお伝えしていきますね。 <br /><br />できれば、良い意味で裏切れるか、 <br /><br />プロットをかなりきっちり作成した作品を <br /><br />お届けできればと考えています。 <br /><br />まだまだ、へなちょこ作者ですが、 <br /><br />今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 <br /><br /><br /><a href="http://novel.blogmura.com/"><img src="http://www.blogmura.com/img/originalimg/0000435756.jpg" width="88" height="31" border="0" alt="ブログランキング・にほんブログ村へ" /></a><br /><a href="http://novel.blogmura.com/">にほんブログ村</a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" title="人気ブログランキングへ"><img src="http://image.with2.net/img/banner/m11/br_banner_onsen.gif" width="107" height="51" border="0" /></a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" style="font-size:12px;">人気ブログランキングへ</a><br />
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番外編 過去 ⅲ

「由璃亜」 煉さんの声がする。ふぇ?と見上げた先に、突っ立っている煉さんの顔があった。「あへぇ?煉しゃん」「ん?酔っ払ってるのか、由璃亜」「日本酒、飲ませちゃった」 怜さんが、ぺろ、と舌を出す。「どしたんですかぁ?煉しゃん。お仕事もう、終わったでしゅかぁ?」 ご機嫌の私の隣にどかっと座った煉さんに、顎を掴まれる。「真っ赤だぞ、由璃亜。気持ち悪くないか?」 ちょっと考えてみるけど、ふわふわして思考が... <p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 煉さんの声がする。ふぇ?と見上げた先に、突っ立っている煉さんの顔があった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あへぇ?煉しゃん」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ん?酔っ払ってるのか、由璃亜」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「日本酒、飲ませちゃった」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんが、ぺろ、と舌を出す。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「どしたんですかぁ?煉しゃん。お仕事もう、終わったでしゅかぁ?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ご機嫌の私の隣にどかっと座った煉さんに、顎を掴まれる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「真っ赤だぞ、由璃亜。気持ち悪くないか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ちょっと考えてみるけど、ふわふわして思考がうまくまとまらない。でも、気持ちはいい。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「冷酒は、後から来るから。由璃亜ちゃん、飲んだの初めてらしいし。煉、ちゃんと介抱してあげてね」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ったく、怜さんは」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう言っている煉さんの肩を、私はぱしぱし叩く。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「煉しゃん、煉ひゃん。お、お仕事は?もう終わったんれすかぁ?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ひくっ、としゃっくりが出た。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ああぁ、ダメだなこりゃ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「煉~、煉も何か飲めば?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんがそう言っている。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「う~ん、仕事持って帰ってきたんだけど。金曜だから、いいか。週末やれば間に合うし」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あら、嬉しい。煉と飲むのも久しぶりね」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんが華やかに笑う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「じゃ、生ください」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> タイミングよくやってきたスタッフに、煉さんが頼んでいる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「わたひも、生ぁ~」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「バカ、由璃亜はもうやめとけ。すみません、このバカに熱いお茶、お願いします」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> はい、と男性スタッフさんが微笑んでお辞儀をした。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「煉ひゃん、ぱかは酷いですぅ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> いままで楽しかったのに、なんだか落ち込んでしまって、私はこて、と煉さんの肩に頭を預ける。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ふふ。酔っ払った由璃亜ちゃん見るの、初めて?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう彼に聞いている怜さんを、ぼぉと見る。すごいなぁ、全然顔も赤くなくて、私より遥かに飲んでいるのに少しも変わらない。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ええ、まぁ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 彼が答えている。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 生ビールと熱いお茶が運ばれてきた。あと、彼が頼んだお刺身の盛り合わせと揚げ出し豆腐。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 煉さん、揚げ出し豆腐が好きなんだ。知らなかったな、と漠然と思う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜ちゃん。由璃亜ちゃんが酔っぱらっちゃったかもって、煉にメールしたら、飛んできたのよ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんのその言葉に、一瞬、酔いが冷めた気がした。同時に、なんだかとても焦る。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「え、え、えええ。ごめんなさい。私、お仕事の邪魔して…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんが、ちょっと複雑な表情になった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ときには我が儘言ったり甘えたりするのも、可愛いものなのよ、由璃亜ちゃん。ねぇ、煉?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 彼が無言でビールを飲んでいる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そんなものかな、と考えていたら眠くなってきた。彼の肩に再び頭を預けて、欠伸(あくび)を一つする。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そんな私の頭を、ぽんぽんと彼が叩いた。嬉しい、安心する。でも、なんだかますます眠くなって、煉さんと怜さんの会話が夢現(ゆめうつつ)に感じられる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜は、俺に甘えてないように見えますか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ふたりのときは、知らないけどね」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「無理してるみたいに見えますか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「無理というより、一生懸命ね」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「俺が、きっと男としてまだまだなんだろうな」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「最初から、完成形の男と女なんていないよ。鈴音ちゃんと加納君を見て、煉はそう思わなかった?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「…成長しあえる夫婦になったんだな、と思いました。鈴音はいい女になったし、加納君もいい男になった」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜ちゃん、写真展を観て、なんて言ったと思う?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「さぁ…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「過去も含めて、新田煉なんだと思えたんだって」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「…そうですか」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「いい子になりすぎると、いろいろ大変だよって言っておいた」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「…もしかして」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ん?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「だから、冷酒なんか飲ませたんですか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「本音、聞いてあげなさい。それが必要なときには。裸で抱き合う惚れた女の、心まで裸にできない男はたいしたことないわ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「そう…ですね。怜さん、かなわないな。でも、ありがとうございました」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜。ほら、帰るよ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ぼぉっとした意識の中で、煉さんと怜さんが何か話しているのを眺めていた私に、煉さんはお茶をもう一口飲ませた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「大丈夫か?ちゃんと立てる?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ふぁい、と立ち上がったけど足元がおぼつかない。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「怜さん、今日は俺に払わせてください」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あらぁ、払おうとしても無駄よ。この店は、私の顔を見たら、自動的に水嶋にツケるシステムになってるみたいだから」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「いや、でも。それじゃ、社長にも悪いし」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「悪くないわぁ。水嶋は、払いたいのよ。私が自分の所有物だって確認できるから。その屈折した可愛い独占欲と権利、奪わないであげて?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ほんと、かなわないな。じゃ、怜さん、遠慮なくご馳走さま!」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「うん。じゃ、由璃亜ちゃん、またね」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> これから水嶋が待っているバーへ行くという怜さんと別れて、私は煉さんとタクシーに乗った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: &quot;MS 明朝&quot;, &quot;serif&quot;; mso-bidi-font-family: &quot;MS 明朝&quot;">✵ ✵ ✵<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: &quot;MS 明朝&quot;, &quot;serif&quot;; mso-bidi-font-family: &quot;MS 明朝&quot;"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> タクシーの中から、きらきらと流れる光の街を眺めた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 金曜の夜は、まだたくさんの人たちが道を歩いている。恋人たち、夫婦、別れようとするふたり、まだはじまっていない関係だってあるだろう。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> カップルだけじゃなくて、若いサラリーマン風の集団、おじさま達、自由に見えて漠然とした不安を持て余している学生達、独りでいろんな思いを抱えて歩く老若男女。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そんな人波が、それぞれ自分の意志ではどうにもならない宿命に踊らされているように思えた。ダメだ、なんだか切ない。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜?」 <span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 煉さんが肩を抱いてくれた。私はその愛おしい胸に顔を埋めて、煉さんの匂いを胸いっぱいに吸い込む。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「煉しゃんなんか、嫌いです」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「そっか」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「煉ひゃんの過去も、嫌いれす」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「うん」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 鼻の奥が、じんと痛くなる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「れも、いいんれす」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「いまの煉さんが好きらから」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜は、それでいいのか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> なんだか、わからなくなった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「よくなくても、いいんれす。しゅきらから…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 煉さんは、私をぎゅぅと強く胸に抱いてくれた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜。過去は変えられない。だけど、俺はなに一つ後悔していない。全部、いまの自分に必要なものだったと思ってる。そう思えるように、これからも生きるよ。由璃亜の生きてきた途(みち)だってそうじゃないのか?それに、由璃亜。俺の現在と未来には、お前しかいない。お前の現在と未来にも、俺しかいないように」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 酔いが残っている頭で、煉さんの言いたいことを理解できたと思えたのは、奇跡に近い。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> すとん、と心の奥が納得して、私は同じようにすとん、と眠ってしまった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: &quot;MS 明朝&quot;, &quot;serif&quot;; mso-bidi-font-family: &quot;MS 明朝&quot;">✵ ✵ ✵</span><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p></o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 夢を見ていた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私は一羽の白鳥になっていた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 羽を広げて、自分の棲処(すみか)探していた。目の前に美しい蒼の世界が広がる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">違う、此処(ここ)じゃない。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 蒼の世界を通り過ぎると、今度は燃えさかる炎が見えた。白鳥の私は吸い寄せられるように、その炎を目指した。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 轟々(ごうごう)と音を立てて、生き物のように激しく揺れる炎が辺りを焼いている。熱い、痛いほど。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">すぅとその中に引き込まれて、私は全身からパチパチと音が鳴るのを聞いた。炎が、偽りや雑念や虚飾を焼き尽くしていく。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そして残った純白の羽は、炎に焼かれるどころか、いっそう真白さをましていた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">ああ、此処だ。私の棲処。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう確信したとき、愛おしい感触が私を揺り動かした。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜。もうすぐ着くよ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ん…煉さん?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「さぁ、帰ろう。俺たちの家へ。ふたりの棲処へ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> &#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160;&#160; 了<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: small"><span style="font-family: AR丸ゴシック体M">※これで、本編・番外編ともにすべて完結です。</span></span><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: small"><span style="font-family: AR丸ゴシック体M">最後までお読みくださった方、ありがとうございました。</span></span><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: small"><span style="font-family: AR丸ゴシック体M">メッセージ、コメント、拍手、パスワードお問合せなどを励みに、</span></span><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: small"><span style="font-family: AR丸ゴシック体M">ラストまで書き続けることができました。</span></span><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: small"><span style="font-family: AR丸ゴシック体M">心から感謝しています。本当にありがとうございます<span lang="EN-US">m(_ _)m</span></span></span><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: small"><span style="font-family: AR丸ゴシック体M">次はもっともっとブラッシュアップしたお話をお届けできるよう、</span></span><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: small"><span style="font-family: AR丸ゴシック体M">精進し続けたいと思っています。<br /></span></span><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><br /></span></p><br /><br /><a href="http://novel.blogmura.com/"><img src="http://www.blogmura.com/img/originalimg/0000435756.jpg" width="88" height="31" border="0" alt="ブログランキング・にほんブログ村へ" /></a><br /><a href="http://novel.blogmura.com/">にほんブログ村</a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" title="人気ブログランキングへ"><img src="http://image.with2.net/img/banner/m11/br_banner_onsen.gif" width="107" height="51" border="0" /></a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" style="font-size:12px;">人気ブログランキングへ</a><br />
  • Date : 2014-03-17 (Mon)
  • Category : ピース
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番外編 過去 ⅱ

「由璃亜ちゃん、ご飯でも食べてく?」 ギャラリーを後にして、怜さんがそう訊く。「え。いいんですか?」「もちろんよ。由璃亜ちゃんさえ、よければ。どうせ、煉は毎日遅いんでしょ?」「はいっ」 うわぁ、嬉しい。女友達と…怜さんは友達だって思っていいよね?…外で食事は久しぶり。「でもまだ、ちょっと早いからウインドウショッピングでもする?」「はい」 まだ明るい春の銀座の夕刻。怜さんと並んで、海外の有名店が並ぶブ... <p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜ちゃん、ご飯でも食べてく?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ギャラリーを後にして、怜さんがそう訊く。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「え。いいんですか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「もちろんよ。由璃亜ちゃんさえ、よければ。どうせ、煉は毎日遅いんでしょ?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「はいっ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> うわぁ、嬉しい。女友達と…怜さんは友達だって思っていいよね?…外で食事は久しぶり。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「でもまだ、ちょっと早いからウインドウショッピングでもする?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「はい」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> まだ明るい春の銀座の夕刻。怜さんと並んで、海外の有名店が並ぶブランドストリートを歩く。お洒落な中にも格式と気品ある雰囲気を湛えた高級店は、私が一度も足を踏み入れたことがない、文字通り敷居の高い場所。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「素敵だけど、高そうなお店ばかりですね」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう言う私に、怜さんが訊く。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あら、由璃亜ちゃん。煉にブランド品のひとつも買ってもらったことないの?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「はあ、私、あまり興味がなくて。あ、でもこのワンピースは、煉さんが選んで買ってくれました」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「へえ、あの煉が?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう言って怜さんは微笑むと、「似合ってる」ともう一度言ってくれた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> それから怜さんと、もっとカジュアルなブランドが入っているファッションビルで洋服やアクセサリーなどを見て回った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> もう初夏の洋服が並んでいて、怜さんとお互いに「これ、似合う」とか「わぁ、可愛い」とか言いながらウィンドウショッピングを楽しむ。煉さんとのお買い物も楽しいけれど、女同士の楽しさはまた特別だ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんの提案で、お揃いの長財布(ウォレット)を色違いで買い、それから怜さんがあらかじめ予約の電話を入れておいてくれた創作和食のお店へ行った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ここ、水嶋がよく使う店なの」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんは、旦那さんでもある社長のことを「水嶋」と呼ぶ。対等に働く女性の雰囲気がよく出ていて、なんだかかっこいいと思ってしまう。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜ちゃん、お任せのコースでいい?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「はい」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 店内に入ると、怜さんの顔を見ただけですぐに個室へと案内してくれるスタッフの対応で、彼女は常連の上客なのだとわかった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あまり、お酒は強くないんだっけ?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんがそう気遣ってくれる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あ。でも、生ビールのタンブラーサイズくらいなら」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と言うと、怜さんが一緒に注文してくれた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「じゃ、それ2つね」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「怜さんは、それじゃ足りないんじゃ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「その後、別なの頼むから大丈夫よ。ビールは飲み過ぎると、お腹いっぱいになっちゃうし」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう言って、怜さんは悪戯っぽく笑った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ほどなくして、生ビールと突き出しが運ばれてくる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 硝子の小鉢に入った湯葉が、ひんやりと口の中でほどけた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「おいしい」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 思わずそう呟いた私に、怜さんが微笑む。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「よかった。そういえば、由璃亜ちゃんもお料理上手なんでしょ?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「いえ。私は好きなだけです。ただの家庭料理ですもの」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> なんだか恥ずかしくなってそう言う私に、怜さんが言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あらぁ。家庭料理が一番大変よ。毎日ですもの。もっとも、私はほとんどしないけど」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう言って、色っぽく舌を出して見せる。女の私でも、艶やかだなと思うくらいだから、男性には本当に魅力的に見えるだろうと思う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「煉さんも毎日遅くて、会社で食事済ませたりするから。私も同じようなものです」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう言うと、怜さんは華やかに笑った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 前菜3点盛りが運ばれてくる。白魚の煮凝りと、ウドの酢味噌和え、菜の花のベーコン巻き。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> うわぁ、彩りもきれい。おウチでもできるかな、なんて思いながら味わって食べる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ビールを早くも飲み終わった怜さんは、冷酒を注文。粋な硝子製のちろりとおちょこが届いて、器類が好きな私は、やっぱり料理の美味しさを引き立てるには雰囲気や器、盛りつけなど脇役も大事だなと改めて思う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 冷酒を注ごうとした私に、怜さんは<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「お酒飲みは、自分のペースで飲める手酌が一番好きなものよ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> というので、素直に従うことにした。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ところでね、由璃亜ちゃん」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんが冷酒をくい、と鮮やかに飲み干して言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「はい」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「どうだった、写真展は?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> その訪ね方に、少し含みがあるのを感じながら私は言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「素敵な写真展でした。加納さんと鈴音さんの、お互いを想う気持ちが伝わってきて。最初と最後の“蒼”の写真も、なんだかおふたりを象徴してるみたいでした」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「そう」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんが、運ばれてきた銀だらの焼き物にお箸を伸ばしながら言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私は、ビールを飲み干すと言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「彼女、なんですよね?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんが、ちょっと目を見張るようにして私を見る。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ふうん。鋭いわね、由璃亜ちゃん」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> やっぱり。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">でもそれは、写真展の案内状を見た煉さんの表情を見て、私は予感していた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">懐かしいような、少しほろ苦い思い出を噛み締めるような彼の横顔。葉書を手にとって見つめる数秒間の沈黙は、彼の想いをとても雄弁に語っている気がしたのだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「鈴音さん、素敵な方でした」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 鈴音さんをひと目見て、私はあぁ良かったと思った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">この人なら、きっと煉さんは好きになる。ふわりとして、頼りなさげでいてしっとりと量感のある存在感。人の悪意が汚すことができない、無防備な、だからこそしなやかに強い微笑み。そして夫である加納さんへ向けられた、包み込むような眼差し。ふたりの真実の証である、幸福なお腹の膨らみ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> きっと独りで観に来た煉さんも、来てよかったと、ふたりに会えてよかったと思ったに違いない。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜ちゃん、妬かなかったの?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ちょっと胸の奥に感じた、息苦しさ。でも、それは深々と深呼吸することで、消すことができた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ちょっと息苦しかったけど…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「けど?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> なんて表現したら、この気持ちを的確に言い表せるんだろう。私はしばらく考えて、言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「過去も全部含めて、煉さんだと思えたんです」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんが、探るような目になって言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜ちゃん。いい子になろうとしすぎると、いろいろ辛くなるわよ。人生は長いし、相手は新田煉なのよ?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> いい子になろうとしているんだろうか、私は。ただ言えるのは、嫌いな自分になるのが嫌。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「でも、煉さんの過去は煉さんのものだから」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と私は言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ふふ、と玲さんは笑うと、飲む?と私に冷酒のちろりを持ち上げてみせた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「日本酒、飲んだことないんです」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あら」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 玲さんは、2つ来ていた硝子のおちょこの使っていない方を差し出す。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「この冷酒はね、フルーティーな飲み口だと言われているの。さらりと軽くて、ほどよく辛口だから、飲みやすいと思うわよ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私は、いただきますとおちょこを受け取った。怜さんが、冷酒を注いでくれる。恐る恐る口をつけると、思いがけず爽やかでおいしく感じられた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「おいしい、かな?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「そう、よかった」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんは華やかに微笑むと言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「そうね。相手の過去は相手のもの。それまで手に入れようとするのは、傲慢なことかもしれない。でも傲慢なほどの愛し方も悪くないと、私は思うわ。だけど煉の場合は…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんは冷酒をまたひと口含むと、少し考えてから口を開いた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「前にも言ったけど、あの過去があったからこそ、由璃亜ちゃんにがむしゃらになれたんじゃないの?絶対に手に入れようって。どんなことをしてもって。そうでなきゃ、煉はまだ恋愛にカッコつけたままだったかも。たとえ強引でも卑怯でもいいって吹っ切れた煉は、過去の煉よりずっといい男だと私は思うわ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 人は誰もが、それぞれの過去を持っている。私にも、真璃亜という忘れられない、忘れてはいけない過去がある。人は、過去から逃げることなんてできない。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「私は、じゃあ、煉さんの過去に感謝しないといけないですね」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ふふ、と怜さんが笑う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「煉の女遊びの過去にも、感謝できる?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「そ、それは…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「感謝しなさい。それだって、いまの煉を形成した欠かせない過去よ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> はい、と私は頷いた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ほら、由璃亜ちゃん。もう少し、冷酒つきあって」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんはそう言って、冷酒のおかわりを頼んだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> なんだか、今夜はお酒が強くなった気分。冷酒って意外においしい…そう思って杯を重ねた私は、やっぱり自分で思うほど平常心ではなかったようだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><br /><br /><a href="http://novel.blogmura.com/"><img src="http://www.blogmura.com/img/originalimg/0000435756.jpg" width="88" height="31" border="0" alt="ブログランキング・にほんブログ村へ" /></a><br /><a href="http://novel.blogmura.com/">にほんブログ村</a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" title="人気ブログランキングへ"><img src="http://image.with2.net/img/banner/m11/br_banner_onsen.gif" width="107" height="51" border="0" /></a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" style="font-size:12px;">人気ブログランキングへ</a><br />
  • Date : 2014-03-16 (Sun)
  • Category : ピース
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番外編 過去 ⅰ 

 日曜の夕食後。 コーヒーを飲みながら映画を見ていると、煉さんの携帯が鳴る。「ん?怜さんだ。はい」 しばらく何か話していた彼が、由璃亜と言って私に携帯を差し出す。「?」「怜さんから、デートの誘い」「私にですか?」  ✵ ✵ ✵  翌週の金曜日、私は銀座で怜さんと待ち合わせた。「由璃亜ちゃ~ん」 若草色の春らしいツーピースに身を包んだ怜さんが、地下鉄の改札口に現れた。怜さんの周りだけ、ぱっと花... <p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 日曜の夕食後。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> コーヒーを飲みながら映画を見ていると、煉さんの携帯が鳴る。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ん?怜さんだ。はい」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> しばらく何か話していた彼が、由璃亜と言って私に携帯を差し出す。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「怜さんから、デートの誘い」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「私にですか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: &quot;MS 明朝&quot;, &quot;serif&quot;; mso-bidi-font-family: &quot;MS 明朝&quot;">✵ ✵ ✵<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M; mso-bidi-font-family: &quot;MS 明朝&quot;; mso-hansi-font-family: &quot;MS 明朝&quot;"> </span><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p></o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 翌週の金曜日、私は銀座で怜さんと待ち合わせた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜ちゃ~ん」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 若草色の春らしいツーピースに身を包んだ怜さんが、地下鉄の改札口に現れた。怜さんの周りだけ、ぱっと花開いたかのように明るさをまして、通りすがりの何人かが振り返っている。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私は煉さんが選んで買ってくれたオフホワイトのレースのワンピース。それを見た怜さんが、褒めてくれた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あら、可愛い。由璃亜ちゃんのイメージにぴったりね」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「怜さんこそ、凄く素敵です。女優さんみたい」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「うふ。あたし、褒め言葉はまんま受け取るタイプなの。ありがと」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> でも、それは本当のことだから。スタイルはいいし、艶やかな美人。並んで歩いていても、眩しそうに目をとめる人がいるほど、怜さんは魅力的なオーラを放っている。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「その道を一本入ったギャラリーよ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんがそう指し示した。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">〈蒼(あお)-いのちの源〉<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">そう題された写真集が話題になったのは、半年ほど前のことだった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">カメラマン加納響が、愛妻である鈴音の妊娠から出産までを撮った写真集。生命と家族への愛に溢れたそれは、ちょうど歴史的な震災を経験した後ということもあり、人々の心を感動と癒しで捉えた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">各地で写真展が開催され、それは静かなブームとなって、東京で再び開催されることとなった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">その知らせの葉書が、数日前に煉さん宛に届いていた。たった一枚の葉書なのに、なぜか心に響くデザイン。私は、煉さんに訊ねた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「この写真展、行くんですか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「うん」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そして、その日の夜に怜さんから、彼の携帯に電話がかかってきたのだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜ちゃんを誘っていい?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんはそう言ったそうだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「いいですけど…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「煉も行くんでしょ?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ええ、まあ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「独りで行きたいんじゃないの?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう言った怜さんに、彼は答えた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜を連れてってくれますか?後は、怜さんにすべてお任せします」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そんな経緯で、私は今日、怜さんと銀座デートを楽しむことになったのだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 賑やかな大通りから数本奥まった小径(こみち)、花水木が憩いの影をつくるその先に、目的のギャラリーはあった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 自動扉ではない入口のガラス戸を引く。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「こんにちは」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 受付の女性に穏やかな声で迎えられて、私と怜さんはギャラリーの中へ足を踏み入れた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> まず最初に目を奪われたのは、不思議な蒼(あお)の世界を切り取った写真。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 空と海が違う〈あお〉を描きながら、一つに融合している。そしてその先にある未来や希望を、心の目で見つめることができるような、そんな写真。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 言葉にならない感動で、私は息を飲んだ。怜さんも何も言わず、しばらくその写真の前で佇んでいる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> それから、白いシフォンの布だけを纏った華奢な女性を、後ろから男性が抱く写真。男性の顔は見えないけれど、ふたりの想いの濃密さが溢れ出るような一枚だ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そしてその女性のお腹が少しづつ膨らんでいく様子を切り撮った何枚ものショット。胸の膨らみが量感をましていく様子は、母親となる喜びが高まっていく様を連想させる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 出産直後のへその緒がついた我が子の写真もあったけれど、不思議に生々しさはなく、生命の誕生の瞬間に思わず涙が出そうになる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そして我が子を胸に抱く母の姿は、まるで聖母のような神々しさだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 最後は、最初とはまた違った蒼の世界に佇む、親子3人のシルエット。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 奇を衒った演出も、不必要な細工もなにもなく、ただただその女性と子供への愛情だけを、ときに不器用なくらいに表現した写真は一枚として嘘がない。とても、潔いと思った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「気持ちいいくらい、まっすぐね」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんが言った。おそらく、私と同じような思いだったのだと思う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「はい、潔いです」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「そして、深い。加納君て、こんな写真を撮れる子だったんだ。鈴音ちゃん、いま幸せなんだなぁ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんが言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> この方たちは誰?<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ずっと訊きたくて、でも煉さんにも怜さんにも訊けなかった疑問が、再び頭をもたげる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「怜さん!」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう女性の声がした先を、怜さんと同時に見やった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> <span lang="EN-US">30</span>代に見えるその女性は、紛れもなくこの写真の人だ。そしてその隣には、背が高くて逞しい男性の姿。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あらあ、鈴音ちゃん。加納君も」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんはそう言うと、ふたりの傍に嬉しそうに近寄る。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「来てくださったんですね。嬉しいです」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 鈴音ちゃんと呼ばれた女性が、怜さんと手を取り合う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「お久しぶりです。ご無沙汰しています」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 加納君と呼ばれたのはご主人で、きっとこの写真と撮ったカメラマンだと思った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「うわぁ、変わってないわねん、ふたりとも」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんが嬉しそうに、ふたりの顔を交互に見る。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「怜さんこそ。なんだかかえって若くなったみたい」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう言う鈴音さんに、怜さんが言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「そりゃそうよ。水嶋にたっぷり愛されてるもの」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> さすが、怜さんだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> その答えに、鈴音さんと加納さんも笑う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ホントに、変わってないですね。怜さんは」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「うふ。加納君は、でもさらに逞しくなったね」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「そうだ。怜さん、お花ありがとうございました」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 鈴音さんがそう言って、頭を下げる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「煉のもあったわね。アイツ、もう来た?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 画廊内には所狭しとたくさんのアレンジメントフラワーが飾られていたけれど、中でも一際目を引く大きさの花が入口付近にあって、〈水嶋怜〉の名前が掲げられていた。そして、その隣に〈新田煉〉の名前の花も。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「新田さんは、初日の夕方、来てくださったんです」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と加納さんが答えた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「連絡もなしで、ふらっと。帰り際に偶然会って。あと数分違っていたら、会えなかったんですよ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 鈴音さんが、呆れ顔でそう言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ふ。煉らしいわね」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「新田さんは忙しい人だから。予定がわからなかっただけだろ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と加納さんが鈴音さんに優しく言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「そうだね。その日も、オリエンのついでに寄っただけだからって」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう言う鈴音さんに、怜さんが可笑しそうに言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ついでぇ~?もう、煉ったら、相変わらず照れ屋なんだから」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> それから怜さんは、鈴音さんのお腹に視線を落とす。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「鈴音ちゃん、もしかして」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> その意味がわかったらしい彼女は、恥ずかしそうに頬を染めて言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「はい、ふたり目が。<span lang="EN-US">6</span>ヶ月です」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「おめでとう」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と怜さんが言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「この写真の子は、女の子でしょ?いま、幾つ?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「<span lang="EN-US">3</span>歳になりました。今日は、おじいちゃんが、響のお父さんが遊んでくれてます」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 幸せそうな微笑みで、鈴音さんはそう答えた。その彼女を見つめる加納さんの目が、温かく頼もしい。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ところで…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と、加納さんが私の方を見た。その声をきっかけにするみたいに、いきなり<span lang="EN-US">3</span>人に見つめられて私は少し緊張した。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そんな私に、怜さんが声をかけてくれた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜ちゃん、いらっしゃい」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 隣に立った私を背中を少し押して、怜さんが紹介してくれる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜ちゃんよ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「はじめまして、新田由璃亜です」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私はそう言って、加納さんと鈴音さんに頭を下げた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あらた…ゆりあ、さん?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 鈴音さんがそう言って、驚いたような表情になった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 加納さんも、私の顔をまじまじと眺めながら、怜さんに</span><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M; mso-bidi-font-family: &quot;MS 明朝&quot;; mso-hansi-font-family: &quot;MS 明朝&quot;">問う。</span><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p></o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「もしかして、新田さんの?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「うふぅ、そうよ。あの新田煉がベタ惚れの恋女房」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 怜さんがそう言って、加納さんと鈴音さんが今度こそ心底驚いた表情になった。その<span lang="EN-US">4</span>つの目でまじまじと見つめられる数秒間が、なんだか恥ずかしくて居心地が悪い。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「なんだか…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> やっとそう言った鈴音さんの言葉を、加納さんが引き継ぐ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「…わかる気がする」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 何がでしょう?よくわからない私は、思わず怜さんに縋る目を向けてしまう。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> それににっこりと笑顔で答えた怜さんが言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「でしょ?由璃亜ちゃんは、運命が煉に用意したとびきり極上の生贄だから」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> い、生贄。そんなこと言ったら普通びっくりするだろうと思うのに、加納さんも鈴音さんも妙に納得した表情で、何度も頷いている。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> なんだか煉さんの周りの人たちは皆んな、独特の会話をするみたいだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> しかも、鈴音さんが私の両手をいきなり握ると言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「がんばってください、由璃亜さん」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> え?<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 加納さんも続けて言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「最高の生贄になってください」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> なんで、そうなる…。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「私が言うのも変ですが、新田煉とあのぶっちぎりの才能をよろしくお願いします」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と鈴音さん。はい、確かに変かも。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜さん、あまり深く考えずに。諦観も一つの生き方です!」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と加納さん。いや、その励まし方、おかしいでしょ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ていうか、煉さんはいったいどんな変人だと思われてるの?<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 手を取り合って喜ぶカメラマン夫婦と、呆気にとられた私を見て、怜さんがお腹をかかえて笑っている。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> …。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> でも、この方たちはきっと皆んな、煉さんの味方。これからも大切な仲間。そう思ったら、私の心には溢れるほどの感謝しかなかった。<br /></span></p><br /><br /><a href="http://novel.blogmura.com/"><img src="http://www.blogmura.com/img/originalimg/0000435756.jpg" width="88" height="31" border="0" alt="ブログランキング・にほんブログ村へ" /></a><br /><a href="http://novel.blogmura.com/">にほんブログ村</a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" title="人気ブログランキングへ"><img src="http://image.with2.net/img/banner/m11/br_banner_onsen.gif" width="107" height="51" border="0" /></a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" style="font-size:12px;">人気ブログランキングへ</a><br /><br />
  • Date : 2014-03-15 (Sat)
  • Category : ピース
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番外編 宝物 ⅱ 

 人生で初めて、CMの撮影現場というところにいる。  小梅ちゃんがアイデアを出したプレゼン案は、見事に採用された。煉さんにそれを訊いて嬉しかったのも束の間、今度はとても困った事態になってしまった。「しょうがないだろ。クライアントのお偉いさんが、実際のCMでも由璃亜を起用したいって言うんだから」 コンペのサンプル用だと言われて、私が踊るのを煉さんがビデオカメラで撮った。それを見たクライアントさんが「... <p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 人生で初めて、<span lang="EN-US">CM</span>の撮影現場というところにいる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 小梅ちゃんがアイデアを出したプレゼン案は、見事に採用された。煉さんにそれを訊いて嬉しかったのも束の間、今度はとても困った事態になってしまった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「しょうがないだろ。クライアントのお偉いさんが、実際の<span lang="EN-US">CM</span>でも由璃亜を起用したいって言うんだから」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> コンペのサンプル用だと言われて、私が踊るのを煉さんがビデオカメラで撮った。それを見たクライアントさんが<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「本番もこの娘(こ)でいいじゃない。違う娘使うと、雰囲気も変わりそうだし」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">と言ってきたのだそうだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「俺としては、身内を使うのはあまり気乗りしないんだけど。でもモデルには本格的なバレリーナはいないし、顔があまり映らないから有名バレリーナは出演するメリットがないだろうし」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そ、そんな…。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「身体のラインとか踊る姿にフォーカスするから、由璃亜だってわかんないよ、きっと」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 確かに煉さんが撮ったデモは、幻想的なシルエットが印象に残るように加工されているけど、見る人が見たら私だってわかるだろうな…。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 渋々、出演を承諾することになってしまった経緯を思い出しながら、煉さんの仕事場でもある初めての現場を見渡した。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> たくさんのスタッフの人がいて、カメラやライティングの機材や大道具・小道具もいっぱいある。ちょっとだけ心細くなって、私はキョロキョロと煉さんの姿を探してしまう。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ども、由璃亜さん。こっちへ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あ、小梅ちゃん」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 見知った顔を見つけて、ほっとする。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「最初に監督に紹介しますから」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう小梅ちゃんに言われて、顔じゅうヒゲだらけの大柄な人のところへ連れて行かれた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「監督、バレリーナの新田由璃亜さんです」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あ、どうも」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と監督が言う。恐る恐る見上げたその目は、意外に優しそうだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜さん、監督の箕山さんです」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と小梅ちゃんが紹介してくれる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「初めまして、よろしくお願いいたします」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と私は丁寧に頭を下げた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ん。初めての現場だそうで。いろいろ大変かもしれないけど、がんばって」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> たったそれだけの、とてもシンプルなご挨拶だった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私は事前に、煉さんに言われていたことを思い出した。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜。現場では、俺はクリエイティブディレクター新田煉だから。お前の旦那じゃない。お前はいちバレリーナで、<span lang="EN-US">CM</span>の素材だ。俺の奥さんじゃない。それを忘れるな」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そして、こう続けた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「プロだろうが、素人だろうが、一旦出演を引き受けたからには、責任持ってやれ。甘えるなよ。監督の要求には、死ぬ気で応えろ。それと長丁場になると思うから、控え室ではリラックスして体力を無駄に消費しないように。何か困ったら、ヘアメイクの小杉に言って。あ、ヤツは見た目は男だけど、中身は乙女だから。小杉にだけは、頼っていいよ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> それは厳しい煉さんの、最大限の心遣いだと思った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 煉さんが言った言葉の意味を改めて実感していると、小梅ちゃんが言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜さん。早速ですけど、メイクルームに行ってください」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: &quot;MS 明朝&quot;, &quot;serif&quot;; mso-bidi-font-family: &quot;MS 明朝&quot;">✵ ✵ ✵<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「はぁ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と、この期に及んで覚悟が決まらない私のため息に、ヘアメイクの小杉さんが気遣ってくれる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「緊張する?大丈夫、とっても綺麗よ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 男性なのに、女性のようにしなやかで綺麗な指で、私の髪をアップにしてくれた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「とくに首筋がとっても綺麗。さすがバレリーナねぇ。新田さん、落ないわけだわぁ。あぁん、悔しいぃっ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 煉さんが言っていた通り、乙女な雰囲気の小杉さんは触れられても違和感がない。会話の内容にはだいぶ違和感があるけど。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「じゃ、お願いします」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ヘアメイクを終え、着替えたところで小梅ちゃんが呼びに来た。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「がんばってねっ!」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 両手を胸の前で合掌するようにしながら、シナをつくった乙女な小杉さんにそう見送られて、私はスタジオに入った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> すぐにカメラマンやスタッフと話している煉さんが目に入って、なんだか嬉しくなる。あ、やっと見つけた、煉さん。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「バレリーナさん、入りま~す」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 小梅ちゃんのその声で、煉さんが私の方を見て軽く頷いてくれた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 最初のシーンは、広い白ホリゾントの部屋での撮影。ソフトチュールを使った白いロングチュチュで、ジャンプやターンなどを織り交ぜた踊りを踊る。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 次のシーンは、ミニチュアのカラフルな町並みの中で、同じようにカラフルなシャツとスキニーで軽やかにステップを踏みながらの闊歩。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そして最後のシーンは、ヨーロッパの絵画のある回廊で、つば広のガルボハットにマーメイドラインのクラシックなワンピースで連続ターンをする。靴はピンヒールだったため、ちょっと怖かったけれどなんとかうまくいった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> <span lang="EN-US">15</span>秒、<span lang="EN-US">30</span>秒、<span lang="EN-US">60</span>秒といった短い<span lang="EN-US">CM</span>なのに、これほど何回も同じ動きを撮るのかと思うほど、各シーンは時間をかけて行われた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> しかもシーンが変わるたびに、セッティングが変わり、ライティングも変わるので、着替えとヘアメイクが終わっても待っている時間がとても長い。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「大丈夫?疲れてない?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">メイク室に戻るたびに、小杉さんが慣れない私を気遣ってくれる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「喉渇いてない?甘いものもあるわよ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> とあたたかいお茶と、お菓子やチョコレートが入ったバスケットを渡してくれる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そして待ち時間は、クッションをたくさん置いたソファで休むことを勧められ、あまり話かけずにそっとしておいてくれた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">撮影は朝早くから夜まで、結局丸一日かかったけれど、私は幸福だった。なにより、仕事をしている煉さんと同じ空間にいられることが嬉しかったから。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">話ができるわけではないし、近づくこともままならないけれど、仕事をしている煉さんの姿は初めて見るし、いつも以上に素敵でときめいてしまう。真剣で、厳しくて、凛々しくて、でも周りへのさり気ない気遣いも忘れず、和やかな雰囲気をつくろうとしている様子が、たまらなくかっこいい。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">ああ。この時間が、ずっと続けばいいのに。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: &quot;MS 明朝&quot;, &quot;serif&quot;; mso-bidi-font-family: &quot;MS 明朝&quot;">✵ ✵ ✵<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: &quot;MS 明朝&quot;, &quot;serif&quot;; mso-bidi-font-family: &quot;MS 明朝&quot;"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 小梅ちゃんのアイデアによる<span lang="EN-US">CM</span>が、巷(ちまた)に流れはじめた頃。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> その日も遅くに帰って来た煉さんが、<span lang="EN-US">1</span>枚の<span lang="EN-US">DVD</span>を渡してくれた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜。これ、小梅から」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> それは<span lang="EN-US">15</span>秒、<span lang="EN-US">30</span>秒、<span lang="EN-US">60</span>秒の全パターンの<span lang="EN-US">CM</span>を収めた関係者用の<span lang="EN-US">DVD</span>だった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「お前用には、小梅が特別におまけを入れてくれてるから。時間があるときにゆっくり観て」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう言われて、とても楽しみに観た<span lang="EN-US">DVD</span>には…。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> <span lang="EN-US">CM</span>だけでなく、撮影現場の様子も収められていたのだ。それも明らかに煉さんを中心に。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 大道具や小道具のセッティングをチェックする煉さん、ライティングを確認する煉さん、監督やスタッフと打ち合わせをする煉さん。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> シーン替えの合間にスタッフと談笑したり、飲み物やお弁当を配ったりと気遣いを見せる煉さんの姿もあった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そして真剣にモニターチェックをする横顔、小梅ちゃんにそっと耳打ちして指示を出し、彼女を立てようとする優しい姿…そのどれもが初めて見る仕事モードの新田煉だった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> それだけではない。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 小梅ちゃんは、制作室の煉さんの日常も収めてくれていた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 自分の机でコンピュータ画面を真剣に見つめる煉さん、会議室に向かってスタッフと話しながら廊下を歩く煉さん、打合わせテーブルで外注さんらしき人と熱のこもったやりとりをしている様子、ソファで仮眠を取る寝顔。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">なぜか近藤さんにプロレス技をかけている煉さんや、パインジュースのストローを鼻に突っ込もうとしている煉さん、下條さんにあ~んをしてもらってカレーを食べている姿(おいっ!)、女子トイレの鏡の前で女子と並んで化粧直しをしてる風の煉さん(女子の方が堪えきれず笑ってるし…)まであって、それはいつものふざけた煉さんでしょってツッコミたくなったけど…。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 可笑しくて、嬉しくて、ジーンとして、心の奥がほんわかした。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 小梅ちゃん、ありがとう。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> これは、私の一生の宝物だ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 父や母、航にも見せてあげたいと思った(一部除く)。私の旦那さまは、こんなにも素敵に仕事をする人なんだって。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">そして、仙台のお義父さまとお義母さまにも(クドいようだけど一部除く)。なかなか実家に帰れない煉さんの、こんな姿を見たらきっととても喜んでくれるはず(?)だから。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そして。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> いつか煉さんジュニアがこの世に誕生したら、私はこの<span lang="EN-US">DVD</span>を必ず観せよう。お父さんは、世界一素敵な人なんだよって言って。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> その日まで、これは私の一番一番、大切な宝物。<br /></span></p><br /><br /><a href="http://novel.blogmura.com/"><img src="http://www.blogmura.com/img/originalimg/0000435756.jpg" width="88" height="31" border="0" alt="ブログランキング・にほんブログ村へ" /></a><br /><a href="http://novel.blogmura.com/">にほんブログ村</a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" title="人気ブログランキングへ"><img src="http://image.with2.net/img/banner/m11/br_banner_onsen.gif" width="107" height="51" border="0" /></a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" style="font-size:12px;">人気ブログランキングへ</a><br />
  • Date : 2014-03-14 (Fri)
  • Category : ピース
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番外編〈宝物 ⅰ〉

 その日のバレエスタジオは、熱気と緊張感に満ち溢れていた。 大きなコンクールを約1ヶ月後に控えた土曜日の午後、コンクールに出場予定者を対象とした特別レッスンが開講されたのだ。 今回の講師は、昨年に続いてミシェル・ササキ。パリ・オペラ座のソリストだったキャリアを持ち、現在はご主人であり振付家としても活躍する佐々木和博さんと共に、某有名バレエ団の講師を務める。 60歳を超えてなお、凛とした美しい姿勢と威... <p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> その日のバレエスタジオは、熱気と緊張感に満ち溢れていた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 大きなコンクールを約<span lang="EN-US">1</span>ヶ月後に控えた土曜日の午後、コンクールに出場予定者を対象とした特別レッスンが開講されたのだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 今回の講師は、昨年に続いてミシェル・ササキ。パリ・オペラ座のソリストだったキャリアを持ち、現在はご主人であり振付家としても活躍する佐々木和博さんと共に、某有名バレエ団の講師を務める。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> <span lang="EN-US">60</span>歳を超えてなお、凛とした美しい姿勢と威厳を保ち、その指導の厳しさと要求するレベルの高さは有名だ。だからこそ、雪絵先生が頼んだ特別講師なのだけれど、容赦のない要求と情熱あふれる叱責はコンクール出場レベルの若きダンサーたちですら、縮み上がらせるのに十分だ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私たちアシスタントの特権は、この特別レッスンに自由に参加できること。もちろん主役はコンクール出場の子達だけれど、身が引き締まるようなこの時間は、ステージに立つのを諦めたいまでも楽しみだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜。グランジュテからピケの流れは、もっとスムーズに。パッションをキープっ!」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ミシェルの声が飛んで、雪絵先生が苦笑する。その気配を感じて、ああ、とミシェルが両手を広げる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「そうだった。由璃亜は、コンクールでない」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> かつて中学生になった私に、コンクールに出るように強く勧めたのは、当時日本へ来たばかりのミシェルだった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 真璃亜を失って、一時バレエを辞めようかと思い悩んでいた私を厳しく指導し、再び情熱を吹き込んでくれた彼女を私は決して忘れない。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ミシェルが望むように、私はもっと高い極みを目指すことはできなかったけれど、その事情を理解した上で、講師として愛情を注いでくれた。その感謝の想いは、私とミシェルを特別の感情でいまも繋いでいると思う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私の顔を見るたびに、ミシェルは言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜を、育ててみたかった。この足、骨格、バレエダンサーとしてリソテキなのに」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> でもいまは、私以上に素晴らしい資質を持った子たちが大勢いる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 熱気あふれる特別レッスンを受けたせいで少し興奮が残る気持ちを抱えながら、私はすっかり春めいた暖かさの街へ出た。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 頭の中には、ドンキホーテの一節が繰り返し流れていて、歩きながら思わずステップを踏んでしまう。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そうだ、新しいトゥシューズを買わなくちゃ。そう思い立って、ダンス用品専門ショップへ寄る。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 履き慣らすためと長持ちさせるためにトゥシューズを<span lang="EN-US">2</span>足買って、ウエアコーナーも覗く。春の新作が揃っていて、見ているだけで楽しい。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">私が持っているのは巻きスカートタイプが多いけど、レッスン着にも流行があって、いまスタジオで流行っているのは普通のスカートタイプとキュロットタイプのもの。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> スモーキーなペイズリー柄とペールピンクがリバーシブルになったスカートが気に入ってしまって、買おうかどうか悩む。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> やっぱり欲しい、買ってしまおう。まだ弾んでいる気分に後押しされるように、新しいレッスン着を買った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: &quot;MS 明朝&quot;, &quot;serif&quot;; mso-bidi-font-family: &quot;MS 明朝&quot;">✵ ✵ ✵<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: &quot;MS 明朝&quot;, &quot;serif&quot;; mso-bidi-font-family: &quot;MS 明朝&quot;"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ただいまぁ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と言いながら、自宅マンションの玄関ドアを開ける。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 一瞬、音楽が聞こえた気がしたけれど、気のせいだろうか…。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> リビングに続くドアを開けると、今日はお休みの煉さんがテレビの前のソファに座っていた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「お。由璃亜、お帰り」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> あれ?煉さん、なにしてたんだろう。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ちょっと怪訝な表情になってしまったようで…。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ん?由璃亜、どうした?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あの…玄関を開けたとき、音楽が聞こえた気がしたんですけど」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「そぉ?気のせいじゃないの?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> …。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">なんか、変。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 煉さんがソファに座ったままで、もぞもぞ動く。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あの…煉さん。後ろに、なにか隠してます?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私を見た煉さんの目が、ちょっと慌てたように感じた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「隠してないよ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 嘘だ、絶対。また、訝しげな目を向けてしまった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あ。由璃亜、お前もしかして。俺がエッチな動画でも見てたとか思ってんだろ?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> はい、思ってます。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「違うんですか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 煉さんが、今度は呆れ顔になる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「違うよ、ばか。エッチな動画見てたなら、別に隠さないよ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> なるほど、煉さんはそういう人だ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「じゃ、なに見てたんですか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう訊ねる私に、煉さんは後ろに隠したものを渋々出して見せた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あ…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「うん、そう」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> それは、私が出演したバレエ公演の<span lang="EN-US">DVD</span>だった。どうして?<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> <span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「俺さ、お前の舞台とか見たことないだろ?で、どんな風に踊るのか見たかったんだ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「突然、どうして…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「実はさ、今度<span lang="EN-US">CM</span>のコンペがあるんだけど…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 煉さんの話してくれたところによると、約半年後に新しく女性対象の複合施設ビルが誕生する。ターゲット年齢は<span lang="EN-US">20</span>代~<span lang="EN-US">60</span>代と幅広く、キーワードは〈美・健康・食・ライフスタイル〉。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 具体的にはファッションからエステ、健康&ダイエットサポート、デトックス・レストラン、カルチャースクールの店舗施設がテナントとして入る予定。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ターゲット年代が幅広いだろ?それにライフスタイルにこだわりがあって意識も高い、経済的にもゆとりのある女性層を安定顧客として狙いたいとクライアントは言ってるんだ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> チームで何度かミーティングをするうちに、小梅ちゃんが言ったそうだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「イメージ戦略として、バレリーナはどうです?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 美や健康、美しさを保つための食、加えてバレエの持つ伝統や芸術性が、ターゲット心理をくすぐるのにぴったりだと、全員が頷いたのだという。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「でさ。皆んなが由璃亜の踊ってるとこ見たいって言うから、選んでたんだ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> え…。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「は、恥ずかしいです」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「でも、駄目じゃないだろ?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そりゃ、煉さんやチームの皆さんのお役に立てるなら…。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> それでも、もじもじしている私に、煉さんが言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「大丈夫だよ、まだプレゼン段階だから。競合多くってさ、勝つって決まったわけじゃないし。どれがお薦め?由璃亜、選べよ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう言われて、私は自分が出演した公演の<span lang="EN-US">DVD</span>を何本か選んだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「サンキュ。ところで、お前、なんか買い物してきたの?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 煉さんが、ダンス用品専門店の袋を見て訊く。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あ。トゥシューズと、レッスン着の可愛いのがあったから」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> へぇ、と言って煉さんが袋の中を覗く。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私が気に入ったリバーシブルのスカートを、引っ張り出す。なにか思いついたような顔を見て、私は慌てて言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ダ、ダメです」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 煉さんが、面白そうに笑う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ダメって、なにが?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「え、えぇっと…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">煉さんが、ラグにぺたんと座っている私に、急に顔を近づけた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜。お前、なんかエロいこと考えただろ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「か、考えてないですっ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> くくく、と煉さんが笑う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ほんと、エッチだよなぁ、由璃亜は。じゃ、ご期待に応えて、これつけてする?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「し、しないですっ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 煉さんが、さらに近づいて私の顔を覗き込む。蛇に睨まれた蛙みたいに固まってしまう。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「それとさ、由璃亜。さっきエッチな動画見てたと思ったろ?だけど、動画なんかよりもっと興奮するものが目の前にあるのに、そんなつまんないことするわけないだろ?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「え、え、ええぇええ~!」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 煉さんに、後ろに倒されたと思ったら、がばっとのしかかられる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ぎゃぁああ…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜、失礼だな。俺、お前の旦那。そんな声あげんな」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> だって、と言いかけた言葉を激しいキスで塞がれた。<br /></span></p><br /><br /><a href="http://novel.blogmura.com/"><img src="http://www.blogmura.com/img/originalimg/0000435756.jpg" width="88" height="31" border="0" alt="ブログランキング・にほんブログ村へ" /></a><br /><a href="http://novel.blogmura.com/">にほんブログ村</a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" title="人気ブログランキングへ"><img src="http://image.with2.net/img/banner/m11/br_banner_onsen.gif" width="107" height="51" border="0" /></a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" style="font-size:12px;">人気ブログランキングへ</a><br />
  • Date : 2014-03-09 (Sun)
  • Category : ピース
289

番外編〈嫉妬 ⅱ〉R18

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  • Date : 2014-03-08 (Sat)
  • Category : ピース
288

番外編〈嫉妬 ⅰ〉

「由璃亜。来週の日曜日の昼、チームのみんな呼んで〈お疲れさん会〉したいんだけど」 土曜の夜、煉さんが夕御飯を食べながら言った。「ウチでですか?」「うん」 うわ~、どうしよう。チームの皆さんが来るなんて初めて。「な、何つくりましょう?」 早くもどぎまぎしながら、私は訊いた。「なんでもいいよ。任せる」「え~、一緒に考えてください」 彼が筑前煮を食べながら言う。「筑前煮とか?由璃亜の筑前煮、旨いし」「だ... <p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜。来週の日曜日の昼、チームのみんな呼んで〈お疲れさん会〉したいんだけど」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 土曜の夜、煉さんが夕御飯を食べながら言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ウチでですか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「うん」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> うわ~、どうしよう。チームの皆さんが来るなんて初めて。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「な、何つくりましょう?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 早くもどぎまぎしながら、私は訊いた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「なんでもいいよ。任せる」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「え~、一緒に考えてください」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 彼が筑前煮を食べながら言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「筑前煮とか?由璃亜の筑前煮、旨いし」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「だ、ダメです。そんなパーティーっぽくないもの」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「パーティーじゃないから。〈お疲れさん会〉だから」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 大きな競合プレゼンに無事、勝利したばかりだと言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「何人、いらっしゃるんですか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「デザイナー<span lang="EN-US">2</span>人に、コピーライターとプランナーが一人ずつの<span lang="EN-US">4</span>人。あ、あと俺もいらっしゃる予定」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 予定じゃなくて決定。チームのボスが、というより我が家の主人がいないほうが変だ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「皆さん、好き嫌いあるんでしょうか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「セロリとピーマンと煮魚。人参は最近食べられるように…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「それは、煉さんでしょ。もうっ、皆さんに聞いてください、ちゃんと」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「めんどくせーなぁ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「そんなこと言わないで。ね、煉さん。お願い」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 彼が本当に、面倒くさそうに言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「大丈夫だよ、奴ら、なんでも食う。あと、飲み物は適当に持ってくるだろうから、缶ビールだけ<span lang="EN-US">2</span>ダースぐらい酒屋に注文しといて」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> <span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> それから<span lang="EN-US">3</span>日間、私は煉さんの顔を見るたびに考えたメニューの相談。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「パーティーなら大皿に盛って、好きなものを自由に取れるバイキング・スタイルがいいですよね?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「お子様ランチにすれば?最初からいろいろ乗ってるし」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 早速ふざけているのを軽く無視して、私は続ける。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「パスタは冷めたら美味しくないし、伸びちゃいますよね?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「じゃ、ラーメンは?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「もっと、伸びます。それに屋台じゃないんだから」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「焼き鳥焼けよ、炭火で」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「煙だらけになりますっ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「じゃ、たこ焼きとか焼きそばとか、チョコバナナ?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「お祭りじゃないですっ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「俺、カレーと豚汁がいいなぁ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「キャンプじゃありませんっ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「コロッケだけ<span lang="EN-US">500</span>個ってのは?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「大食い選手権ですかっ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「富士宮やきそばに、八戸せんべい汁」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「<span lang="EN-US">B-1</span>グランプリでもないですっ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> …。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜、腕あげたな」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あ、ありがとうございますっ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> い、いや。そこでお礼言ってる場合じゃないし…。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> とにもかくにも。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> こんな感じではぐらかされ続けた<span lang="EN-US">3</span>日間。彼に相談した私がバカだった…。ホントに、学習しないバカだった…。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: &quot;MS 明朝&quot;, &quot;serif&quot;; mso-bidi-font-family: &quot;MS 明朝&quot;">✵ ✵ ✵</span><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p></o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ただいま~」 <span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 日曜日の<span lang="EN-US">11</span>時半、煉さんが駅まで迎えに行って、チームの皆さんを連れて戻ってきた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私は、緊張しながらお出迎えする。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「い、いらっしゃいませ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 玄関からリビングへ、どどどっと個性豊かな皆さんが入ってくる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「うわぁ~、奥さんですか?はじめまして」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あ、これ焼酎と日本酒とウイスキーとワインです。ああ、重たかった」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「新田さん、氷とソーダと水ください。冷蔵庫どこ?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「お前ら、まず奥さんに挨拶と自己紹介」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「しっかし、すげぇマンションだなぁ。いいなぁ、奥さんも可愛いし」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「うわぁ~、いい匂い。おいしそう!」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ここって<span lang="EN-US">7</span>階?景色いいなぁ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 歯止めが利かないくらい賑やかである。獣ボスのチームの方々は、やっぱり獣系?動物園、いやそれより自由なサフィアリパークのように統制がつかない強烈な個性を発している。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「お~い、お前ら。これ、由璃亜。うちの奥さん」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 煉さんのひと声で、皆さんが私の前に整列した。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜、この髪が突っ立ってるのがデザイナーの近藤純」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「近藤です、初めましてっ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 髪が突っ立ってるだけじゃくて、顔のパーツが一つ一つ大きくて、圧倒される。服装も黒い革パンに黄色のスプリングジャケットで、目がチカチカする。と、虎さんみたい。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「このチッコイのが、コピーライターの安藤小梅」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 小柄な私よりもさらに背が低くて、真っ黒な髪はショートカット。両耳にいっぱいピアスをしていて、黒い<span lang="EN-US">T</span>シャツに黒いジャケット、下は赤いチェックのスカート付きパンツ。ムスっとしたまま、ども、と言う。でも顔立ちは可愛らしくて、ミーアキャットみたい。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「この根暗なのが、デザイナーの下條浩介」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「根暗じゃないですよ、オタクなだけっス」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 違いがよくわからないけど、白い<span lang="EN-US">T</span>シャツに白いジャンバー、下はグレーのスウェット。服装にあまり気を使わない方みたいだ。でも顔はキリンみたいで目が大きくて睫毛が長い。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「そんで、コイツが俺の同期でプランナーの藤崎和巳。ま、見ての通り、一番まともだろ?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「初めまして。藤崎です。煉さんには、いつもお世話になってます」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> さっぱりとした短めの髪に、大人の落ち着きある顔と声。ベージュのチノパンに生成りのシャツ、ライトグリーンのジャケットが爽やかだ。この人だけ、動物っぽく見えない。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私は思わすほっとして、やっと笑顔をつくれた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「初めまして。いつも主人がお世話になっています。妻の由璃亜です」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう挨拶して、頭を下げた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「うゎぁ~、主人だって、煉さん。つ、妻…いいなぁ。俺も早く、妻欲しい。」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 近藤さんが、両手を胸の前で握り合わせてそう叫ぶ。なんだか見かけによらず、乙女ちっくな仕草だ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あんたは無理。奥さん、このおいしそうなの何ですか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 安藤さんが、ダイニングテーブルに並べた料理を見て訊く。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「いきなり食うなよ、小梅。まず乾杯だろ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と藤崎さん。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「焼酎、開けていいっスか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> という下條さんに藤崎さんが言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「乾杯は、まずビールから」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> あっという間に、サファリパークに戻った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">めずらしく煉さんが手伝ってくれて、缶ビールをたくさん冷蔵庫から出すとダイニングテーブルに置いた。みんなが思い思いにコップを持ってビールを注ぐ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「プレゼン勝利を祝って。みんなよく頑張ったな、お疲れでした。今日は好きなだけ飲んで、食ってくれ。じゃ、乾杯!」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「カンパ~イ!」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 一斉にそう叫ぶと、みんながグラスを合わせた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 次の瞬間、煉さんと藤崎さんを除いた<span lang="EN-US">3</span>人が、大皿で料理を置いてあるダイニングテーブルに張りつく。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「旨そー」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「これ、何?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と賑やかだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「お前ら、砂糖に群がる蟻じゃないんだからさ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と藤崎さんが笑う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> さっき安藤さんが訊いたのは、牛肉にチーズと紫蘇を挟んだフライ。今日はそのほかにベビーリーフと生ハムのサラダ、トマトとモッツァレラのカプレーゼ、<span lang="EN-US">2</span>種類のピンチョスはプチトマトとチーズ、きゅうりとうずらの卵。鱸(すずき)のカルパッチョ、海老とホタテの海鮮炒め、ちらし寿司。デザートにスポンジケーキを焼いて生クリームと苺を乗せたのと、チョココーティングしたプチケーキ、フルーツの盛り合わせ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ちょっと頑張っちゃった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「いいなぁ、煉さん、毎日こんな旨いもの食べてんですか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と言う近藤さんに、煉さんが言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ばか。残業でほとんど家じゃ、夕飯食べられないんだよ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「もったいなぁ~い」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と安藤さんが言って、お皿に山盛りにしたケーキとフルーツにがっつく。やっぱり女の子だな、と思っていると、それをウイスキーのロックでガンガン流し込んでいる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> よ、よくわからないタイプだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「下條、味わって食べろよ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と藤崎さんが言うと、顔を上げた下條さんが言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「このカルパッチョ、ダンジェのみたいです。海鮮炒めは王府飯店みたいっス」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「両方とも会社の近くで、イタリアンと中国料理の店だ」 <span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう煉さんが教えてくれる。どうやら、褒められたみたいだ。よかった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> <span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> みんなの食べっぷりが嬉しくて、使ったお皿をどんどん洗って新しいものに変えていく。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「いっぱい食べてくださいね」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と言いながら。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> キッチンでグラスを洗ったり、氷と追加で出そうとしていると藤崎さんが傍に来て言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「すみません、由璃亜さん。遠慮のないヤツラばっかで」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「そんなことないです。いっぱい食べてくれて、嬉しいです」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「それにしても、由璃亜さんは本当にお料理上手ですね。煉が羨ましいな」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 褒められて耳が熱い。照れ隠しに、私は思わず言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あ、氷、お願いしていいですか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「グラス洗うの手伝いましょうか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> と藤崎さんが言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「とんでもない。お客様なんですから。でも、氷はお願いしていいですか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「わかりました」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう言って、持って行ってくれた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> その藤崎さんを振り返ってみたら、煉さんと目が合った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ん?なんか睨んでる?<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> あ、いきなりそっぽ向いた。なに、怒ってるんだろう?<br /></span></p><br /><br /><a href="http://novel.blogmura.com/"><img src="http://www.blogmura.com/img/originalimg/0000435756.jpg" width="88" height="31" border="0" alt="ブログランキング・にほんブログ村へ" /></a><br /><a href="http://novel.blogmura.com/">にほんブログ村</a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" title="人気ブログランキングへ"><img src="http://image.with2.net/img/banner/m11/br_banner_onsen.gif" width="107" height="51" border="0" /></a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" style="font-size:12px;">人気ブログランキングへ</a><br />
  • Date : 2014-03-06 (Thu)
  • Category : ピース
287

事件 ⅲ R18

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  • Date : 2014-03-04 (Tue)
  • Category : ピース
286

事件 ⅱ

「え?」 次は500万? 私は耳を疑った。と同時に悟った。こうして人は悪意という蟻地獄に引きずり落とされていく。  だけど、そんなことさせない。私が、煉さんを守るんだ。負けない。震える心と身体を必死に励ましながら、私はキッとカメラマンを睨んだ。「あはははっ。そんな風に睨まれたって、ちっとも怖くないよ。ほら、身体が震えてるじゃないか」 カメラマンが余裕たっぷりに顔を近づける。染みついた煙草の臭いと卑し... <p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「え?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 次は<span lang="EN-US">500</span>万?<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私は耳を疑った。と同時に悟った。こうして人は悪意という蟻地獄に引きずり落とされていく。  <span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">だけど、そんなことさせない。私が、煉さんを守るんだ。負けない。震える心と身体を必死に励ましながら、私はキッとカメラマンを睨んだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あはははっ。そんな風に睨まれたって、ちっとも怖くないよ。ほら、身体が震えてるじゃないか」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> カメラマンが余裕たっぷりに顔を近づける。染みついた煙草の臭いと卑しさに、私は思わず顔を背けた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> カメラマンは、にやにやと下卑た笑いを見せながら言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「奥さん、写真はまだまだあるんですよ。次はラブホテルに入るとこかもしれないなぁ。じゃあ、また<span lang="EN-US">3</span>日後の同じ時間に。あんな高級マンションに住んでるんだ、<span lang="EN-US">500</span>万ぐらいたいしたことないでしょ?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私は固まったまま、カメラマンを見上げた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そんな私に、下品な舌舐めずりと笑いを見せるとカメラマンは入口の方へ向かった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そのとき。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 入口に一番近いテーブルにいた男女のカップルが、すっと立ち上がった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「長野泰司、恐喝の現行犯で逮捕ね」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> まるで知り合いにこんにちは、と言うみたいにさらりとそう言った女性が、カメラマンの腕を掴む。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 一瞬、カメラマンは呆気にとられたけれど、すぐにポケットに手を入れた。ポケットから出したそれを、女性は瞬時に叩き落とし、見事な手際でカメラマンの手を後ろ手に捩じり上げた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「い、痛てっ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> カメラマンが思わず、そう呻く。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ガゴン、と床に落ちたもの。それは小型のジャックナイフで、その鈍い光を見て、私は今更ながら身体に冷水を浴びたような気持ちになった。ぞわぞわと、恐怖が改めて押し寄せてくる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 床に転がったジャックナイフを拾い上げ、男性の方がカメラマンに言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「こんな物騒なもの、持ってたとはな。あ、それと抵抗しない方が身のためだよ。彼女、空手とレスリングの有段者だから。まぁ、抵抗したら罪が重くなるだけだけどな」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> <span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 男性刑事さんが、自動ドアの前に立った。扉が空くと、真一おじさんが店内に入ってきた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「由璃亜っ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「おじさん!」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私とおじさんは、ほぼ同時に駆け寄って手を取り合った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そして私は気づいた、おじさんの後ろに立つ背の高い人。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> もの凄く不機嫌な顔をした、煉さんだった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> え。ど、どうして、煉さんが?彼には内緒にしてたはずなのに。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: &quot;MS 明朝&quot;, &quot;serif&quot;; mso-bidi-font-family: &quot;MS 明朝&quot;">✵ ✵ ✵</span><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p></o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「バカ由璃亜!」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 煉さんは、たった一言そう言うと、私をタクシーに押し込んだ。そして運転手さんへ、自宅へ向かうように告げる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あ、あの。煉さん、どうして…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> おろおろと訊ねる私に、憮然とした表情を見せたまま、何も答えてくれない。どうしよう…もの凄く怒ってる…。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> それに、今日はオリエンとか言ってたはずじゃ。煉さんにとって一番大切なお仕事は、大丈夫なんですか?<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 煉さんが一言も話してくれないので、私は刑事さんやおじさんたちの会話を思い出していた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「奥さん、あのカメラマンは週刊スコーピオンから、とっくに契約切られてるんです」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> え…。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 女性刑事さんがカメラマンを連行していくと、男性刑事さんが私にそう言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「まあ、それで金に困ってありもしないネタをでっち上げたみたいだ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> おじさんが言う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「この写真の女性も、タレント事務所をこの後クビになったみたいで。で、<span lang="EN-US">2</span>人がどういう関係なのかはこれから調べますが、共謀して今回のことを企んだみたいです」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私が思い余って、真一おじさんに相談したのは<span lang="EN-US">2</span>日前。その短い間に、ちゃんと調べがついたんだ。やっぱり警察って凄い。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そして私はおじさんに言われた通り、<span lang="EN-US">300</span>万円を用意してこの喫茶店に来た。入口付近のテーブルにいるのは刑事さんたちが扮したカップルだとわかっていたから、なんとか頑張れた。 <span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 事前に、おじさんは言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「お金は一旦、渡しなさい。その方が、相手も油断する。それともし、由璃亜に何かに身の危険が生じたら、騒がず、相手を刺激せず、じっとしていなさい。大丈夫、私服刑事さんたちが店内にいるんだ、安心していいから」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">刑事さんが、煉さんに訊く。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「このときはきっと、写真には写っていないけど、ほかにも仕事関係の方が一緒にいますよね?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ええ。<span lang="EN-US">CM</span>のオーディションがあるので、その前にタレント事務所の接待があったんです。私は基本的にそういう接待は嫌いなんですが、そこのタレント事務所とは懇意にしているもので、スタッフも含めて<span lang="EN-US">12</span>人くらいで飲みに行きました」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「で、酔っぱらったこの女性に抱きつかれた…と。そこを上手く撮られてしまったと」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「抱きつきながらヨロけたので、思わず支えたんですが、それが一枚目の校正刷りに使われた写真です」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そうだったんだ。ヒドイ、私の大事な煉さんを、お仕事に本気の煉さんを最初から陥れようなんて。私は、今度は悔しさに身を震わせた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「で、それをいいことにキスまでされてしまったんですね?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう言う刑事さんに、煉さんは淡々と答える。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「実際に触れてはいないんですが、角度によってそう見えるように撮ったんですね。まあ、酔っているのも演技っぽいなと思ったんで、オーディションは1次選考で落としたんですが…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「安っぽい手口だな。そんなことで、キミの会社やキミを陥れることができるなんて本気で考えたとしたら、軽薄すぎる」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう呆れるように、おじさんが言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「まあ、よほど切羽詰っていたのかもしれませんね。元タレントの女性もこれから取り調べしますが、事前に調べただけでも良くない噂がかなり訊けましたから」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう言う刑事さんとおじさんに、煉さんは深々と頭を下げた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「こんな事態を招いたのは、私が迂闊でした。もっと気をつけるべきだったのに、ほかにスタッフもいたので油断していました。写真を撮られているなんて、気づきもしなかった。本当にすみません、お騒がせして。工藤部長にまで、こんなご迷惑をかけて。大事な姪でもある由璃亜を、俺が守れなくて」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 彼の悲痛な表情に胸が傷んだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「まあ、有名税ですかね。新田さんくらいになると、いろいろ大変だ。でも、気をつけてくださいよ。これからも、こういうことがないとは言えない」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう刑事さんが、煉さんの肩を叩く。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> おじさんも、煉さんを気遣いながら言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「新田君、由璃亜は私の可愛い姪だ。だから迷惑だなんて、そんなことは全くない。それより、由璃亜を叱らないでやってくれるか?この娘(こ)は、新田君に心配をかけたくない一心だったんだ。仕事の邪魔も極力したくないって言って。その由璃亜の想いはわかってやってくれ。キミに言わずにいたことを、責めないでやってくれ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「はい」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 彼はそう答えたのに…。<br /></span></p><br /><br /><a href="http://novel.blogmura.com/"><img src="http://www.blogmura.com/img/originalimg/0000435756.jpg" width="88" height="31" border="0" alt="ブログランキング・にほんブログ村へ" /></a><br /><a href="http://novel.blogmura.com/">にほんブログ村</a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" title="人気ブログランキングへ"><img src="http://image.with2.net/img/banner/m11/br_banner_onsen.gif" width="107" height="51" border="0" /></a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" style="font-size:12px;">人気ブログランキングへ</a><br />
  • Date : 2014-03-03 (Mon)
  • Category : ピース
285

事件 ⅰ

「新田さんの奥さん、ですよね?」 バレエのレッスンから帰って来ると、自宅マンションの前で男の人に呼び止められた。 知らない顔。誰?怪訝に思いながらも、私は答えた。「はい。そうですけど…」 30代後半くらいだろうか、やせ型で背はあまり高くない。顔色が悪く、目が濁っていて、どことなく荒(すさ)んだ雰囲気を漂わせているのが気になる。「いいマンションですねぇ。羨ましいな」 その人はそう言うと、煉さんと私が暮... <p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「新田さんの奥さん、ですよね?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> バレエのレッスンから帰って来ると、自宅マンションの前で男の人に呼び止められた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 知らない顔。誰?怪訝に思いながらも、私は答えた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「はい。そうですけど…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> <span lang="EN-US">30</span>代後半くらいだろうか、やせ型で背はあまり高くない。顔色が悪く、目が濁っていて、どことなく荒(すさ)んだ雰囲気を漂わせているのが気になる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「いいマンションですねぇ。羨ましいな」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> その人はそう言うと、煉さんと私が暮らす高層マンションを見上げた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あ、あの…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ご用件は?と言いたかった。男の人はそれを察したのか、ポケットから出した名刺を差し出した。角が少し折れている。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「私、こういう者です」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 名刺には「ソマリノ出版 週刊スコーピオン カメラマン 長野泰司(ながのたいじ)」と書かれていた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> その名刺を見た途端、私はとても嫌な予感がした。「週刊スコーピオン」というのは、有名・著名人のゴシップやスキャンダルを専門に取り上げる写真週刊誌だ。「スコーピオン=蠍(さそり)」の名前通り、致命傷にもなりかねないスクープで数多くの人を社会的に窮地に陥れてきた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あれ、奥さん、青ざめてますね」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう長野というカメラマンに言われて、私はスキを見せてはいけない気がして表情を引き締めた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> それを見て、そのカメラマンがニヤリと笑った。下卑た表情に、ゾッとする。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> カメラマンは、くたびれた感じがするジャンパーの内ポケットから、<span lang="EN-US">2</span>つに折りたたんだ紙を出し、私の方へ差し出した。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「来週、掲載される記事の校正刷りです」 <span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> それを受け取る自分の指が震えているのを感じた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 一瞬、ぎゅっと目を閉じて、それから覚悟を決めてその紙を開いた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 〈広告界のトップスター*某有名クリエイティブデレクターの夜の顔~身体で売り込む<span lang="EN-US">CM</span>モデルたち~〉<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 毒々しい書体で、そう書かれている見出しが目に入った。そしてボヤけてはいるけれど、明らかに煉さんとわかる男性。おまけに煉さんが着ているのは私がバレンタインにプレゼントしたセーターで、モノクロ写真だけど見間違えようがない。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">その煉さんの首に、両手を回して若い女性が抱きついている。煉さんの片手は女性の腰に回されていて、女性は片方の肩を露わにしたニットに、下着が見えそうなほどに短いミニスカート姿だ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> こんなの嘘。私は思わず顔をしかめた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「どうします?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そのカメラマンが訊く。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「どうって…?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「いや、これ出たらヤバイでしょ。それくらい奥さんだって、わかるでしょ?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「こんな記事、嘘です。私は信じません」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> すると、そのカメラマンは下品な笑い声を上げた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あっはっはっは。奥さん、何か勘違いしてませんか?奥さんが信じるとか、信じないとか、そんなことはどうでもいいんですよ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ど、どういうことですか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> カメラマンは、薄い唇を舌なめずりしながら私の顔をまじまじと見つめた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「わかんないかなぁ。ご主人の、新田さんの立場がヤバイってことですよ。新田さんが、社会的に制裁受けるだけならまだしも、彼、会社員でしょ?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> このカメラマンが言いたいことが、私にもやっと薄々わかりはじめた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「新田さん、公共広告的な仕事もしてますよね。クリーンなイメージを大事にするクライアントも多い。こんなゴシップが世に出たら、まずそういった会社は、広告を頼まなくなる。新田さんは自分だけでなく、会社のイメージも失墜させることになるんですよ。それ、どんだけの損害を会社に与えることになるんでしょうねぇ?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> その意味がわかって、それが想像できて、私はいっそう身震いした。この記事がどれだけ嘘だと主張したところで、ゴシップを嫌う企業や彼の会社が取る対応は目に見えている。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> どうしよう。目の前が真っ白になって、思考が固まる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> カメラマンは、もう一度、高層マンションを見上げた。そして言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「<span lang="EN-US">300</span>万」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> <span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> <span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> リビングでラグの上にへたりと座り込んで、私はローテーブルに広げたさっき渡された校正刷りというものを見つめていた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> <span lang="EN-US">300</span>万円、私が独りでなんとかできるギリギリ。まるでそれを見越したように、あのカメラマンは言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 指定された日時は<span lang="EN-US">3</span>日後の午後3時、場所は私たちの住む沿線にある某駅前の古い喫茶店。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> どうしよう、どうしたらいいんだろう。一番大事なことは、彼を救うこと。そして彼から一番大切にしている仕事を奪うなんて事態を、絶対に避けること。そのためには、この記事は万が一にも掲載させてはいけない。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> いつしか日が暮れて、部屋の中が真っ暗になったことも、このときの私は気づかずにいた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> <span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 指定された木曜日の午後3時。少し前に私は、古い喫茶店についた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ぐぅい~んと、歪(いびつ)な音を立てて入口の自動ドアが開く。自動ドアまで年季が入っているようだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 分煙されていない店内が、少し煙草臭い。煙草の煙ではないだろうけど、靄(もや)がかかったように薄暗い店内には、男女のカップルがひと組いるだけだ。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> テーブル席は僅かに3つ。あとはカウンター席が<span lang="EN-US">4</span>つ。狭い店内の最奥のテーブルに私は座った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">不健康そうな顔色のマスターが、あまり綺麗には見えないグラスに水を入れて持ってきた。そのグラスと灰皿を無造作にテーブルに置くと言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「ご注文は?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「コーヒーをお願いします。あと、待ち合わせしているので…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう言う私に興味なさそうに、マスターは無言で去ってカウンターの中に消えた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> <span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> ぐぅい~んと入口の自動ドアが開く音がして、私は緊張で身構えた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> あのカメラマンだった。この間と同じ服装、くたびれた感じのするジャンパーに擦り切れたジーンズ、薄汚れたスニーカー。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「早かったですね」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私の目の前の席にどかりと腰を下ろすと、カメラマンはそう言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そして、煙草に火をつける。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「あ、煙草、大丈夫ですか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 取ってつけたように言うけれど、嫌と言ったって消してくれるような相手ではないだろう。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「マスター、ビールある?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> カウンターのマスターにそう大声で注文した。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span lang="EN-US" style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"><o:p>&#160;</o:p></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 注文した私のコーヒーと、カメラマンの水とビールが運ばれてくるまで、沈黙が続いた。その間も、カメラマンは私を楽しげに舐めるように見ていて、それは恐ろしく長い時間に思われた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 運ばれてきた瓶ビールをグラスに注ぐと、カメラマンは言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「持ってきてくれたんですよね?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> <span lang="EN-US">300</span>万円のことだと思った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私は無言で頷いた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「出してもらえますか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> カメラマンは私の横に置かれた大きめのバッグを見た。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「そ、その前に…」 <span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私は、あらん限りの勇気を振り絞って言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「き、記事は本当にでないんですよね?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「約束しますよ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「確証が欲しいです」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私は食い下がった。だって、ここで負けるわけにはいかない。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「信じてないってことですか?」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> カメラマンは、煙草の煙をわざと私の方に吐いて言った。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「はい」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> へえ、とカメラマンは私の顔を凝視する。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「大人しいだけの奥さんかと思ったら。ちょっとは根性あるんですね」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; text-indent: 11pt; mso-line-height-rule: exactly; mso-char-indent-count: 1.0"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">そしておもむろにポケットからまた<span lang="EN-US">2</span>ツ折の紙を出すと、私の前に置いた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「今日、最終入校日なんですよ。これ、差し替え原稿」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そこには、いま人気急上昇中の<span lang="EN-US">10</span>代の女性アイドルと、主婦に人気の<span lang="EN-US">30</span>代の俳優の写真があった。〈清純派アイドル、ただいま熱烈不倫ちゅー</span><span style="font-size: 11pt; font-family: &quot;MS 明朝&quot;, &quot;serif&quot;; mso-bidi-font-family: &quot;MS 明朝&quot;">♡ </span><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">密会現場を激写〉と、彼女の歌う曲〈ただいま熱烈片思いちゅー</span><span style="font-size: 11pt; font-family: &quot;MS 明朝&quot;, &quot;serif&quot;; mso-bidi-font-family: &quot;MS 明朝&quot;">♡〉</span><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">をもじった見出しがつけられていた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「奥さんにもわかるでしょ?こっちの方が市場価値ある記事だってことぐらい」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「じゃ、最初から…」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私はそう言って、横に置いていたバッグを自分の方へ引き寄せた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> それを見て、カメラマンはニヤリとした。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「もう一つ、あるんですよ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう言って、またジャンパーの内ポケットから今度は写真を<span lang="EN-US">1</span>枚出す。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「これ、来週分」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> テーブルに投げ出されたその写真を、私は恐る恐る手に取って見た。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> それは、この間のアイドルが煉さんの頬にキスしているように見える写真だった。写真を持つ自分の手が、震えているのを私は感じた。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「どうです?この間のよりインパクトあるでしょ?記事はまだ書いてないけど、キスはマズイでしょ。それ、あげますよ。<span lang="EN-US">300</span>万と交換で」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> そう言うと、カメラマンは私の方に手を差し出した。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私は一つ深呼吸をして、バッグの中から茶封筒を取り出した。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「確認させてもらいますよ」<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M"> 私の手から茶封筒を奪うように取ると、カメラマンは一瞬あたりを伺ってから、中身を確認した。袋の中に入れたまま、<span lang="EN-US">100</span>万の束が<span lang="EN-US">3</span>つあるのを確かめると、彼は残っていたビールを飲み干して立ち上がった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p><p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt; line-height: 25pt; mso-line-height-rule: exactly"><span style="font-size: 11pt; font-family: AR丸ゴシック体M">「次は<span lang="EN-US">500</span>万」<br /></span></p><br /><br /><a href="http://novel.blogmura.com/"><img src="http://www.blogmura.com/img/originalimg/0000435756.jpg" width="88" height="31" border="0" alt="ブログランキング・にほんブログ村へ" /></a><br /><a href="http://novel.blogmura.com/">にほんブログ村</a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" title="人気ブログランキングへ"><img src="http://image.with2.net/img/banner/m11/br_banner_onsen.gif" width="107" height="51" border="0" /></a><br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?1531511" style="font-size:12px;">人気ブログランキングへ</a><br />
  • Date : 2014-03-02 (Sun)
  • Category : ピース
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